トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  981

2017-03-06 15:15:51 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスとの話を終えたパリヌルスは、建造の場の作業風景を見つめる。ドックスの姿は見えない、船で到着した戦闘艇の建造用材の受け取りに出向いている。
 聞きなれたオロンテスの声を耳にする。
 『おう、オロンテス、ご苦労!』 
 『軍団長のほうへ行く前に、ちょっと訪ねたいことがある。いいか?』
 『おう、なんだ?お前が俺に何か聞きたいとは、めずらしい』
 『キドニアの集散所の日付は何日ということになっている?』
 『それを俺に聞きたいのか』
 『集散所での今日の日付は、第5の月の4日だ。俺らの浜の日付と比べて2日おそい』
 『お前それを知っているのか。知らないのは、オキテスと俺だけか』
 『お前がそれを知っていないとは。そういう俺もだが、集散所に出入りするまでは、まったく知らない有様であったからな。集散所の売り場のあちこちに大きな字で掲示してあって、それで知ったというわけだ』
 『実はだな。それについて、軍団長に教えを乞うたわけだ。オロンテス、ありがとう、大いに感謝だ。足を止めさせてわるかったな』
 『おう!俺はいくぞ』
 パリヌルスは、オキテスのところに立ち寄り、事の次第を話して聞かせた。
 『なあ~、パリヌルス、知らないのは俺とお前だけだったとはな全く不甲斐ない。俺も集散所に出入りしておりながらそのことに気がつかなかったとはな。知っておれば段取りをもっとうまく計画的にやったのにな』
 『今日知ったから、それでいいではないか。しかし、我らが統領も大したもんだ。自分の日付を持っているとはな。オキテス、俺はいく、じゃあ~な』
 パリヌルスは建造の場をあとにした。

 この時代アエネアスらが活動した地方で使われていた暦について書いておきます。
 アエネアスの暦も、キドニアの集散所で使っている暦も、クレタ島においても使われている暦は、農耕暦である。
 この時代、世界のどこかで使われていた暦は、大別すると、メソポタミア文明期につくられた太陰暦、エジプトの太陽暦、バビロニア期につくられた太陰太陽暦である。
 狩猟生活を送っていた民族には暦の必要性がうすかったのではなかろうかと考えられる。人類が農耕生活を営むようになって、暦の必要性がでてきたのである。
ジャンル:
小説
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