トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  964

2017-02-09 08:22:44 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 小島での彼は、早速、調査検討に取り掛かる、舟艇の吃水を確かめ、スダヌスの小船の吃水を測り、漁から戻った軍船の吃水を海に身を浸して計測し、船体と吃水の比率を計算し、その結果をもって戦闘艇の衝角構造の位置を決め、位置による衝角の形状を決定した。
 作業を終えた彼は、急ぎ浜に戻る、頃合いをはかってドックスの作業現場へ歩を運んだ。
 『ドックス!できたぞ!』と声をかけ、衝角を描いた木板をドックスに手渡した。
 『ほう、このように工作するのですか』
 『そうだ、衝角の突き先が戦闘艇の吃水の水面下1スパンくらいの位置に来るように考えて造作を頼む』
 『解りました。形状は、このカタチで造るわけですね。一日でも早く試作艇を造りあげます』
 『おう、そのように頼む!何か聞きたいことあれば声をかけてくれ』
 『了解です』
 打ち合わせを終えたパリヌルスは作業現場をあとにした。

 オロンテスにハニタスからの呼び出しである、オロンテスは集散所の詰め所に顔を出す。
 『お~お、オロンテス殿、いい話だ!とにかく、そこに掛けてくれ。新艇の件だ。話がまとまる一歩手前の話だが、客からの要望は、その新艇に乗ってみたいと言っておられる。『ヘルメス艇の試乗では、どーもね』と言っておられる。便宜を図ってもらえないか』
 『お客の都合では、いつがよろしいのですかな?』
 『客は遠方からの客だ。明日にでもと言っておられる』
 『解りました、よろしいでしょう。明日、お客様に試乗いただけるようにいたします。ただし、試乗いただくのは、私どもの浜でということにしていただきたいことです。送迎については私どもが誠意をもって行います。それでよろしければということですが、承諾いただけますかな?』
 『それは承諾いただけると思うが』
 『ハニタス殿、そのように話をまとめてください。時間都合についてはお客様の要望に応じます』
 『解った。夕刻に詳細を打ち合わせよう』
 『解りました。よろしくお願いします』
 オロンテスは詰め所をあとにした。
 昨日は休んだとはいえ、今日のパンの売れゆきは好調である。いつもより早い時刻にすべてのパンを売り切った。
 夕刻になってハニタスがパン売り場に姿を見せた。
 『おう、オロンテス殿、話はついた。相手方は当方の要望を承諾してくれた。朝、こちらへ着いたら連絡してほしい。送迎方よろしく頼む。私とトミタスが同道する』
 『了解しました。そのころ合いでしたら昼食は当方で準備いたします』
 『そうですか、甘えてよろしいかな。では、よろしく頼みます』
 二人は、目を合わせてうなずき合う、互いの意思が通じた。
ジャンル:
小説
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