むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

パッションフルーツ:果物時計草(青い失敗)

2015-11-30 10:46:32 | 植物観察記録
日よけのグリーンカーテンにとプランターに植えたパッションフルーツ:果物時計草が2階のベランダまで伸びましたが、肝心の花や果実がついたように見えないまま、秋になって蔓をしまおうと引き下ろしてみると、いつの間に花が咲いていたのか先端の方に2個だけ青い実がついていました。刈り取らないで置いて果実が熟するのを待ってみましたが、実をつけのが遅すぎたのかいつまでも青いままでした。
切り取ってしばらく部屋に置いていても青いままで表面に皺がが入ってきたので、カットしてみると黄色い粘膜に包まれた種子が出てきました。試しにスプーンですくって食べてみると、甘酸っぱくて食べられないというほどでもありませんでした。
もともと南米原産の時計草の仲間で、常緑の蔓状で巻きひげがあります。沖縄当たりでは栽培もされていて、パッションフルーツというと、語感的に熱帯=情熱を連想する向きもありますが、もともとパッション(passion)には苦しむこと、キリストの受難という意味があり、トケイソウのパッションフラワー
は「キリストの受難の花」の意味で、花の子房柱は十字架、3つに分裂した雌しべが釘、副冠は茨の冠、5枚の花弁と萼は合わせて10人の使徒、巻きひげはムチ、葉は槍であるなどと言われて、かつてはこの花をキリスト教布教に利用したことからきているといいます。
名前の由来はともかく、この熱帯産の植物を冬越しさせて来年ちゃんと実らせようと思い鉢上げして室内に取り込みましたが早くも黄変し始めてどうやら難しそうになっています。

ハイアワユキサンダングサ:這淡雪栴檀草(冬に咲き続ける) 

2015-11-28 09:35:01 | 植物観察記録
11月も末の南紀潮岬に季節外れとも思える白い花が咲いていました。シロバナセンダングサに似ていますが花が大きいなど少し様子が違うようです。調べてみると、荒っぽくいってシロバナセンダングサより花の大きいものをアワユキサンダングサといい、茎が直立して葉が5枚の複葉のものをタチアワユキセンダングサとし、そのうち茎が下部で横に広がり、葉が通常3枚の複葉になるものをハイアワユキセンダングサとするという旨の記事がありました。
白い花のセンダングサの仲間に関してはいろいろな調査や説があるようですが、撮って帰った写真で見るかぎり、小葉が3枚となっており、暖地に多く、花期が通年とされるていることも合致するので、潮岬の白花のセンダングサはハイアワユキセンダングサということで取り上げました。

キンギンナスビ:金銀茄子(なるほどの名づけ) 

2015-11-27 15:29:40 | 植物観察記録

11月25日、潮岬の草原を歩いていると、緑の葉の下に沢山丸く赤い実がついているのを見かけました。一瞬ハマユウの実かと思い、写真を撮ろうと近づいてみると、葉にも茎にも、果実の萼片にもぎっしりと鋭いとげがついていいます。ワルナスビのようでもありますが熟した実が真っ赤なのが気になります。
調べてみると、ワルナスビの近縁でキンギンナスビ(ナス科ナス属)というのに行き当たりました。
ミナミアメリカ原産で、葉の表裏の葉脈や側脈、茎や萼のまで鋭く硬い棘が密生します。
夏期、直径1㎝ほどの白色の星形の花をつけます。
果実は直径4㎝ほどで、はじめ白色で緑色の筋があり、熟すと赤くなります。黄色い果実を熟すワルナスビと異なる点です。
白から赤に熟してゆくところからキンギンナスビの名がついたと思われます。別名にニシキハリナスビがあります。
明治年間に観賞用に導入されたといい、今では暖地の海岸などに発生するとあります。
11月末の潮岬にはワレモコウやツリガネニンジンなどの花が残っていて、さすが本州最南端の景色でした。

白→橙→赤と熟してゆく

オニルリソウ:鬼瑠璃草(高温異変?)

2015-11-24 09:26:05 | 植物観察記録
11月上旬、洛北雲ケ畑の道端のあちこちにオニルリソウ:鬼瑠璃草(ムラサキ科オオルリソウ属)の根生葉が育っていました。
見てゆくとそのいくつかに花茎が立って、浅い青紫色の小さい花が咲いていました。
オニルリソウは山地の草地に生える2年草で、茎の高さは40~80cm、茎には長さ2mmほどの粗い開出毛があります。
本来の花期は夏で、6~8月、枝先に長い穂状の花序を伸ばし、ワスレナグサ(勿忘草)に似た小さい花をまばらにつけます。
この夏の花が冬も近い11月に咲くのは珍しいはずで、単に狂い咲きというには数が多すぎます。
今年は10月から11月にかけて異常高温が続き、自然界にもいろいろ異変がおきていますが、オニルリソウの冬の開花もそのひとつなのでしょうか。
この時期これが普通

ベニバナヤマシャクヤク:紅花山芍薬(鮮やかな赤と黒) 

2015-11-23 13:12:40 | 植物観察記録
11月上旬、洛北雲ケ畑足谷のベニバナヤマシャクヤク:紅花山芍薬(ボタン科ボタン属)の袋果が熟し鮮やかな黒と赤の種子が露出していました。
足谷のベニバナヤマシャクヤクは、わずかに紅色を帯びる部分はあるもののほとんど白色ですが、花柱の数がヤマシャクヤクの3個に対し、 ベニバナヤマシャクヤクの花柱は5個、第1葉のつく位置と花柄の長さがベニバナの方が明らかに長く、ベニバナの花期は山より約40日も遅く、花柱の数がヤマシャクヤクの3個に対し、 ベニバナヤマシャクヤクの花柱は5個などの明らかな違いがあり、 花色にかかわらず、ヤマシャクヤクとベニバナ芍薬はこれらの点で弁別・同定されています。
果実は袋果で、赤く熟し,袋果が裂開すると、熟した種子は濃い黒紺色、未熟種子は赤色になります。
一見ばらばらにつているように見えても、花柱の数と同じ5個の袋果のあとが見えるはずです。
見るからにどぎついようなこの赤と黒の種子は、小鳥などの目を引くためかと思いましたが、逆に恐れさせて食べられないようにするという説もあるそうです。
(足谷のヤマシャクヤクの花は’14年6月19日に取り上げています)

