Waterfalls Blog

The Blog of "Waterfalls: Taka's Hemisphere"

Billy Joel In Concert 2006@東京ドーム

2006-12-12 | Live Report
11月28日(火)、ビリー・ジョエルの単独公演としては実に11年ぶり(エルトン・ジョンとのジョイント・ツアー『Face To Face』日本公演から数えても8年ぶり)となる日本公演の初日となる東京公演を観に、東京ドームに行ってきました。

ところで、ビリー・ジョエルのライブと言えば、先に触れずにはおれないことがあります。実は、11年前のアルバム『リヴァー・オブ・ドリームス』を引っさげての来日公演が、初のビリー・ジョエルのライヴ体験だったのですが、結果として、生涯忘れることの無いライヴとなることとなりました。と言いますのも、私の観に行く日は、1995年1月17日だったからです。そう、あの阪神・淡路大震災当日の夜の予定でした。その日は、翌18日の試験に備えて明け方まで試験勉強をしていて、準備万端となり安心して夜のライヴに備えて就寝しだした直後に、強烈な揺れと共に電気が全て消えて、とてもビックリした記憶が、今でも鮮明に残っています。幸い、我が家は大阪近郊に位置していたということもあり、家の倒壊は免れましたし、停電等も2時間程度で復旧しましたが、その後、テレビで惨状を目の当たりにし、当然その夜のコンサートは勿論、翌日18日の公演も含め、少なくとも大阪公演は中止となるだろうと思っていましたし、ビリー・ジョエル一行も大阪入りしているとしたら(実際、既に大阪入りしていて、大阪市内の宿泊先ホテルにて阪神・淡路大震災に遭遇)、怪我とかしている人が居たら、残りの日本公演全てが中止となる可能性もあるかもしれない、とまで思っていました。(実際、震災後の予定されていたライブのほとんどは、洋楽アーティスト・邦楽アーティスト関係なく、軒並み中止や数ヶ月先まで延期になっていました。)しかしながら、FM802で17日の公演は19日に延期して行うこと(18日は予定通り行うこと)を知り、被災した神戸の人達(友人も多くが被災しました)のことを考えると複雑な心境でしたし、余震の不安もかなりありましたが、友人と19日の延期公演に行きました。

しかしながら、いざ大阪城ホールに入ってみると、元々はステージ裏席まで完売で立ち見席の追加まで出る程の売れ行きだったはずなのに、かなり空席が目立っていて、来れなくなった人達の中には被災した方も多いのだろうと思うと、やはりかなり複雑な心境となりました。しかし、ビリーは開演時、通訳を伴ってステージに現れ、複雑な心境で来ている我々の心境を察してか、収益金は被災地に寄付することや、一度は中止を考えたがこういう時だからこそ自分がコンサートをすることによって、被災された人々に勇気を与えることができればと思って、コンサートの日程を変更してまでも開催することにした、といったようなことを語ってくれて、漸くその夜は楽しもう、という気になれた記憶があります。(その後、朝日新聞の記事で、スタッフは怖いのでもう残りの公演を中止して帰国したいと言い出していたのを説得してまで、大阪公演やその後の日本公演を行ったことを知り、その心意気に感動した記憶があります。)

その後、1998年3月28日に大阪ドームで行われたエルトン・ジョンとのジョイント・ツアー『Face To Face』大阪公演にも行きましたが、やはりもう一度、単独公演を後ろめたさを感じることなく観てみたい、と思っていただけに、ほんとに楽しみにしながら会場へと向かいました。

ということで、非常に前置きが長くなりましたが、今回の11年ぶりの単独公演には、色々な思いが交錯しました。ただ、風貌も随分変わり、かなり頭は禿げて恰幅も良くなっていましたし、近年はアルコール依存症や鬱病が原因で入院したり、2度の交通事故を起こしたりと、私生活で数多くのアクシデントに見舞われていたこともあり、11年前や8年前の時のようなエネルギッシュなライブはもう観れないかもしれない、という不安も多少ありました。また、1993年発表の『リヴァー・オブ・ドリームス』を最後に新曲中心のポップ・アーティストとしての活動から離れると宣言して以降、本当にオリジナルの新曲だけのポップ・ミュージックの新作アルバムを出してきていないことからも、果たして平日の東京ドーム二日間って、11年前までならまだしも、今でも観客入るのかな、とも不安に感じていまして、ガラガラの会場での単なる懐メロ・ショーに終わったら寂しいかもな、とも思っていました。

しかしながら、いざ会場に入ってみると、2階席中程まで埋まっていて、ほぼ満員でホットしましたし、1曲目の「Angry Young Man」でのイントロの印象的なピアノの早弾きを聴いた瞬間、まずピアノの演奏テクニックに対する衰えの不安が解消されましたし、歌いだした瞬間、歌声にも衰えは全く感じられず、高音まできれいに響いていたことに、素直に感動を覚えました。そして、二曲目の「My Life」からは、自身が中高生時代に慣れ親しんだ曲のオンパレードでしたので、自然と懐かしさが込み上げてきて、少しばかり感傷的にもなってしまいました。そんな中でも三曲目の「Miami2017 (I've Seen The Lights Go Out On Broadway) 」は、リチャード・マークスによるカヴァー(1994年発表のアルバム『Paid Vacation』日本盤収録)がきっかけで大好きになった曲ということもあり、ライブで今回聴けると思ってなかっただけに、とりわけ感動しました。また、「I Go To Extremes」では、ベン・フォールズばりに椅子を蹴り倒して、中腰でピアノを弾いたりお尻で弾いたりと、激しくアグレシッブな演奏を披露してくれました。途中、AC/DCの「Highway To Hell」のカヴァーでは、“Chain Saw”ことRicky "Chain Saw”LaPointeというGuitar Technicianに、長年一緒にツアーをしてきた彼にチャンスをあげてくれ、と言って歌わすコーナーがありましたが、その時のギターを楽しそうに弾きながら走り回っているビリーもまた印象的でしたし、その曲以降はロックン・ロールのオンパレードで、会場は一気に大盛り上がりとなり、ビリーもマイクスタンドを担いだり蹴り上げたりといったパフォーマンスで観客を大いに沸かせました。また、最後は定番の名曲「Piano Man」の演奏だったのですが、米国とかでは観客に歌わすと大合唱となるサビの「Sing us a song, you're the piano man. Sing us a song tonight. Well, we're all in the mood for a melody. And you've got us feeling alright」の部分も、さすがに日本ということもあり大合唱とまではいきませんでしたが、想像以上にきれいな合唱が実現しまして、まさに“we're all in the mood for a melody”という感じで、感動的でした。

