冬のよく晴れた日、平安神宮から大鳥居をくぐり南へのんびりと歩いていました。東西にはしる仁王門通りを横切り、神宮道はずっと先の三条通りまでのびています。
通りに呉服店がありました。ガラス戸の前に、端切れの布を入れたワゴンが置いてあります。くるくると絵巻物のようにまかれたさまざまな模様と色とりどりの布切れにまじって、人形がひとつぽんと投げ入れたように寝転んでいました。
着物の端切れで手作りしたのでしょう、ひょうきんな表情に惹かれドラゴン人形を持ってお店の中に入りました。
「どんな人がこの人形を買ってくれるのかなと思っていました」
包装をしながら店員さんはそう言いました。
「想像どおりの人でしたか?」
「・・・ええ」
この人が端切れを利用してドラゴンをつくったのに違いない。だから、誰が買っていくのか少しばかり気にしていたのだろう。
あの店員さんがどんな人だったか、もう忘れてしまった。ただ、そんなやり取りをした言葉だけは耳の奥に残っている。そんな会話とともに、ドラゴンがわたしの元へやってきて12年たつ。
わたしは想像通りの人ではなく、予想外の人だったのだと思う。










