Winter's Crossing - "Home Away from Home"

2016年11月24日 | かわら版

 

 このごろ、時々、口をついて出る言葉がある。

 「幸せですか?」

まるで子どものように、あなたに訊いてみたくなる。

 そう尋ねたいのは、ひとりで生きていくことが寂しいから。

いつからか、あなたも、白い髪が増え、老眼鏡をかけないと、ぼくが見えなくなってきた。

 ぼくも、体のあちらこちらが悲鳴を上げている。つぎはぎだらけのタイヤのチューブみたいに、シップを痛んだ体にべたべたと貼っている。

あの日、「いっしょに、年をとっていこうね」と、ぼくはあなたに誓った。

 そう思ったのは、ひとりで生きていくことが寂しいから。

ミニオンみたいな丸い大きな老眼鏡をかけないと、ぼくも、あなたの顔が見えなくなっていました。

 反省ばかりの人生で、いろんな事を思い出しては苦笑です。 この頃、これまでの人生をよく振り返ってみるようになりました。

特に、あの日の、あの時のあなたに、「ごめん、ごめん」と、両手をついて謝りたいのです。

 そんなふうに謝りたいのは、ひとりで生きていくことが寂しいから。

謝って許されるとは思わないけれど、「何よ!」って怒ったふりをして、あなたは許してくれると思うのです。

 ある日、あなたは、人ごとのように 「年をとるって、悲しいね」って、言いました。中身は変わらないけれど、体がどんどん年老いていくことが、悲しいのだろうか。

気持ちが置いてけぼりを食ったようで、悲しいのでしょうか。「そうじゃないよ」と、ぼくは、言いたかったけれど、黙って、あなたの言葉を聴いていました。

 うんうんと頷いていたのは、ひとりで生きていくことが寂しいから。

いつか近い未来、歩くこともおぼつかなくなったら、あなたの手をぎゅっと握って、二人で並んで歩こうと決めています。

 

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