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【投資効果優先の砂漠緑地計画かな???】サイエンスZERO サハラ砂漠に太陽光発電基地をつくれ

2016年12月10日 10時01分00秒 | 真実を追及出来るYouTube!!

九州で言うと九州電力に発電した電力を押し戻す設計で

設置しないと投資効果が消費者に出ないのでは・・・・・

 

一番言えることは熱を持つのは輻射熱の影響より

作られた電気が先に進まず熱に変わっているのでは・・・

 

これは車の電装の熱、パソコンから発せられる熱などと同じく

熱エネルギーに変わっていると捉えています。

 

熱エネルギーに変わっているとなれば~

帯電した電気が沢山ある分けですから電気に引き寄せられた

多くのゴミが吸い寄せられ電着し落ちぬくい汚れを生む出す。

 

これが太陽光パネルのメンテナンス業を生み出す???

じゃ~電気を押し込めば悩みが解決できるじゃん。

ここが今からの課題です。

 

法的に可能なのか?

九州電力との契約に抵触しないか?

費用対効果があるのかですね・・・・・

 

使う商品は(クィーンコート+Ag-power5)×適正改良÷濃度調整となります。

水性である事!

人畜無害である事が最低条件なり!!

 

💀💀💀ルールで改良には一切使えません(笑)

あ~考えるだけで具合が悪くなった!!

やばっ!脳みそ君が睡魔の指令を出しました。

 

まだ仕事始めたばかりなのに・・・・・(笑)


 

サイエンスZERO サハラ砂漠に太陽光発電基地をつくれ


サハラソーラーブリーダー計画
 

―地球エネルギー新体系に向けた科学技術課題国際貢献―

鯉沼秀臣
 
学術の動向 2010年1月号


http://www.ssb-foundation.com/j-index.html

 
 

1、はじめに

 経済強国としての地位を確立した日本の外交は、東南アジアへの経済支援を中心に展開してきたが、BRICs、 特に中国、インドの急速な経済力、科学技術力の向上とともに、アジアにおける日本の影響力は急速に低下している。もの作りを基盤とする産業競争力には、原 料・エネルギー資源確保の外交戦略が基本的に重要である。部族間対立や教育水準、貧困等の問題を抱えるアフリカ諸国は、192の国連加盟国のうち53を占める最大勢力で、豊かな鉱物・エネルギー資源を有する国も多い。中東から北アフリカにかけたイスラム圏(MENA)は、世界経済における影響力を高め日本の技術に対する信頼も高い点でも[1]、日本の科学技術力を外交活用し、地球エネルギー・環境問題に貢献するパートナーとして注目される。

 40年を超える物質・材料研究の中での個人的国際体験(アメリカ留学(1970-72),短期の客員研究(ポーランド、フィンランド)、博士学位取得20名を含む外国人留学生・ポスドクの教育・研究、パキスタン工科大学の設計と設立支援(2006-2008)、韓国釜山大学でのWorld Class University協力(2009-)など)は、科学技術外交を論じるには不十分ではあるが、学術会議を通して世界に発信した「グローバルクリーンエネルギースーパーハイウェイに向けたサハラソーラーブリーダー(SSB)計画」を中心に、具体的な科学技術外交に向けた最近の提案と動きを紹介したい。


2、科学研究費と科学技術力


 基礎、応用を問わず一般に、科学技術の高度化とともに研究開発には巨額の資金が必要となる。ものづくりや産業につながる応用研究では、試料作りや評価装 置の大型化、高度のスキルを有する人材確保、他の研究機関や外国との競争に勝つために、開発資金の量ばかりでなく投入のタイミングを図る戦略も重要にな る。短期的な成果を求める独創性の低い最先端研究ほどその傾向は強い。では、豊富な研究資金を背景に世界の科学技術研究開発をリードしてきたアメリカは、 いつまでもそのリードを保つことができるのだろうか?世界第2の経済大国に成長し、EUに匹敵していても足りないといわれる日本の研究費は、多ければ科学技術力や経済力を維持できるのであろうか?


 科学技術の成果は研究費の多寡に依存することは確かであるが、問題は分析のし易い資金の出所(誰が出したか)だけでなく、どこに行ったか(誰が使った か)にある。短期の研究成果は出資者のものであっても、未来の成果を作るのは先端技術を身につけた研究者であろう。今、世界で一番多額の研究費を出してい るのは勿論アメリカであるが、使っているのは誰なのか?答えは既に明白であるが、高度成長を支えた日本の産業、経済の発展に、科学技術外交の成功例を見た 国々といえよう。未だ貧しかった戦後の日本の研究者の多 くは欧米に留学し、当時の最先端の研究設備に触れ、技術を身につけて帰国し、科学技術の復権と経済成長に貢献した。世界各国から多くの留学生を受け入れた アメリカでは、日本人は99%帰国するのに対して、他のアジア諸国の人は研究者として成功しても99% 帰国せずアメリカ残留を希望すると言われた。急速な経済成長期に到達した韓国、台湾に始まり、今や先端技術を体得した研究者の本国回帰の波は中国、インド に及び世界の科学技術マップを塗り替える勢いにある。日本でも最先端研究を支える大学院博士課程の学生とポスドクの半分は外国人(主にアジア系)で、欧米 と同様な状況にある。欧米に出かけて研究費を使い知識や技術を身につける日本の若者が少なくなっているばかりでなく、日本の研究費も使っているのは主に外 国人であるという現状を認識する必要がある。国際化という甘い言葉は、数だけでない多くの問題を抱えている。これまでの状況を分析し、特定の国に偏らず、 バランスの良い今後の戦略を設定することが日本の科学技術外交の第1のキーポイントであろう。ヒントのひとつは、アメリカ、中韓にない日本の利点(?)、すなわち兵役に使わない時間と税金を如何に、科学技術創造立国を担う若手人材教育に活用するかであろう。


