『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TRPY   第7章  築砦  1119

2017-09-14 08:34:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ドックス!今日の仕事の進み具合は?』
 『はい!建造の用材が届いてから、順調に進んでいます。申し分ありません』
 『それは、重畳!そこでだが、急用だ、すぐにパリヌルス隊長のところへ行ってくれ』
 ドックスが首をかしげる、何事かと問いかけようとする風情をオキテスが読みとる。
 『行けばいい!彼が説明する』
 『はい、解りました』
 ドックスは、現場の者に、二言三言、言い置いてパリヌルスのところへ足を向ける。
 『パリヌルス隊長!来ました、急ぎの用件はなんでしょうか?』
 『おう、ドックス、急な用事なのだが』
 パリヌルスがドックスと目を合わせる。
 『ヘルメス艇の造作だ。ヘルメスに新舵構造を取り付ける。ヘルメスが帰ってきたら、即、建造の浜に揚陸して、算段、段取りをしてくれ。俺もすぐに駆けつける』
 『解りました』
 『時間は明日一日しかない。造作の段取りを頼む』
 『解りました。その造作の件ですが、仕事に取り掛かったら、昼過ぎまでに造作は完了します。安心してください。先日、オキテス隊長からそのような話を聞いています』
 『そのつもりでいていいのか?』
 『はい』
 『よしっ!もう、そろそろ帰ってくるだろう。ゆっくりすればいい』
 少々の間である、ドックスは、パリヌルスが取り掛かっている仕事を見つめた。
 『おう、ドックス、ヘルメスが帰ってきたらしい、行こう』
 パリヌルスが艇上のギアスに声をかける。
 『おう、ギアス、ご苦労。ヘルメスをドックスの指示に従って、建造の浜に揚陸してくれ』
 『はいっ!』
 『ドックス!行こう』
 二人は建造の浜へ急ぎ向かう、ドックスが指示する、ヘルメスを艇尾より揚陸して浜に落ち着けた。
 二人は、ヘルメスの艇尾の構造を念入りに調べる、ギアスらが彼らの作業を見つめる。
 『ドックス、造作の構想を言ってくれ』
 ドックスが手を動かして説明する。
 『隊長、このように改造、造作すると、操舵棒がこれくらいのところまで長くなります。操舵半径が大きくなって艇幅を超えてしまいます。また、ここまでの造作で行きますと操舵棒が短くなり、操舵担当者に操舵負荷が大きくなって難があります』
 『そうだな、お前の言う通りだ。操船が無理な状態になる』
 『戦闘艇の操舵棒の長さが最良の長さと考えられます』
 『そうか、いいだろう!戦闘艇の舵構造を参考にして造作をしてくれ。ドックス、一切をお前に任せる。喫水に留意しろよ。造作について聞きたいことがある時は、いつでも聞いてくれ』
 『解りました』
 『俺はつかず離れずにここにいる。以上だ』


最新の画像もっと見る