トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  887

2016-10-14 09:03:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 テカリオンがパリヌルスの心を揺さぶっている、パリヌルスが共鳴する、心が燃えあがった。
 『俺にとっては、いい儲けになると胸算用をはじいている』
 『いい着想だ!乗った!テカリオン、いい感覚だ。俺が考えねばの領域でもあるな』
 『ニーズの察知は俺の領域である。お前は、ニーズを満足させる利便の構築と具現だ』
 『お前が次にここへ来るのは、50日後くらいと言っていたな、試乗、試用はしなくていいのか?』
 『そのようなことは全く考えてはいない。俺とお前、お前と俺、身は二つだが同体だ!やるかやらぬかだけだ、試しなどいらない!なお、これには集散所の存在は邪魔なだけだ。他人に知られてはならない機密も出てくると考えている』
 『そこまで言うか。判った、やる!二艇だぞ!四日後までに姿形図と艇の寸法仕様書きを作成しておく』
 『それはいい!願ったり叶ったりだ』
 テカリオンの頭中には、商談の成立と艇の活動とその運用風景がくっきりとイメージされた。
 二人は、目を合わせて酒を飲みくつろいだ。パリヌルスが話題の舵を切る。
 『なあ~、テカリオン、ところで旅の話で変わった話はないか。例えば、噂話の実情などだがーーー』
 『近頃の海の事情か、お前は陸上で過ごしているからな。海の上の事情など、察して解ることではない』『『海の民』と言われている奴らについての事情を知らないか』
 『奴らの末はどうかは解らんが、小船で海上を放浪している奴らのことだな。目にはするが奴らとの接触はない。ちっちゃな小集団がウロウロといった状態だ。どこから湧いてできたものかわからん。得体がはっきりしていない。奴らは、この世界のどこに、どのようなおいしいものがあるかを敏感に、その匂いを嗅ぎ取って、密にたかる蜂のように行動をしているようだ。集団を形成するか否かは今は不明だな。もし集団を形成するとしてもそれは、まだまだ先のことだな』
 『俺たちだが、油断をしてはならないという噂を耳にして、浜では対応している』
 『そうか、それは大変だな。お前らには人手がある、充分に対処しているのだろう、心配がないではないか』
 『言われてみれば、そういうことだが、安心できないというところが大変なのだ』
 『まあ~、それくらいは我慢しろ!こいつらの使っている言語から推して知れるところは、へスペリアの東海岸辺りの民族らしいといわれている。また、その北の内陸の民族ではないかともいわれている。真偽のほどは確かではない。またこいつらは、西アジアの南岸地方、キプロス島、シリア辺りを目指して、キクラデス諸島を食い物にして移動しているらしいと聞いている』
 『ほう、そうか』
 『いずれにしても、天候不順、不作、食料飢饉に端を発していることは間違いない』
 『やはりな』
ジャンル:
小説
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