 研究費と人に関わる上記の課題に加えて、さらに大きな科学技術外交課題として顕在化してきたのが地球環境・エネルギー問題である。先進国、発展途上国を問わず、人類が自ら種を蒔いた地球環境の維持にかかわる共通の、かつ日本の貢献が期待される課題である。1997年の京都議定書に続き、2009年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP-15で、どのような合意が得られるか不明であるが、G8+5ヶ国の学術会議は3月にローマに集まり、「低炭素化社会への新エネルギー技術」テーマについて討議し、7月のイタリアサミットとCOP-15に向けた声明を発した。このローマ会議で日本学術会議は、数値の議論を超える具体的な提案「グローバルクリーンエネルギースーパーハイウェイに向けたサハラソーラーブリーダー計画」を提案した「2、3」。夢物語のようなこの構想の背景、科学技術的可能性と国際連携による実現を目指す外交戦略について考える。


3、エネルギー・環境問題とG8+5 学術会議


 地球上のエネルギー資源は、大きく3種類に分類できる。①地球の誕生以来内蔵されてきた地熱や核燃料、②40億年の地球の歴史の中で太陽エネルギーを蓄積・濃縮した化石燃料、③太陽光をリアルタイムまたは数十年以下の短期サイクルで利用する再生可能な自然エネルギーである。何億年かけて蓄積してきた②の化石燃料を、人類は100年のスケールで大量消費し、大気中CO2濃 度の上昇と地球温暖化をもたらしたばかりでなく、ジェット燃料や化学品の原料など未来社会においても欠くことのできないエネルギー、材料資源の枯渇も予見 される事態を招いている。人類という種は、自らの手で老齢化を加速し、老衰を迎えようしているのかもしれない。問題は、エネルギーの形態多様性、質や量、 コスト、に加えて、時間(変化に対処するタイムラグが大きい)と政策因子(エネルギー技術が自立的発展するには1%の臨界シェアがあり、そこに至るまでの 政策支援を必要とする)に関する十分な考察力、先見性、戦略設計が重要である[4]。ことが露見してからあわてても遅いのである。


 地球全体、人類の生存にかかわる問題の顕在化に対して、国連やG8(米、英、仏、独、日、伊、加、露)を中心とする政府首脳が国際問題を議論するサミットの場での議論が始まり、1997には京都議定書でCO2削減目標が設定された。学術界も、2005年からG8に中、印、伯、墨、南アなどを加えた諸国の学術会議代表が、サミット開催の数ヶ月前に開催国に集まって各年2件の重要テーマを取り上げて議論し、サミット向け声明をまとめる作業を始めている。5年間のテーマを表1に示す。持続的エネルギーと気候変動問題はコンスタントに取り上げられ、地球の未来に関する国際的最重要課題としての認識を反映している。2008年7月の洞爺湖サミットでは、G8+5(中、印、伯、南ア、墨)が「気候変化:適応策と低炭素社会への転換」について、2009年のイタリアサミットには、エジプトをオブザーバーに加えた3月末のローマ会議で、「エネルギーのための新技術」テーマについて議論し声明をまとめた[5]。




 今回を含め、これまでの会議の議論と提言の主体がCO2削減や平均気温の抑制に関する概論(数値目標設定)に留まっている背景のもと、日本学術 会議は具体的な対策案として、「サハラソーラーブリーダー計画」を提案した[2,3]。世界最大のサハラ砂漠を新エネルギー資源として活用し、地球エネル ギー新体系構築の起点とする構想の概念を図1に示す。構想の実現にはアフリカ諸国との連携が不可欠であり、その過程で科学技術人材育成にも貢献できる。



  化石燃料からのCO2発生と資源枯渇を同時に解決し、開発途上国の生活向上に必須のエネルギー需要増大にも応えるカギは、太陽―地球―宇宙空間を結ぶ自然 エネルギーの定常的な流れへの回帰である。不毛の砂漠は太陽光にあふれ、それを電気エネルギーに効率よく変換する太陽電池をつくる半導体シリコンの原料 (珪砂や珪石)も無尽蔵に供給することができる。砂漠とその周辺に太陽光発電所を設置し、その電力でSiおよびSi太陽電池を増殖し、砂漠の4%をカバー すれば人類が現在使っている全エネルギーを賄い、自然エネルギー資源の宝庫に転化することができる[6]。しかし、太陽光発電は燃料不要で自然界のエネル ギーバランスを崩さない利点の一方で、時間、天候、地域による変動という弱点を有し、ローカル電源としての利用にはエネルギー貯蔵、平準化装置の併設が必 要である。電気抵抗ゼロの高温超伝導(HTSC)線材の長尺化技術の最近の進歩は、銅線による従来の高圧送電よりもはるかに低損失の1,000kmスケー ル直流送電技術の実用化を視野に入れてきている。

 太陽光発電(PV)とHTSC送電の組み合わせによる電力貯蔵・平準化を不要化する地球新エネルギーネットワークのコンセプトは、1989年の桑野によるGENESIS(Global Energy Network Equipped with Solar cells and International Superconducting grid)提案に始まるが[7]、30年の時を経て、日本の先進技術による実用化が見え始めてきたといえよう。

 1960年代の新幹線、化学工業の公害防止、最近のハイブリッドカーなど、課題先進国[8]としての我が国が取り組むべき夢の地球エネルギー新体系技術と考える。

3, サハラソーラーブリーダー(SSB)計画の技術課題と開発体制

 PV の普及が進行し、 HTSCケーブル技術の可能性が高まってきたとは言え、わが国が真に21世紀の地球環境・エネルギー問題に貢献できる巨大計画:SSB(ソーラーシリコン 工場/Si太陽光発電所の増殖的建設+グローバル超伝導直流送電)に至る道は遠く長い。初期の5年で達成すべき具体的な目標を以下に設定するが、同時に 2050年を想定したSSB計画達成目標に向かっての地図を作り、到達するための道具を揃え戦略を設定する必要がある。未開発の資源と人的・経済的発展性 を有する北アフリカをパートナーとし、洗い出した要素技術を検証して出発点の明確化と計画のグランドデザインを作る。

初期計画案

1)サハラをはじめとする不毛の砂漠資源であったシリカ(SiO2)を原料とするソーラーSi(純度~6N)の直接的あるいは間接的還元によるプロトタイプ技術開発と、低コスト増殖的生産のテストプラント作製

