インフルエンザが流行りはじめたせいか、予防注射にいらっしゃる方が増えています。インフルエンザ予防の基本はワクチン接種なので、できるだけ多くの方にいらしていただくのはうれしいのですが、マナーを守れない方も少なからずいて、私もスタッフもこのところ疲弊気味です。
幼稚園や学校の終わった時間帯に来院が集中してしまうので、病気で来院している患者さんの診療に支障をきたさないよう、ご面倒でも一度お帰りいただいて、診療終了時間に出なおしてもらうなど、ご来院時間をずらしていただくようにお願いをしています。
ご説明するとほとんどの方は理解してくださるのですが、ご納得いただけず、カウンターでスタッフとひと悶着あると、受付が滞り、後からいらっしゃる方がますます遅くなってしまいます。
「わざわざ遠くから来たのに!」と、喧嘩腰で暴言を吐かれる方へ、
インフルエンザワクチンの型は毎年WHOが決定しているので、世界中どこで受けても同じです。うちまでいらっしゃる間に何十件も医療機関があるはずです。わざわざ遠くからいらしていただかなくてもいいんですよ。
子供連れのグループで来院されて、出直しをお願いしても、待合室で待つと、帰っていただけない方たちにも大弱りです。
子供たちは大声を出して走り回り、お母さん同士はおしゃべりに夢中。
見かねてスタッフが注意すると、「怖いおばさんに怒られるから静かにしましょうね」と、今度は大きな声で絵本の読み聞かせをはじめます。
診察を待っている患者さんが不快な表情をされているのもお構いなしです。
大勢の子供に診察室で待ってほしくないのは、騒いで他の患者さんの迷惑になるからだけではなく、患者さんから、子供たちに病気がうつるかもしれないからなのです。予防接種を受けに来て、インフルエンザにかかってしまっては本末転倒です。
そんな子供に限って、いざ接種となると今度は泣き叫んで逃げ回ります。子供のことですから、それは仕方ありませんが、そんな子供に今度は「予防接種の大切さ」を説き、更に私やナースに同意を求め、説得に参加させようとするお母さん、ご自分では子供にきちんと説明する正しい親のおつもりのようですが、そんなお話は、待合室を走り回らせ、親同士がぺちゃぺちゃおしゃべりしている時間にしておいてください。
今すべきことは泣いて逃げる子供に、「早くしないと待っている人に迷惑がかかる」ことを教え、あばれないようにしっかり押さえつけることです。
そんな親のせいで、公共心のない、人の迷惑を考えない大人に育ってしまうのだと、子供たちが気の毒になってしまいます。
そういうわけで、連日ちょっと疲れ気味なので、目の保養をしてリフレッシュしようと、庭園美術館の「ティファニー展」に行ってきました。
来客者の多くは高齢者でした。
庭園美術館は65歳以上の方は、無料なのです。
高齢者といっても、お元気な65歳以上です。
お元気はいいのですが、館内を順路に従わず、平気で割り込んだり、気に入った展示のところに友達を引っ張ってきて、なかなか動かず大声で感想を言い合っているおばさまたちや、まったく興味がないのに無料ということで連れてこられたのか、館内で展示を見るでもなくボリボリ音をたてて煎餅をかじっているおじいさんに、鑑賞気分も萎えてしまいます。
携帯電話がけたたましく鳴って、その場で通話をはじめたおばさんは、さすがに係員に注意されましたが、電話をしながら館内をさまよっていました。
この世代に育てられた子供たちが大人になって・・・・、なんですね。
ティファニー展で印象に残ったのが、128カラットの世界最大級のイエローダイヤモンドのブローチの向かい側に展示されていた、大西洋横断ケーブル敷設の記念品です。19世紀半ばに大西洋横断通信ケーブルが敷設されたとき、ニューヨークはお祭り騒ぎ。ティファニーは同じケーブルを購入し、短く切って真鍮の口金をつけた記念品を50セントで売ったところ、飛ぶように売れたという、そのケーブルの展示でした。
映画「ティファニーで朝食を」で、売れない小説家のポールが、オードリー演じるホリーとニューヨークのティファニー本店に行き、貧しいポールの持ち合わせでも買えるプレゼントを、ということで、お菓子のおまけの指輪に名前を彫ってもらうシーンがあるように、アメリカの一流宝飾ブランドのティファニーは、超高級品だけでなく、大衆向けの低価格商品も製作し、あらゆるお客を大切にする姿勢を貫いています。
わたしも病気の患者さんに対する診療や内視鏡のレベルを保ちながら、できるだけ多くの健康な方にインフルエンザの予防接種をうけてもらいたい、とおもっています。
ふふふ、ちょっとおこがましくて赤面です。
今週も頑張りますので、受診される方はご協力よろしくおねがいいたします。