トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  907

2016-11-08 09:54:49 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 海に浮かんだ二梃の新艇は、小さいながらもい空と海を背景に、その姿を輝かせている。
 青い空と海、そして、陽の光、海に浮かぶ黒い船体、天を衝いて立つ2本の帆柱、いまにも波を割りそうな風情を見せていた。
 エーゲ海、クレタ海、地中海を駆ける船の船体は黒い、それは船体を保護している塗料である。船体を保護する防水防腐の塗料は、クレタ島にとっては隣国ともいえるメソポタミア地方に産出される天然のアスフアルトである。
 この天然のアスフアルトを人類が使い始めて10000年もの時を経ている。歴史上で記録されているのは、紀元前3000年のころであるが、古代エジプトにおいてミイラつくりに防腐剤として使用されたことが記録に残されているのである。
 この天然アスフアルトが人類が使い始めた用途は接着剤であった。古代バビロニアにおいて驚異的な建造技術を可能にしたのが、この天然アスフアルトである。聖書に書かれている<バベルの塔>が建設されたのは、この天然アスフアルトがあったればこその人類の偉業であった。
 この石油系タールを英語で<アスフアルト>、ヨーロッパでは<ビチューメン>、日本では<瀝青>と呼ばれている。語源はギリシア語である。ギリシア語で<ア>は<しない>を意味し、<スフアルト>は<落とす>を意味しているそうである。アスフアルトと呼称されるのは、いつ頃からであるかについては定かではない。
 この天然アスフアルトが産出されるメソポタミア地方のメソポタミアという呼称の意味は、<複数の河の間>という意味らしい、メソポタミア文明が発祥したメソポタミア地方といえば、現在のイラク北部地方であり、チグリス河、ユーフラテス河の間の沖積平野である。そのような地勢状態で天然アスフアルトが自然に湧出しているのを人類が見出し、採取して使い利用してきたのである。
 話が少々それました、戻ります。
 この頃合い、パリヌルスは、浜の一隅にいて木板を前にして、発想をどのようにして線で表現しようかと脳漿をしぼっている。『考えを線でもって形に表現する。簡単な作業ではないな、まったく!』と独り語ちながら木板上に木炭を走らせ描いていた。
 気が急く、焦る、そのような自分とシノギを削って作業を続けていた。
ジャンル:
小説
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