2)砂漠における各種太陽電池の性能(効率、耐久性)の定量的データ取得とソーラーブリーダー用太陽電池の選択、各種太陽電池の課題と対策の提示

3)砂漠地帯の太陽電池活用法(海水淡水化、砂漠の緑化など)の検証と実用化提言

4)エネルギーの長距離・低損失輸送手段としての高温超伝導ケーブルシステム運用に関する問題点の摘出と対策の提示

5)アフリカのエネルギー工学教育拠点の形成(アルジェリア、チュニジアとの交渉開始)
  この初期計画のうち、真に世界のエネルギー問題に貢献できる年産100GW以上の太陽電池生産を実現するには、特に1)の砂漠の砂から高純度Siの製造と 4)高温超伝導直流長距離送電システムの研究が重要である。太陽電池は色々な半導体材料から、200μm程度の厚みを有する結晶状やガラス等の基板上薄膜 (<1μm)として作られるが、100GWの年産を達成できる半導体は、地殻のもっとも豊富な資源であるシリカから作られるSiに限られる[4]。図2に 低コストのソーラーグレードSi製造技術のキーポイントを示す。基礎から始まるこの分野での国際的開発競争が密かに進行中であり、現行技術の問題点を分析 し革新的技術を早急に開発することが望まれる[9]。超伝導線材は現時点で住友電工のBi系(Tc~100K)が世界をリードし[10]、中部大学がユ ニークなシステム研究をリードしている[11]。日本の技術優位性を生かした実用化に向け、長距離送電の基礎データが得られる1km級のテスト施設建設を 急ぎたい。SSBの起点となるアフリカでの研究開始拠点のモデルを図4に示す。










4、SSB:新アポロ計画への国際戦略

砂漠のソーラーパワーを活用する新エネルギープロジェクトとしては、既にIEA-PVPS分科会の”Energy from the desert”[6], “Mediterranian Solar Power (MSP)“ [12], “Desertec” [13] などがEUを中心に計画されている。我々が提案しているSSBとは以下の相違点がある。

① SSB以外は、既存のPV(太陽電池)やCSP(集光型太陽熱発電)と高圧直流送電の組み合わせが中心で、革新的研究開発要素は少ない

② SSBの珪砂からソーラーシリコンを作る部分は、過去にいくつかの類似研究例はあるが(シーメンス社、日本板硝子・川崎製鉄社など)、未開発の基礎研究か らスタートすべき挑戦的研究であり、HTSCによる送電についても交流送電の研究例はあるが直流送電システムの開発は中部大での要素研究が始まった段階

③基礎研究段階からスタートするSSBでは、初期の研究からアフリカ諸国と連携することによる科学技術教育と人材育成も重視

④ SSBの成果は世界の他の砂漠(ゴビ、アタカマ[14]、タクラマカン、など)に共通に適用でき、GENESISの夢の実現につながる。

  明確な目標を掲げ、達成 時期を決めた遠大な科学技術計画としてアメリカのアポロ計画があった。2050年に人類の使うエネルギーの50%をPVにより変換したる電気エネルギーで 賄い、高温超伝導直流送電で世界に供給するSSBは、日本発の技術でエネルギー・環境問題を解決し、世界のエネルギー問題、アフリカの科学技術力の向上に 貢献する夢がある。アポロ計画に対比したSSB計画の概要を表2に示す。



5、今後に向けて

 SSB 計画の素案はアルジェリア[15]、チュニジア[16]等の国際会議で提示し、現地の研究者、政策関係者は大きな興味を示し、連携の意思を表明している。 50兆円の資金を集めビジネス展開を始めていると伝えられるDesertec関係者からも、これまでの太陽熱発電以外にPV利用の基礎研究も考えていて連 携したいとのアプローチがあり、SSBに関する世界の関心も高まってきている。一方、日本の科学技術力を伸ばすとともに外交的にもインパクトの高いと信じ るSSB計画は、未だ実質的な資金はなく研究開発がスタートできない状況にある。多くの趣旨賛同者、待機中の研究者に感謝するとともに、早急な行動開始に 向けた関係各機関のご支援をお願いしたい。

  中国、インド、韓国に比べると少数とはいえ、海外に定住して研究教育や現地の生活改善に努力している人達がいる。国内にもパキスタン工科大学の設立につい て、2006年当時のパキスタン高等教育相で、世界的に著名な天然有機化学者であるDr. Atta-ur-Rahmanとの個人的つながりで献身的な努力をされた故名取靖郎徳島大名誉教授のような方々もいる[17]。世間に名を知られることは なくても地道な活動を続けている現場の人達に接し、声に耳を傾けることが科学技術外交の最大のキーポイントではないだろうか?

参考文献

[1] 北村陽慈郎(2009):「イスラムマネーの奔流」、講談社
[2] H. Koinuma, I. Kanazawa, H. Karaki, K. Kitazawa (2009): “Sahara solar breeder plan directed towards global clean energy superhighway”: G8+5 academies’ meeting (Rome, Mar. 26-27, 2009);
[3] 鯉沼秀臣(2009):「サハラソーラーブリーダー計画―太陽電池と高温超伝導によるグローバルエネルギーイノベーション」、化学と工業、Vol. 62-8, 905-906
[4] 鯉沼秀臣 (2009):「太陽光発電は真に地球環境・エネルギー問題を解決できるか」、現代化学、2009年3月号、pp. 20-25
[5] 日本学術会議HP:http://www.scj.go.jp/ja/info/iinkai/koho/index.html
[6] K. Kurokawa ed.(2009), “Energy from the desert III”, IEA-PVPS Task-8 Report, James & James Ltd. UK
[7] Y.Kuwano (1989):”GENESIS: Global E#nergy Network Equipped with Solar cells and International Superconductor grids”, Proc.4th.Int.Photovol.Science and Engineering Conf. @Sydney ; エコノミスト別刷、1989, 8/15,22合併号
[8] 小宮山宏 (2007):「課題先進国」日本、中央公論社
[9] 鯉沼秀臣、新倉ちさと、角谷正友、野田武司、竹内正之、川喜多仁 (2008):NIMS NOW, Vol.8, No.11. pp. 2-6; H. Koinuma, M. Sumiya, N. Matsuki, T. Ishigaki, K. Endo, T. Hashimoto, 14th APAM Conf.,pp.28-29 (2008)
[10] 佐藤謙一(2008):「自然エネルギー時代の切り札-磁気と電気の未来-」、ケミカルエンジニアリング、Vol. 53, No.1, 8
[11] 中部大学藤原洋記念超伝導送電研究センター:www.chubu.ac.jp/organization/institute/sustainable_energy/index.html
[12] 鈴木剛司 (2009):「地中海ソーラープラン、NEDO海外レポート、#1037
[13] デザーテックプロジェクト: http://desertec-africa.org/
[14] Solar TAO プロジェクト:http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/TAO
[15] International Conference on New Materials Design Technology for the Next Generation of Performed Components (NMDT-NGPC’2009 @Alger)
[16] Solat Tunisia International Seminar (2009): www.plansolairetunisien.tn
[17] 日本学術会議化学委員会・アジア化学イニシャティブ分科会(2008):記録「アジア・アフリカ化学技術新教育プログラム-グローバル複素大学教育モデルの提案 -」