ということで、漸く今回、ビリー・ジョエルのライブを心置きなく楽しむことができました。ただ、やっぱし、新曲が1曲もないというのは、寂しく感じましたので、できれば、今回の久々のワールド・ツアーをきっかけに、1993年発表の『リヴァー・オブ・ドリームス』以来となるオリジナルの新曲だけのポップ・ミュージックの新作アルバムを再び作って、次回は新作からの新曲中心の構成での現在進行形のライヴパフォーマンスを披露してもらいたいものですが、やはり無理なのでしょうか。

最後に、Sony Music Online Japanの公式ページに載っていたその日のセットリストを下記にご紹介します:

1.Angry Young Man / 怒れる若者
2.My Life / マイ・ライフ
3.Miami2017 (I've Seen The Lights Go Out On Broadway) / マイアミ2017
4.Honesty / オネスティ
5.The Entertainer / エンターテイナー
6.Zanzibar / ザンジバル
7.New York State Of Mind / ニューヨークの想い
8.Allentown / アレンタウン
9.Don't Ask Me Why / ドント・アスク・ミー・ホワイ
10.The Stranger / ストレンジャー
11.Just The Way You Are / 素顔のままで
12.Movin' Out (Anthony's Song) / ムーヴィン・アウト
13.An Innocent Man / イノセント・マン
14.Keeping The Faith / キーピン・ザ・フェイス
15.She's Always A Woman / シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン
16.I Go To Extremes / 愛はイクストリーム
17.The River Of Dreams / ザ・リヴァー・オブ・ドリームス
18.Highway To Hell / 地獄のハイウェイ(AC/DCのカヴァー)*
19.We Didn't Start The Fire / ハートにファイア
20.Big Shot / ビッグ・ショット
21.It's Still Rock And Roll / ロックン・ロールが最高さ
22.You May Be Right / ガラスのニューヨーク
---------ENCORE1------------------------------
23.Scenes From An Italian Restaurant / イタリアン・レストランで
---------ENCORE2------------------------------
24.Piano Man / ピアノ・マン


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3 Comments

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Unknown (naonao)
2006-12-12 14:54:32
こんにちは。私は今回ビリーのコンサートには行ってないのですが、TBつけさせていただきます。よろしくおねがいします。
しかしながら阪神大震災のときにビリーが来日していてコンサートを続行していたんですね。(当時私は2年かけた世界旅行に出ていてバンコクで阪神大震災のニュースを知りました)何だかビリーらしくていい話だと思い思わずコメント書かせていただきました。歌手生命が絶たれたのではと噂されてましたが、今回のコンサートは本当に素晴らしかったようで本当良かったです!!
コメント&TBありがとうございました (Taka@管理人)
2006-12-14 01:17:25
こんばんは!早速のコメント&TB、ありがとうございました。ほんと、ロックからの引退を宣言するまでは、頻繁に来日していたんですけど、特に21世紀に入ってからは、来日はおろかライヴ自体、もう二度と出来ないのでは、と思っていただけに、今回の来日公演の実現は、嬉しいサプライズでした。しかも、風貌は止むを得ないにしても、肝心の演奏や歌声に衰えが全く見られなかったのは、本当に嬉しい驚きでした!
BJ関連記事紹介 (Taka@管理人)
2006-12-14 01:31:35
今回の来日に前後して、ビリー・ジョエル関係の記事はあちこちで見られますが、自身のレビュー内で触れていた事柄と関連ある、興味深い記事を二つばかり見つけましたので、下記に紹介します:

1:阪神大震災に関するBJ最新コメント(2006年10月23日付記事より)

 95年の来日では大阪公演の当日、阪神大震災に遭遇した。「ホテルで寝ていたら突然すごく揺れて、倒壊するかと思った」

 数千人の犠牲者が出たと聞いて迷ったが、あえて2日後にコンサートを開いた。「人々の気持ちを奮い立たせるためにも、予定通りやってくれと言われてね。感激したのは、交通もマヒしている中、たくさんのファンが来てくれたこと。収益は赤十字に寄付した」

 「9・11同時テロも衝撃だった。ニューヨークが破壊されるなんて。阪神大震災は天災だが、これは人間がやったのだから。この時も直後にコンサートを開いて、みな結束して乗り越えようと呼びかけたんだ」

※ URL: http://www.asahi.com/culture/music/TKY200610230203.html

2:BJ引退宣言の真意

原文:http://www.contactmusic.com/new/xmlfeed.nsf/mndwebpages/billy%20joel%20%60i%20havent%20quit

対訳:http://ccr2.blog9.fc2.com/blog-entry-1028.html

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