リュウキュウマメガキ:琉球豆柿(小粒ゆえに観賞用に) 

2015-11-22 15:51:14 | 植物観察記録

洛北雲ケ畑の足谷に自生するリュウキュウマメガキ(カキノキ科カキノキ属)の実が熟していました。
落葉高木でカキノキでは珍しい雌雄異株で、花は6月末、雄花はつぼ型で薄黄色の花冠を2個、雌花の花冠は四裂し反り返ります。
果実は液果で11月に完熟、さらに乾燥すると渋みは減り食べられます。
少し頂いて食べてみました。確かに柿の味はしますが、何分小粒のこと、食べた気分には程遠いものでした。食用よもおり観賞用になるというのもうなづけます。
琉球の名がついていますが西日本に広く分布しますし、信州柿の別名があるのに、長野県には分布しないといい、どうしてこの名がついている不思議な柿です

ヒガンバナ:彼岸花(葉を見て花も見る)

2015-11-21 16:32:32 | 植物観察記録

三田市の東奥にこんなところがあったのかと思うくらい、里山を控えて平らな水田がどこまでも広がっています。そんな高平地区の観福の森ハイキングコースを歩きました。
田んぼの土手に真っ赤な花が咲いていました。11月のこの時期に何の花だろうと近づいてみるとなんとヒガンバナ:彼岸花(ヒガンバナ科ヒガンバナ属)でした。
ヒガンバナは名の通り、彼岸の頃気温が18℃から20℃になると、各地でいっせいに咲きだし、花が終わると、葉が出てきてまわりの植物が枯れる中冬の陽だまりの中で盛んに光合成をおこなって、球根に栄養を貯蔵し、次の秋の開花に備えます。
花のときは葉がなく、葉のときは花がないのでヒガンバナのことを「葉見ず花見ず」などともいいます。
この珍しいヒガンバナの返り咲きは、すでに伸長した緑の葉の中に、低い背丈で咲いていました。
秋咲くべきところを咲き遅れたのか、あるいは異常に続く今年の秋の高温に驚いて、あわてて未熟なまま来年の花を咲かせてしまったのか、理由はよくわからないにしても、異常気温のしからしめた現象である可能性は否定できないような気がしていました。

ランシンボク・カイノキ:楷の木(楽しみな将来) 

2015-11-19 15:57:08 | 植物観察記録

今年4月に開校した立命館大学茨木キャンパス(立命館いばらきフューチャープラザ)を開校直後に見学したとき、「楷の木の道」というのが設けられているのを知り、紅葉の具合がどうかと見に行ってきました。
楷の木は中国の孔子廟に植えられ、学問の聖樹とされて、岡山の閑谷学校や東京の湯島聖堂の木は有名です。
植物の名としてはランシンボク:爛心木といい、ウルシ科ランシンボク属に属する落葉高木で、高さは15~25mになります。
葉は互生し偶数羽状複葉、小葉は5~9対、枝や葉に独特の香気があります。
立命館いばらきの楷の木は今年植えたばかりで、さすがに葉の付き方もまばらで、見事な紅葉とはいえませんでした。
それでも、15本もの楷の木が1列に並んだこの「楷の木の道」は大変珍しく、10年後20年後には立派に成長して人気の並木となること間違いなしと思ったりしていました。

イガホオズキ:毬酸漿(意外に美味しい)

2015-11-15 12:01:40 | 植物観察記録

洛北雲ケ畑・足谷の山に葉が枯れ果てたイガホオズキ:毬酸漿(ナス科イガホオズキ属)に、青白い果実が残っていました。
イガホウズキは産地のリンナイに生える高さ50~70㎝の多年草で、6~8月葉腋から淡黄白色の広鐘形で直径5㎜程の花を下向きに下げます。
面白いのは果実で、花のあと先の開いた球形となって液果を包み、直径約1㎝、名前の由来である緑色でまばらに棘状の突起がつきます。
案内の方が食べられますよとで、恐る恐る棘のついた果実を食べてみると、意外にも甘くてジューシイ、食感ももっちりした感じがあり、最近人気がある食用ホオズキに似て、意外に美味しいく驚きました。

ネコヤナギ:猫柳(葉柄に眠る猫の子) 

2015-11-14 13:09:21 | 植物観察記録
みたらい渓谷ハイキングコースを歩いていて、洞川近くの山上川畔のネコヤナギ(ヤナギ科ヤナギ属)の枝に赤く膨らんだものが見えました。花芽かと思ったのですが、よく見ると葉柄の基部が膨らんだものでした。
ネコヤナギの花芽は、葉が落ちる晩秋のころ肥大した葉柄に包まれます。芽鱗は1個で、枝側で合着して帽子状になります。家へ持ち帰り膨らんだ葉柄の基部を断ち割ってみました。まず芽鱗が出て、その中から花芽の白い綿が出てきました。もうすぐ葉が落ちて花芽の芽鱗が現れるはずです。晩秋の川辺のネコヤナギの枝に来春に向けて白い毛の猫の子が育っています。雌雄別株ですが雄か雌かは確かめられませんでした。(ネコヤナギについては'09年3月9日に取り上げています)