地球を救う革新的材料技術

― ゼロエクセルギー酸化物の化学とサハラソーラーブリーダー計画 ―

未来材料 Vol.10 No.11

 研究開発には夢と根性が必要だ。大学におけるおもしろ半分研究ばかりでなく、企業の目的研究においても、当面の目的の先を見て、科学的にルート探索する 過程で夢を増幅することができる。特に大学付置研や国立研究機関では、どこでもだれでもやっている‘はやり’の研究に流されず、科学技術創造立国の基盤と なる中長期的課題の夢を設計し、信念をもって戦略的に実行することが望まれる。

 地球エネルギー・環境問題の根源は、宇宙空間の特異点である地球上で擬定常的なエネルギーの流れを乱す局所的、刹那的加熱状態が出現したことによる。近 年の文明進化に伴うエネルギー消費の急増は、何億年もかけて太陽エネルギーを凝縮した化石燃料や地球誕生以来の遺産である核燃料利用に依存してきた。これ に伴って、燃料は大気中で化学熱力学的に安定な物質に転化してゴミ(廃棄物)となり環境に蓄積する。自然界の復元作用である光合成では追いつかない老廃物 を、大気中のみならず水圏、地殻表層に大量に堆積しているのである。役に立たない老廃物を新たな化学資源として、機能材料開発やエネルギー体系の革新に活 用する新技術の開発は、真に地球のエネルギー・環境問題を解決する展望を拓くであろう。

  本稿では、まずエネルギー・環境に関する基本問題について考察し、現行の化石燃料生産+タンカー輸送にかわる砂漠発の太陽光発電エネルギー生産+高温超伝 導電力輸送への新エネルギー体系構築を目指す「サハラソーラーブリーダー(SSB)計画」を紹介する。究極のエネルギー・環境対策としてのSSB計画の夢 を実現する技術課題と国際戦略について議論する。

▶ 人類とエネルギー

 エネルギーと食料を含む物質・材料は、人間の生命活動の原動力である。人類は火を征服し、産業革命以降は宇宙のエネルギーフローから見れば非定常な化石 燃料の大量消費によって文明を加速的に発展させてきた。最近まで、エネルギー源として最も重要な因子は量とコストであった。多種のエネルギーは相互に変換 できるので、使い勝手の良い電力にしても、それが火力、原子力、あるいはクリーンな太陽電池によるかは消費現場では区別がつかないという事情があった。1960年代~1970年代の日本の高度成長を支えた2本 柱は、安価な天然ガスや中東の原油を巨大タンカーやパイプラインで運ぶエネルギー体系と、製鉄を中心とする素材と自動車を中心とする機械・電気を組み合わ せたものづくり産業体系であった。今、化石燃料を基盤とする世界のエネルギー体系は、資源と地球環境の両面から大きな問題に直面し、産業体系の環境にも大 きな変化の兆しがある。

 地球上でわれわれが使えるエネルギー資源は3種類ある。①地球の誕生以来内蔵されてきた地熱や核燃料、②40億年の地球の歴史の中で太陽エネルギーを蓄 積・濃縮した化石燃料、③太陽光をリアルタイムまたは数十年以下の短期サイクルで利用する再生可能な自然エネルギーである。地球が何億年もかけて蓄積して きた②の化石燃料を、人類は100年のスケールで大量消費し、大気中CO2濃度の上昇と地球温暖化をもたらしたばかりでなく、未来社会においても欠くこと のできないエネルギー、材料資源枯渇の懸念を招いている。地球を支配した人類は、はかない栄華の果てに自らの手で老齢化を加速し、老衰期に突入しているの かもしれない。CO2地球温暖化犯人説は、Climate gate事件もあって一時的に沈静化したように見えるが、その可能性は依然として高く、時間因子を無視した脱化石エネルギー対策の遅れは人類の生存を脅か す危険を秘めている。

 グリーンイノベーション、あるいはグリーンニューディールというキャッチフレーズのもとに、アメリカの政策を参考にしたエネルギー科学技術戦略が提言さ れている1)。 基本は、ボトムアップとトップダウン技術と見ることができる。前者は、産業から「日々のくらし」に至るエネルギー消費の省エネ化を徹底するとともに、ス マートグリッドによる多種・多様なエネルギーの効率的活用を、後者は新エネルギーの開発を促進する科学技術・政策の強化である。アメリカをはじめとする先 進国では省エネ技術の展開余地が大きいが、脱貧困を求める開発途上国ではエネルギー消費の増大を伴う生活向上が優先する。今後も上昇を続ける世界のエネル ギーニーズと環境との調和には、持続的発展に必要なマキシマムエネルギーをトップダウンに設定し、サイエンスベースの未来展望に基づいてエネルギー需要の 増大を余裕を持ってカバーし、なおかつsustainabilityを確保できる大胆な構想と技術設計が不可欠である。地球規模エネルギー課題の顕在化に 対して、日本の科学・技術力の向上と未来の世代に貢献する本質的な提案をし、世界の研究開発をリードすることはできないだろうか?2)

