昨日は「コルリクワガタ2016」で書いた
コルリクワガタ〇〇山個体群の割り出しを行ないました。
*ここでは後に分類に変化があっても認識できるように
コルリクワガタxx山個体群として位置づけています。
産卵木のこと
一般にクワガタ飼育における産卵木というと
クヌギやコナラなどの白く枯れた物を指しますが
コルリクワガタはそういった朽ち木より
黒くよく腐食した朽ち木に好んで産卵をします。
↓コルリクワガタの産卵痕(7月2日)
したがって、コルリクワガタのブリードはこのタイプの朽ち木さえあれば
決して難しいものではありません。
また、温度管理に関しても春先という季節柄常温で十分対応できます。
市販の産卵木を黒枯れにするには
他種の割り出し破片や、長年放置していた産卵木など
カラカラ・スカスカ、所謂汚い朽木(?)
通常では使用を避けたいような朽ち木を1日程度水につけた後
よく発酵した黒いようなマットで埋めて数カ月~1年ほど寝かすと
表面~浅層が黒みがかったそれらしい朽ち木になり易いです。
その際、埋め込に使うマットの水分量は
軽く握って水が滲みでるくらい多くします。
下の画像は、1年以上放置しておいた市販の産卵木
水につけるとほどよく黒く、柔らかくなりました。
↓使用した朽ち木
↓中央の(・)が産卵痕
コルリの産卵セット
水に半日ほど漬けた黒っぽい朽ち木を水分多めのマットで埋めるだけ
それだけです。
容器は500mmプリンカップでいけます。
↓プリンカップの産卵セット、乾燥注意!
↑今回使用したメスは、小型で緑がかった綺麗な個体が含まれています。
野外個体は、既に交尾済ですが一応 オスと同居させます。
↓餌はゼリーやリンゴ
成虫の寿命は長生きするメスで1か月程度。
産卵は早ければセットした当日から始めます。
メスがマットに潜って出てこなければまず産卵しています。
オスの姿が見えなくなったときはマット中でメスと一緒にいます。
また、産卵中のメスは不用心で観察しやすいのが特徴です。
メスは朽ち木がマットに埋もれたところに好んで産卵するため
乾燥を嫌うことが推察できます。
↓産座は木目に対して垂直
↑水分が木目に添って伝わり、保水効果が得られるものと考えます。
↓赤〇内 卵
↓初齢幼虫は極めて小さく、繊細です
↑↓7月2日でこの状態(3頭)
コルリをはじめとする小型種の幼虫は
終齢でも非常に小さいため取扱に注意が必要です。
ましてや初齢ともなると少しの衝撃でつぶれたり
傷をつけてしまうのでできれば翌春まで割り出さず見守るか
或いは秋ごろに割り出しを行なうのが無難です。
私の場合、上記理由により幼虫の全回収はせず
とりあえず幼虫の存在が確認できたら割り出し終了。
未回収の朽ち木も一緒に水分の多めのマットで埋めてまとめ飼いをします。
↑↓乾燥は天敵!
その後の飼育は
管理温度が27度を超えないよう注意しながら
当年の挽秋に羽化するのを待ちます。
*朽ち木画像は、撮影のためマットを水で洗い落したので水分が非常に多く見えます。
実際は光るほどの水分量ではありません。
紫外線照射
コルリクワガタは春のよく晴れた日に多く見られます。
↓角度により若干の色の変化があります(2015,Leg)
↓オスは青~緑系、メスの前胸背板は緑~紫~(2015,Leg)
野外観察では、天候が曇りがちになると
心なしか飛来数も少なくなるような気がしています。
コルリクワフガタもまた、蝶や一部の昆虫のように紫外線を利用して
情報のやり取りをしているのではないかと思い
紫外線を照射してみました。
↓紫外線照射(LONG WAVE 3650Å)
↑右下部発光体は蛍光染料含有の反射サンプル紙
結果は、特に反射(紫外線)しているようには見えず
大方黒っぽく見えました。
今回は標本に照射しましたが来期には生体に照射してみたいと思います。
余談
5月に採集したコルリクワガタ♂生体と
同月採集のマグソクワガタ♂生体を現在冷蔵庫(5±度)で保管しています。
過去にも同じことを試みたのですが途中で冷蔵庫が故障してしまい
結果を出せませんでした。
今年は7月中ごろまで保管を続け
真夏にコルリクワガタ・マグソクワガタの生体観賞をもくろんでいます。
特にコルリクワガタは採集時の状況からして
摂食・交尾をした個体と思われ
体内には採餌した内容物が残留している可能性があります。
果たしてそういった個体が再び2か月以上の低温期をやり過ごせるかどうか?
気になるところですが
あと半月、持ちこたえてほしいものです。
↓休眠中のコルリとマグソ(7月2日撮影)
*紫外線照射機器:
MANASLU-LIGHT LONG WAVE 3650Å