2017年は楽観的に生きましょう!

2017年01月03日 | 日記・エッセイ・コラム
性格やストレスが、病気の発症や経過に影響することは、よく知られています。例えば、都市部で金額の大きな取引をしているビジネスマンに心筋梗塞が多いとか、末期のがん患者さんでも、よく笑う方のほうが予後がいいなどの報告がされています。
 当院の外来では、いろいろな身体上の悩みの相談をお受けしていますが、過剰な心配(ありふれた症状から、まれな病気ではないかと考える)や、悩んでも解決できないこと(今無症状だが、将来がんになるのではないか?)を訴える方も少なくありません。
 そんな方には、
 「いままで宝くじが1等が当たったことがないように、乗った飛行機が落ちたことがないように、まれな病気には、まずならない」
 「胃がんや肝がんのように、ピロリ菌や肝炎ウイルスといったリスクがわかっているがんに対しては、その検査を受けて陽性なら治療してリスクを下げておく。胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなど検診で早期発見のできるがんに対しては検診を受ける。頻度の少ないがん、早期発見の難しいがんについては、心配しても仕方がない」
 「日本人の3人に1人はがんで死ぬ。戦争、飢餓、感染症で死ぬことなく、長生きできるからがんになる。世界的にみれば、がんで死ねるのは幸せなことといえる」
 「人はみんないつかは死ぬ。いくら悩んでも心配しても必ず命は尽きる。悩んでも解決できないことを考えている時間が惜しい。生きている今を大事に楽しみましょう。」
 といったお話をしています。
 そんなことに関連したおもしろい報告がありましたので、ご紹介します。

「米国看護師健康調査(NHS)」の分析結果では、楽観主義は人間の生体に直接影響を与えることが示唆されている。
『 American Journal of Epidemiology 』
に発表された同調査※では、楽観主義の女性は、それほど楽観的ではない女性と比べて、8年の期間にがん、心疾患、脳卒中、呼吸器疾患、感染症などの幾つかの主要死因により死亡するリスクが有意に低いことが分かった。最も楽観的な女性は、最も楽観的でない女性と比べて、分析対象のすべての疾患について死亡リスクが約30%低かった。
「過去の複数の研究では、比較的容易かつ低コストの介入によって楽観性を変えられることが分かっています。キャリアや友人関係といった人生のさまざまな側面において考えうる最良の理想を思い描き、書き出すというシンプルな方法でも、より楽観的になることができます」と研究の共同著者であるKaitlin Hagan氏(博士研究員)は述べた。「こうした介入の使用
を奨励することは、将来の健康を促進するための革新的な方法になり得ます」
※Optimism and Cause-Specific Mortality: A Prospective Cohort Study
Eric S. Kim* et.al *Correspondence to Dr. Eric S. Kim, Department of Social
and Behavioral Sciences, Harvard T.H. Chan School of Public Health
Am. J. Epidemiol. (2016) First published online: December 7, 2016

 いかがでしょう。
「私は楽観主義じゃないから、長生きできないのではないか?」なんて心配して、相談に来ないでくださいね!