▶ ゼロエクセルギー物質の化学

 酸素濃度20%の地球大気環境下で、われわれは種々の物質Rの酸化反応(燃焼)によってエネルギーを取り出す。

Rx + 1/2 O2 → RxO + 反応熱(-ΔH)

 エンタルピーHの基準は元素単体をゼロとし、通常の熱力学では各種反応熱測定から求めたΔHを物質固有の化学エネルギーとしている。上記の反応は一般に 発熱であり、生成する酸化物のΔHは 負の大きな値になり、化学的安定性、電気絶縁性(大きなエネルギーギャップ)につながっている。一方、物質には固有のエネルギーのほかに温度、圧力、濃度 などの状態に依存するエネルギーが付随するので、物質系がどれだけの使えるエネルギーをもっているかを通常の熱力学パラメーター(H,エントロピーS,自 由エネルギーG)値から視覚的に推測することは難しい。

 地球環境・エネルギー問題を議論するには、新たな熱力学パラメーター: エクセルギー(Ex)で評価するのが便利である。Exは地球標準環境(状態)で最も安定な物質のHをゼロ基準とし、物質の状態に伴う補正を加えて算出され る。基本的に負の数値がないので、縦軸だけで有効(仕事に使える)エネルギーを評価できる3)。人間はExの高い物質状態を低いExにする過程で発生する エネルギーを利用している。最終生成物はエネルギー価値のない(ゼロエクセルギー)物質であり、それを代表するのが酸化物、すなわち気相のCO2(厳密に は大気中の濃度0.04%で)、液相のH2O、固相の金属酸化物MOxである。地球の遺産である燃料(化石、核)の消費はゼロEx物質の発生・蓄積と同義 であり、増え続けるありふれた酸化物をお金とエネルギーまで使って貯め込むCCS(Carbon Capture and Storage)のような方法はあまり賢いとは思えない。

 ゼロEx酸化物の化学革新(再生利用)こそ、前向きに地球環境・エネルギー問題を解決するカギと言えよう。

 図1に、代表的ゼロEx酸化物としてCO2,H2O,SiO2をとりあげ、その再生利用の基本構想を示す。大気環境下で不活性な酸化物の物質状態を変え るには、なんらかの外部(できれば太陽)エネルギーの注入が必要である4)。

 地球温暖化ガスとして知られるCO2対策の例に示したのは、化学エネルギー(高Ex物質)の注入による有用準安定化学物質への固定である。筆者が40年 も昔の大学院時代に見つけたのは、高ひずみエネルギーを有する3員環エーテル(エポキシド)との交互共重合によるポリカーボネート合成である5)。炭酸ガ スを直接原料(モノマー)とする世界初のポリマーとして、また生分解性を有する合成高分子として注目され日米の特許も取得した。

 この日本オリジナルポリマーは日本オイルシール工業とアメリカのエアープロダクツ社にライセンスし、アメリカではパイロットプラントによるサンプル出荷 も行われたが、有機亜鉛・助触媒(H2Oなど)の触媒効率、新規ポリマーの用途開発、コスト競争力が不十分で工業化には至らなかった。しかし、最近になっ て中国・海南島でこのCO2ポリマーが工業化されたと伝えられ、欧米でも関心が復活し研究が活発化している。開発の焦点は高活性触媒開発とアロイ化による 物性の制御、新機能化にある。


 なお、石灰石の焼成過程でCO2を大量発生して作るセメントは、高Ex物質としてやがてCO2を吸収固定し、低Exの安定構造化するCCS材料と見るこ ともできる。CO2に外部エネルギー(光,電気,プラズマ等)を注入する化学変化も可能であるが、エネルギーの多くがCO2分子の分解に使われる形では価 値は低い。

 太陽エネルギーの力でCO2とH2Oをリサイクルする光合成は、生物の生存に必須のプロセスである。この過程で太陽光はCO2には直接作用せず、H2O の分解に関与する。すなわち、発生する酸素はCO2ではなくH2Oに由来する(図1)。

 自然界で進行する光合成は常温、常圧、CO2濃度400ppmという条件下での非常に巧妙なプロセスではあるが、光⇒化学(炭水化物)へのエネルギー変 換効率は1%程度に過ぎない。TiO2などの光触媒による水の光分解もこのカテゴリーに属し、40年前の本多・藤嶋効果の発見以来化学者を中心とする多く の研究が行われている6)。可視光励起プロセスの可能性も確認されているが、エネルギー変換効率は低く実用レベルには遠く及ばない。

 固体ゼロEx物質を代表するシリカSiO2は、クラーク数1,2くらいの元素からなる地球表層で最も豊富な資源である。半導体素子や太陽電池に使われて いる高純度(>10N)SEG―Siは、60年以上前に開発されたシーメンス法で作られている。



 SEG―Siへのドーピング(微量B,P添加)とpn接合形成で太陽電池をつくれば、その光⇒電気の変換効率は15~25%に達し、光合成の光⇒化学エ ネルギー変換効率に比べて10倍以上高い。ところで、太陽電池を作るのに使ったエネルギーをその太陽電池で回収するEPT(エネルギーペイバックタイム) は、現在の技術で約2年である。

 Si太陽電池の寿命は20年以上に達するのでEPR(エネルギー利得)は10以上となる。それでもこの数値は燃料を使う火力や原子力のエネルギー変換効 率40%やEPR 20に比べると低いように見える。しかし、両者の効率、EPRの算定基準には決定的な違いがあり、燃料エネルギーを計算に加えると、火力、原子力では EPR<1,EPT=∞になるはずである7)。燃料不要の太陽エネルギー利用は、1億5,000万km彼方の天然の巨大核融合炉からの放射エネルギーを無 為に地表や海面に吸収させず、いったん電気として利用して地球に戻す。地球周辺のエネルギーバランスを崩さず、燃料フリーでゼロEx廃棄物を発生しないク リーン技術なのである。

