トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1014

2017-04-20 07:01:05 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 艇上の一同はオキテスのメッセージを受けとった。
 『はい!解りました』続いて『オウッ!オウッ!』と一同が声をあげる。
 セレストスが航海中の食糧を運んでくる、船積みを終える。
 『オキテス隊長、航海期間、都合四日分の食糧の船積みが終わりました。食べる日時については、袋口をしめた布切れに書いてあります。本日分は二艇に分けて船積みしてあります』
 『おう、ご苦労、ありがとう、セレストス!』
 『おう、オキテス、納入祝い品の堅パンのケースはこれだ!』
 オロンテスが新艇艇上に届ける。
 『おう、オロンテス、世話をかけたな。いろいろとありがとう。俺は、安全第一航海に努めて行ってくる』
 『おう、無事の帰着を待っている。航海中の事なきを祈っている。統領と軍団長が見えた』
 統領がオキテスに話しかける。
 『おう、オキテス、出航の支度ができたか?』
 『はい、出来ました』
 『そうか、道中気配り怠りなく、無事に仕事を終えて帰ってくる。いいな。我らが待っているのだ。まもなく陽が昇る。先行はどちらの艇だ?』
 『はい、先行は、新艇です』
 オキテスは、半島岬の左手遠くに見える水平線を見つめる。目線を岬の小山の頂に移す、昇る太陽の第一射が小山の頂を輝かせる。
 『統領、軍団長、行ってきます』
 オキテスが言葉をかける、イリオネスがオキテスの手を握る、安全航海の意を伝える、うなづくオキテス。
 オキテスが艇上に身を移す、漕ぎかたに出航の指示を出す。 
 『おう、ゴッカス、出航だ』
 ゴッカスが指示を飛ばす。
 『一同、櫂をとれっ!漕ぎかたはじめっ!』
 海面が泡立つ、新艇が凪いでいる海面を割る、少々間をおいて試作艇が波を割り始める。
 風がない、凪いでいる海、二艇が航跡を重ねて浜を離れていく、浜に居並ぶ者らが航海の無事をこめて手を振って見送った。
 進み行く船影が豆粒のように小さくなるまで浜の一同が見送った。
 ヘルメスも準備が整い浜を離れていく、あわだたしい朝の一時が終わる。
 新艇納入航海に出航したオキテスらを送り出して、パリヌルスとドックスが顔を合わせた。
 『ドックス、今日だが、時間を見計らって戦闘艇の衝角構造体について話し合おう。ガリダ方からの製材担当の者を二人くらい同席させてくれ。お前の計画している建造手順のこともある。そのあたりを話しておきたい。昼めしのあとくらいにするか』
 『解りました。場所は?』
 『建造の場でいい』
 二人は打ち合わせを終えて、それぞれの場へ歩を向けた。
ジャンル:
小説
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