引きこもり主婦の家篭り日記

アクティブになったとはいえ、相変わらず引きこもる日も多いのである・・・

「殺人ピエロの孤島同窓会」

2007-09-12 15:59:27 | 
水田 美意子 著

「チーム・バチスタの栄光」を読み終えた時、巻末でこの「殺人ピエロ」が紹介されていた。
「チーム・バチスタ」と同じ第4回の「このミステリーがすごい!」で、特別奨励賞を受賞した作品。
この作品の目玉はなんといっても作者が12歳の中学生だということ。
12歳ですよ!12歳!!
タイトルからしてB級っぽさが滲み出て、いいなああ、なんか、小学生の作文に毛が生えたようなほほえましい作品かしら。と思って。
話題性さえあれば賞を獲れる、拙さが許される限界とはどのくらいか。などと意地悪な動機から手にとってみたの。

あのね。あのですね・・・・・
どういう読書生活をすれば12歳でこんだけの物が書けるんでしょう?
文章に破綻はないし、流れ的にも極めてスムーズ。
どうしたらこんなに大人世界の事情に詳しいのか、それも知りたい。
そういうの、今時の子は全部ネットで情報ゲットできちゃうんですかね??
12歳の作家。
純文学なら分かるんですよ。純文学って感性が命!ですから。
逆に若い子のほうが瑞々しい感性を持ってて有利ともいえる。
30歳までで芽が出なかったら純文学作家は諦めろ、って言われてるくらい、若さは武器。
だけど、こういうミステリーとかって、話を組み立てる技術、トリックを成立させるための調査など、すべて、感性だけではできないこと。
だから、ただの12歳の作家じゃない。12歳のミステリー作家だってことが、脅威なんです。
って、「このミス」審査員の大森望さんも似たようなことおっしゃってましたけど。

しつこいですが、12歳ですよ。
私も小学校の国語の授業で小説っぽいもの書かされましたよ。
多分あれは中学年だったと思うけど(高学年だったとは信じたくない)、どこか外国の島で現地の女の子が死ぬ間際に「ヤマトナデシコシチヘンゲ」ってつぶやいて死ぬ、っていうストーリー。
至ってまじめなお涙ちょうだいストーリーだったんですけど、当時、「ヤマトナデシコシチヘンゲ」の意味なんてまったく知らず、ただ音の響きがいいなあ、と思ってその台詞を選んだの。
後から思い出して「アホだったな~、自分」って、失笑してたけど、この本を読んでからはもう笑えなくなった。失笑どころか失禁ものの恥ずかしさですよ。

こんな12歳もいるというのに、32歳にもなる私は、テレビのクイズ番組でちょっと正解したからって得意満面有頂天になってる。
はっきり言って、大人として生きる意欲を失いました。
もう、今までの人生を全否定された気分です。(んなオーバーな)

作品としては、決してぐいぐい読ませるほどではないけど、同級生がばったばった死んでいく中でのんきに笑ったり、愛をささやきあったりしているその軽さがあまりにも現実離れしていて、逆に恐い。
死の重さを全然感じさせないのが恐い。
深層心理に突っ込むのではなく、あまりにも表面だけをさらりとなぞっていて、別の意味で、恐い。

なんにしたって、12歳ですよ。
この本を読むときは、12歳、12歳、と12歳を思いっきり念頭において読んでください。
そして、この本を読んだいい大人のみなさまが、私と同じように生気を奪われたのならうれしい。
友よ! わたしたちはひとりじゃない!!(涙)


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