 なお、SSB計画では、酸化物高温超電導体(HTSC)による長距離直流送電を想定している。HTSCを含む複酸化物(MxM′yOz)のEx値は不明 であるが、母体のCuの原子価が2の定比酸化物La2CuO4やYBa2Cu3O6.5は、ワイドギャップの絶縁体でありエクセルギー値は低いと推定され る。Cuの原子価変化を伴う(Cu􀔆⇒Cu􀔇)元素置換(La⇒Ba)や酸素量の注入(O6.5⇒O7‒x(x≒0.15))によるキャリア(正孔) 注入は、定比酸化物の高Ex不定比高温超伝導体への転換に相当するのであろう。

▶ 太陽光発電と材料

 太陽電池は適当なエネルギーギャップEgを有する半導体に、pn接合や界面ショットキー接合による内部電界を形成し、太陽光で励起されたキャリアを分離 して電極から取り出すデバイスである。太陽光のスペクトルにマッチしたEgを有する各種半導体材料が使えるので、主流を占めるSi以外にも、化合物半導体 (GaAs,InP,CuInSe,CdTe,など)などの多くの材料から太陽電池は作ることができる。新材料といわれる有機・ポリマー半導体,有機色素 /TiO2,アモルファスSi(a―Si),量子ドット半導体でも20年以上前から研究が持続している。太陽電池研究への異分野からの新規参入者の期待は 高いが、Si結晶系を超える見通しは依然立っていない。

 1973年の第1次オイルショック直後の1974年に始まったNEDOのサンシャイン計画で、日本の太陽光発電(PV)研究は、アモルファスシリコン (a―Si)薄膜系を中心に世界をリードし、工業生産では結晶Si系を主流に数年前にはシェア50%を占めダントツの世界一であった。2000年以降、地 球環境問題の顕在化を背景に、世界の太陽電池生産は年率30~50%の勢いで伸びた反面、日本では2007年にはマイナスに転じ急速に地位を低下させてい る。主要な原因は、PVの主原料であるSEG―Siの供給不足と価格の急騰に打つ手を誤ったことにある。日本の産官学の研究開発方向は、結晶Siを回避し 半導体原料使用量の少ない薄膜(a―Si,化合物,色素増感,有機,量子効果)系に向かっている8)。間接半導体で吸光係数の低い結晶Siでは 100~200lm厚みのウェーハを用いるのに対し、他の材料はほとんどが1lm程度の薄膜で良いメリットが強調されるが、4~7mm程度の厚いガラス基 板上に作られる薄膜太陽電池における質、重量、コスト全体の優位性は保証されていない。2008年にスタートしたNEDOの革新的太陽電池国際研究拠点プ ログラムでも、ほとんどが薄膜多接合の基盤技術を志向している。しかし、薄膜系太陽電池には、質、重量、コスト以上に深刻な量的限界がある。

 人類に必要なエネルギーの10%以上(100GW級/年)の太陽電池を供給し続けることは、原料資源から推算した発電総容量から見て無理がある7)。図2に、元素戦略の対象となる主な元素の資源量データを示す9)。

 たとえば、Inを使う系では総発電量100GW以下、最近急成長のCdTe系でも500GW程度にすぎない。有機材料や色素は安価で豊富な資源があると 直感的に主張されるケースが多いが、カラープリンターのインク価格やしばしば用いられる金属錯体色素の価格、供給可能量を考慮した定量的評価が必要であ る。革新的新材料太陽電池も大変大事な研究テーマである。しかし、問題は現在、その方面の研究開発にのみ公的資金の助成が限られ、一見古いけれど新しい Si基礎研究が取り残され、真のグリッドパリティ(火力等の現行発電コストと同等)への材料開発の道が閉ざされていることにある。


 何故、①世界のSi原料は供給不足に陥り、②日本では喫緊のSi原料開発に目を向けず、いつになるかわからない薄膜高効率化に時間と研究費を集中しているのであろうか?

 答えのヒントは現行のSEG―Si製造プロセスに対する思い込みと、過去の新Siプロセス開発研究の挫折にあると言えよう。SEG―Siプロセスはほぼ 完成され、改善の余地はないと多くの太陽電池関係者は思い込んでいる10)。60年以上前に開発されたシーメンス法は、確かに高品質(純度>10N)で無 転移の単結晶Si製造に適し、高コストの欠点も高集積化が進む半導体素子では大した問題ではない。一方、面積を必要とする太陽電池では、純度レベル、コス トに対する要求が基本的に異なる。Si原料不足に対する応急処置として現行シーメンス法の増設が中国や欧米、東南アジアで進んでいるが11)、化学的欠陥 の多いプロセス(後述)の量産効果によるコストダウンだけでグリッドパリティーを達成するのは容易でない。

▶ サハラソーラーブリーダー(SSB)計画

 世界に主要なエネルギーを供給し続けてきた中東から北アフリカ(MENA)にわたる砂漠地帯は、化石燃料の枯渇とともに再び強い日光が照りつける不毛の 砂漠に戻るのであろうか? 砂漠の2つの価値―日射と未利用の広大な土地、に目をつけた自然エネルギー、特にソーラーエネルギーの利用についてはすでに、IEA分科会12)や EU13)の調査研究、およびEUを中心とするビジネス展開をねらったDESERTEC 14)や地中海ソーラー計画(MSP)15)等の活動が始まっている。当然のことながら、アラブの国々も次の時代に向けていかに石油収入を未来に活用する か、次世代、次次世代の人材を育成するかについて真剣に考えはじめていて、科学技術先進国・日本への期待も高い16)。

 地球全体、人類の生存にかかわる問題に対して、国連やG8(米,英,仏,独,日,伊,加,露)を中心とする政府首脳が国際問題を議論するサミットが毎年 開催されている。学術界も、G8を中心にした各国の学術会議代表がサミット開催の数ヵ月前に開催国に集まって、各年2件の重要テーマを取り上げて議論し声 明をまとめて各国首脳に手渡している。2008年7月の洞爺湖サミットでは、「気候変化:適応策と低炭素社会への転換」、2009年のラクイア(イタリ ア)サミットでは、3月末のローマ会議で、「エネルギーのための新技術」テーマについて議論し声明をまとめた17)。CO2削減や平均気温の抑制に関する 議論が大まかな数値目標設定にとどまっている背景のもと、日本学術会議(SCJ)はローマ会議で具体的な対策案「サハラソーラーブリーダー(SSB)計 画」を提案した18)19)。提案は図3に示す2つの革新基盤技術の開発と結合からなる。世界最大のサハラ砂漠を起点に、地球エネルギー新体系の構築を目 指す遠大な構想である。


