トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1073

2017-07-12 09:12:54 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、オロンテス、お前は宴会場の設営のことがある。あとは、オキテスと俺に任せろ!特別製のパンはお前に一任だ』
 『心得た、承知!焼くパンの数は100個でいく』
 『勝利の冠は、リナウスに言って作らせる。作り手の人員は、一人当たり3個づつ作らせて30人くらい、俺が手配して作業をやらせる。オキテス、お前は統領と軍団長に祝宴の要領を説明して進行役を担当してくれ。お前の表彰は、最後に統領からだ。それは俺が担当する。これでいいな』
 『おう、祝宴での進行指示は、パリヌルス、お前もやるのだな』
 『それは、当然の役務と考えている』
 三人は話し合いを終えて持ち場へと戻っていく、パリヌルスは、足を撃剣訓練の場に向ける。 
 撃剣訓練の場では、リナウスは、40人くらいの者らに弓の扱い方を指南している。
 25スタジオン(約50メートル)くらい離れた地点に備えた的を射させている。
 場には射手らのいる左後方から風が吹いてきている。そのような条件下における矢の射放ち方である、彼は、ひとりひとりに丁寧に教えている。
 パリヌルスが歩み寄っていく。
 『おう、リナウス、弓の扱い方の指南か』
 『あっ!パリヌルス隊長』
 『的までの距離は、25スタジオンくらいだが、この距離に何かわけでもあるのかな?』
 『ここに設定している的までの距離ですか。この距離はですね、弓で射る矢の狙って敵を殺傷する限界距離だと考えていただければいいです。これ以上遠いと狙って敵を殺傷することが難しくなります』
 『ほう、言われてみれば、なるほどとうなずける。これ以上離れるとお前の言う通り、当たれば幸いという感じになるな。俺もやってみていいか?』
 『やってみられていいです。隊長のうでまえは?というところですな』
 『リナウス、弓を借りたい』
 『この弓あたりでよろしいかな』
 リナウスが弓と矢を渡す。パリヌルスが受け取った弓の弦を弾いて張りを確かめる。
 『おう、いい張り具合だ。少し強いかな』
 『これくらいの張り具合でないとしっかり的を狙えません』
 次いでパリヌルスは矢の矢じりの重さを確かめる。
 『リナウス、この張りで矢を射る、この風に対して矢じりが少々軽く感じるのだが』
 『隊長、そんなもんです。でも、さすがです。言われる通りです』
 パリヌルスの第一射である。矢をつがえた。
 左手は弓柄を握る、矢筈をしっかりつかむ、首元まで弦を引く、矢の射角を設定する、狙いを確定する。
 矢を放つ、弓弦を放れた矢は空を裂いて飛ぶ、的の右上2メートルくらいの空間を飛び去った。
 パリヌルスが言葉を吐く
 『これは様にならない!』
 二本目の矢をつがえる、彼は的中を念じた。
ジャンル:
小説
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