『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1079

2017-07-21 07:03:51 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 祝勝の宴を催した浜の朝が明ける。早朝の朝行事を終えた彼らは、気も新たに溌溂としている。
 彼らが目にしたのは、めずらしいスダヌス浜頭の姿である。浜頭と目が合う、朝の挨拶を交わす、スダヌスのジョークを耳にするのが楽しい。
 スダヌスの落ち着きがぐらついている。朝のキドニア行き第一便に乗らねばならない、気が急いていた。彼はこの期に及んで迷っている。
 オロンテスは、今日の荷積みに大わらわで取り組んでいる。今日からはヘルメス艇の操船はギアスの担当である。
 スダヌスが出航間際のヘルメス艇のところへ姿を見せる。オロンテスが声をかける。
 『お~お、スダヌス浜頭、おはようございます。第一便でキドニアに帰られますかな?』
 『オロンテス、聞いてくれるか?実は迷っている』
 『何に迷っておられる?』
 『抑えがたい俺の思案だ。お前の焼いた祝勝スペッシャルパンで統領と軍団長と一緒に朝めしをしたい!というわけだ』
 『いいじゃないですか!ここへ来るとすれば、それなりの時間を必要とします。たまの来訪です、ゆっくりしていってください。アレテスの昼便もあります』
 『そうだな、そうする。ご両人と一緒に朝めしをすれば、それなりの話題もある。楽しからずやだ!オロンテス頼む!俺の売り場の者にこのことを伝えてくれ』
 『解りました。私はこれで出航します。大声を出されても戻りませんよ!ギアス、ヘルメスを出してくれ!』
 『解った』
 オロンテスは、浜にいるパリヌルスに浜頭のことを伝えて出港していく。
 スダヌスは、オロンテスの乗ったヘルメス艇を見送り、イリオネスの宿舎へと歩を運んでいく。
 『あっ!軍団長殿、おはようございます。とってもいい朝です。統領にも声をかけて朝食を一緒しませんか?事情これありで、今日はアレテスの昼便で帰ります。お二人とあれやこれやを話したいし、ゆっくりもしたい、祝勝スペッシャルパンで朝めしもしたい!そういうわけです』
 『おう、いいですね、そうしましょう。統領の宿舎の前庭でくつろぎませんか。浜頭といろいろと話をしたい。行きましょう』
 イリオネスとスダヌスは、ともに歩み始めた。
 アエネアスがユールスと宿舎の前にいる、スダヌスの姿を見とめたアエネアスが声をかける。
 『お~っ!浜頭、おはよう。よ~く眠れましたかな?』
 『統領、おはようございます。昨夕の祝勝の宴でこの私まで表彰していただき、感激で胸がいっぱいです。ありがとうございました。今朝は皆さんと朝食を一緒したくてここにいます。今日は、アレテスの昼便で帰ります』
 『それはいいな。浜頭、ゆっくりしてください』
 『ここへは簡単に来れるのですが、なかなか来にくいこともあります。このような機会にゆっくりとお二人と話をしたいと思っております』
 『おう、ゆっくりしましょうや。私も浜頭とあれやこれやと話をしたいことがあります』
 三人は、統領の宿舎の前庭の風通りのいいところに場をとって腰を下ろした。


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