 化石燃料からのCO2発生と資源枯渇を同時に解決し、開発途上国の生活向上に必須のエネルギー需要増大にも応えるカギは、太陽―地球―宇宙空間を結ぶ自 然エネルギーの定常的な流れへの回帰である。砂漠には広大な土地と豊富な日射ばかりでなく、第3の価値、すなわち日射を電気エネルギーに効率よく変換する 太陽電池用シリコンの原料(珪砂や珪石)が無尽蔵にある。

 砂漠の砂から低コストで大量生産できるソーラーシリコンを作る革新技術を開発し、砂漠の周辺にEPTごとに規模を倍増する太陽光発電所を設置する。世界 の砂漠の4%をカバーする規模になれば人類が現在使っている全エネルギーを賄い、砂漠を巨大なクリーンエネルギー生産基地に転化することができる。太陽光 発電の弱点である時間、天候による変動は、電気抵抗ゼロの高温超伝導(HTSC)送電網(スーパーグリッド)で世界をつなげば克服できる。

 世界をリードする日本の高温超伝導線材技術は実用レベルに到達し20)、長距離直流送電システムへの発展が今後の課題である21)。

 ローマ会議で話題にはなったが声明には表記されなかったSSB計画は、今年のG8学術会議声明「開発のためのイノベーション:アフリカなどの発展途上地 域開発のための科学、技術、およびイノベーションの役割」のモデルケースの一例と見ることができる22)。

 ソーラーブリーダーや太陽光発電(PV)とHTSC送電の組み合わせは、1980年代GENESIS(Global Energy Network Equipped with Solar cells and International Superconducting grid)23)等のコンセプトとして提案されてきたが、30年の時を経て日本の先進科学・技術による実現目指して挑戦すべき機が熟してきたのである。

 1960年代の新幹線、化学工業の公害防止、最近のハイブリッドカーなど、課題先進国24)としてのわが国が取り組み、地球を救う夢をアフリカの人材と共有して追求する計画である。

 遠大な計画は、JST/JICA連携の地球規模課題対応国際共同研究事業に採択され、アルジェリアのオラン科学技術大学(USTO),Saida大学を パートナーとする“Sahara Solar Energy Research Center(SSERC)”プロジェクトとして第一歩を踏み出そうとしている25)。SSBCプロジェクトのアフリカ拠点となるUSTOと地中海沿岸北 アフリカの未来モデルを図4に示す。東京大学(新領域,生研,工学研究科),東京工業大学,弘前大学,中部大学,国立情報研究所,物質・材料研究機構 (NIMS),アラブ経済研究所からなる日本側連合チームとのSSERCプロジェクトの具体的な共同研究課題は以下の6項目である26)。

1) USTOにSSERCを設置し、SSBのアフリカ研究開発(Initiative)拠点を構築する
2) 砂漠の砂の高純化と低コストソーラーSi生産技術の研究開発
3) ソーラーシリコン太陽電池製造とブリーダープラントの設計
4) HTSCケーブルによる砂漠環境直流送電のための基礎データ集積
5) 太陽光発電テスト施設の設置と砂漠環境での性能・耐久試験,利用技術開発
6) 初期からの共同研究参画,ネット教育活用によるアフリカの科学技術人材育成

▶ SSB計画で追求すべき革新的材料研究開発

 太陽電池の普及拡大とともにSi原料が不足する事態はすでに1980年代の初めに予測され、NEDO委託の「太陽電池用Si原料調査委員会」が設置され 27)、第1次Si材料開発ブームが出現した。これに関連する、上記6項目のうち課題2のソーラーシリコン製造技術について重点的に考えてみよう。



 図5に示すSi製造プロセスのうち現行の主流はシーメンス法①,すなわち蒸留により揮発性液体SiHCl3を高純化し、Si表面上で熱分解する気相合成 (CVD)法である。揮発性化合物への変換とその再還元を経ず、冶金的精製で6N程度のSOG―Si合成をねらうアプローチ②も1980年代から検討され た。それぞれに対応して、CVD法の改善を目指す信越化学流動床(FBR)法と、質を少し落としても低コスト/量産化を狙う川崎製鉄冶金精製法がNEDO の助成により実施された28)。いずれも所期の目標をクリアしたとされたが、前者では炉からの不純物によるSEG―Siレベルへの到達度に、後者では金属 (MG―)SiからのB濃度低下のためだけに高エネルギーの熱プラズマを使うなど、コスト削減に問題が残った。



 その後、CVDの流れとしてトクヤマのVLD法29)が、直接還元に冶金精製を組み合わせた流れとして珪砂の水ガラス精製を経る日本板硝子/川鉄法30)のNEDOプロジェクトが実施された。

 プロジェクトの目標は達成されたことになっているが、SEG―Siの余りで十分足りる状況にあった当時、新プロセスを工業化に展開するインセンティブは 見いだせなかった。早すぎた研究開発のネガティブイメージは、21世紀を迎えて本当に必要になったソーラーSi新技術再開発の芽を摘み、日本の太陽電池研 究開発を、「そんなことをやっている場合か?」と言いたくなる方向に向けるよう作用した感さえある。当時の研究者、技術者も大半が会社を去り、貴重な技術 は継承されないまま忘れ去られようとしている。

 日本の太陽電池世界一を陥落させた根源はSi原料の不足であった。この問題に正面から取り組まず、薄膜に逃げて事態をさらに悪化させているように思われる日本の太陽電池の起死回生策はあるだろうか?

