トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  906

2016-11-07 08:36:00 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 はやる気持ちを抑えがたい、心が躍る、二人の歩調が速い。
 建造の場に着く、波打ち際に立つ、新艇の浮かぶ海上に目をやる。舳先をそろえて海に浮かぶ新艇の姿を見つめた。
 『イリオネス、オキテスとドックスを呼んでくれ』
 イリオネスがオキテスとドックスを呼びに建造の場へ足を運ぶ、間をおかずに二人がアヱネアスの傍らに立った。
 『おう、オキテスにドックス、出来あがったな。上々の出来だ、ご苦労であった。二艇の帆張りした姿を見たい』
 『解りました。さっそく、帆張りいたします』
 ドックスが建造の場から、三人の作業員を連れてくる、オキテスが三人に帆張りを指示する。
 『隊長、どうします、二艇とも帆張りしますか?』
 『おう、そうだ、二艇ともだ』
 『隊長、この風では、碇石が軽いように思われます』
 『そうか、碇石を増やせ』
 『解りました』
 三人は新艇の帆張りに向かう。
 アヱネアスとイリオネスは総帆を帆張りした新艇に見入った。
 いい眺めである、二人は、目をくぎづけにして見つめる。
 燦々と降り注ぐ陽の光、澄み切った青い空、風をはらむ真新しい総帆、クレタの海に映えた。
 『おう、オキテスにドックス、新艇と海、陽の光、青い空、帆を張って浮かぶ二梃の姿が美しい。いい出来だ!海に浮かぶ姿も均整がとれている、申し分がない!』
 アヱネアスとイリオネス、クレタの海の風景に融和する新艇にしばし見とれていた。傍らのオキテスにドックスも海に浮かぶ新艇にうっとりと見入っていた。
 『オキテス、もういいだろう、帆をおろしてくれ』
 オキテスが波打ち際から大声で帆をおろす指示を出した。
 イリオネスがアヱネアスに声をかけてくる。
 『統領、新艇、いいカタチに仕上がりました。我々はこの船を誇りに思っていいですね。帆張りした姿形も想像した姿形を超えた美しさです。自信をもって使ってくれる人に届けられます』
 『おう、考えていた船よりはるかにカッコイイ船に仕あがった。オキテス、ドックス、上々の出来だ!この船なら自信と誇りをもって使用者に引き渡すことができる。俺の自慢、いや、我々の自慢だな。新艇を誇れる性能、そして、いい姿形に仕あげてくれた。ご苦労であった。二人に礼を言う』
 アヱネアスは、オキテスとドックス、二人を誉めた。
ジャンル:
小説
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