 30年来の太陽電池研究の歴史から見て、最近世間で‘はやり’の太陽電池研究に希望的観測はいっぱいあっても、真にグローバルなエネルギーに貢献するシ ナリオは読めない。Grid Parityを実現するための革新的Siスマートプロセスの可能性を、あらためて真剣に、かつ早急に再検討する必要がある。SSERCプ ロジェクトの一部として始まったわれわれのソーラーシリコン学術研究を、「シリコンを制する者が太陽電池を制する」の旗印を掲げ、学産官の加速的技術開発 に発展すべきである。シーメンス法は化学の観点から詳細に検討すると、完璧どころか超高純度を達成するために反応速度や反応収率を犠牲にし、エネルギー消 費も高い欠陥プロセスであると言っても過言ではない。先述のFBR法やVLD法は反応速度の向上には有効でも、反応収率の向上とSEG―Siレベルの純度 に課題を残している。



 熱力学,動力学,計算科学に遡る反応解析と設計,実験的検証を並行して進めているわれわれのソーラーSiアプローチとGrid Parity太陽電池戦略を図6に示す31)。

 これらの技術革新について、学(東京大学,日本大学,弘前大学,東北大学),官(NIMS),産(セメント,カーボン,ミネラル等)の連携研究が、ささ やかにスタートしている。①CVD法の革新のねらいはSEG―Siの製造コストダウンであり、キーポイントは低収率の原因となっている副反応をおさえ、水 素の活性化で反応速度と収率の両者を上げることにある。このアプローチでは、CVD原料の精留・高純化を経るので、SEGグレードへの到達が目標である 32)。

 直接還元②のねらいは、現行シーメンス法の珪石(塊状)を木炭で固相還元してMG―Siを作る過程を、珪砂のカーボン粉による還元に置きかえ、さらに大 幅なコストダウンを達成することにある。珪砂を原料とすることで以下の利点が期待できる。珪砂(シリカ)は地球上で最も豊富な世界中で手に入るありふれた 天然資源である。目標達成のキーポイントは、反応炉の材質を含めたクリーン化設計、反応過程の計算科学と診断、研究者の信念と研究資金であろう。

1) 素原料(シリカ,カーボン)の段階で不純物(特にB,P)を除くことができる。

2) SiO2/C比を適当に調整しペレット化した高速熱還元反応によるアップグレードMG―Si(≒99.9%純度)の合成。
3) アップグレードMG―Sの一方向凝固による6N純度のSOG―Si一段合成。

 シリカの直接炭素還元は、化学的・精錬的に見て製鉄技術と共通性がある。高炉による鉄鉱石のコークス還元は珪石の木炭還元に、粉末シリカのカーボンによ る還元は粉末冶金に類似する。製鉄と対比したシリコン製造の状況を図7に示す。



 Siの生産は大きく伸びてはいるものの、現在の金属Siの生産量は鉄の1/1,000以下、SEG―Siでは1/10,000以下にすぎない。純度レベ ルが大きく異なり還元に必要なエネルギーも大きいとはいえ、より豊富な資源を有するシリカから100万t(日本の鉄鋼生産の1%)のSOG―Siを作るの は不可能な目標ではないだろう。現行の結晶Si系太陽電池10g―Si/Wで計算すると、1万tのSiから1GWの太陽電池、100万tからは100GW (1億kW)の太陽電池が生産できる。日本の太陽電池世界一への復権は、一見遠回りに見えるSOG―Siの革新技術開発が本命ルートになると考える。

 100GWの太陽電池は、日本の日射量を考慮した利用率12%として、1,200万kW、サハラでは2,500万kWに相当する。太陽電池パネルが20 年使えるとして、1/4を国内に、3/4を輸出に回せば、日本の電力需要の半分くらいを賄うと同時に巨大輸出産業が出現することになる。製鉄/自動車を軸 とする日本の産業構造に製珪/太陽電池を軸とする新クリーンエネルギー産業が生まれるのである。

▶ SSB計画の展開

 SSB計画のもう1つの柱は高温超伝導(HTSC)線による長距離直流送電技術である。技術の現状を図8に示す。



 HTSCケーブルにはBi(Bi2Sr2ca2Cu3Ox)系(Tc>100K)とYBCO(YBa2Cu3Oy)系(Tc≒90K)とがあり、現時点 ではBi系の方がプロセス(熱圧延)的にも特性的にもリードしている。直径16cmのCu線に相当する電流を流す4mm×0.2mmのAgに埋め込んだ 2kmテープ(住友電工製)を連続製造できる20)。この線材を使った200mの液体窒素冷却直流送電システムが中部大学に建設され、世界唯一の専用研究 施設として動いている21)。送電ロスの少ないHTSC直流送電は500km以上の長距離送電ではコスト的にも高架線に比べて有利になる可能性を有し、地 下送電はセキュリティー上も優れている。

 アルジェリアとの連携で始まったSSERCのその先にあるSSB計画は、隣国のチュニジアはじめアラブ諸国の関心を高めつつある。特に、従来のODAの ように、既存技術の移転と現地での運転技術指導ではなく、未開発のソーラー技術を最初から協力して研究開発することで、自ら考える科学技術人材育成に協力 する日本の姿勢を高く評価している。アラブマネーで基礎研究の加速的推進を支援する機能を含むSSB foundationを設立し、日本とアラブの協力を基礎研究から、雇用,産業育成,ビジネスに展開するプランの準備も進行している。

 アフリカはいつまでも開発途上国でなく、オイルマネーで急速に経済成長し自らの人的、経済的資源を用意して科学技術人材、産業の育成を目指している国も 多い。将来に役に立つ技術開発には、高い知的水準を維持し目先の利権を求めない日本との連携が期待されている。

謝辞:本稿に関連するサハラソーラーブリーダー計画の提案と世界への発信、サハラソーラーエネルギー研究センター(SSERC)を拠点とする計画の発進 (Initiative)についてご支援、ご協力いただいている日本学術会議(SCJ),科学技術振興機構(JST),国際協力機構(JICA),関係 者,およびSSERCプロジェクトメンバーの藤岡洋,下山淳一(東京大学),黒川浩助(東京工業大学),角谷正友(NIMS),古屋泰文,佐藤裕之,伊高 健治(弘前大学),山口作太郎(中部大学),松浦孝(UCL),上野晴樹(国立情報研究所),北村陽慈郎(アラブ経済研究所),橋本拓也(日本大学),お よびAmine Stambouli教授をはじめとするオラン科学技術大学(USTO)の各氏に感謝する。

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