アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

忘れてはいけないーと、舟木さんが言った事。            萩尾 農

2011-06-23 | その他
東北大震災から100日以上が過ぎた。
復興は思うように進まない。
範囲が広域なこと、原発事故が復興を妨げている事、そして、政治に従事している人間たちの目があらぬ方向を向いている事が原因。
政治の主導で復興や救済をどんどん進めていく事が本当の姿なのだが・・・。
この国の政治がこんなにだめだとは・・・政治をする者たちが、ここまで自分たちの利権に固執するとは、「ここまで・・とは、これこそ、想定外だ」と言いたい。
与野党のねじれた状態の国会が・・云々いうが、それでも、この大災害と人災(原発事故)の前では、国民の命と生活を守るために、与党も野党も即、協力体制を敷く―と、思っていた私の希望は全くの幻想だったとすぐに知った。
国民の多くも、
「もう政治家は当てにしない」
と、思っているだろう。
その証拠に、政府機関よりも、民間の動きが早い。
政治は、国会のたかが期間延長を決めるのに、貴重な時間の何日を要したか。
個人としての意見を言わせてもらえば、原発が収束をみるまで、復興の道筋が軌道に乗るまで、国会は休むことなく動いてほしいと思う。年末まで延長したって、長すぎる事は無い。
被災地の状態をみれば、国会議員が夏休み―などともってのほかだ。議員の本来の仕事を発揮するときが今だろう。
けれど、彼らの目も思考も、被災地を、人々を見ていない。
だから、イタリアの原発の存続を問う国民投票の結果の反原発を、
「福島の状態を見ているから、集団ヒステリーが齎した結果」
などという言葉が、かつては政権党だった幹事長から出る。
「彼らは、本当に何もわかってはいない。」―そういう、ある意味、絶望的な結論を持たなければならない国民は不幸だ。
それでも、この国の重大な事を決めるのは、あの人たちなのだから、国民は彼らから目を離してはいけない。

そして、私たちは、「忘れてはいけない」
被災を免れた私たちのするべきことは、「忘れない事」。
「時間が経ち、安心して、忘れてしまってはいけない」―と、昨日、舟木さんが言った。
「復興には長い時間がかかる。2年や3年では終わらない。20年30年という時間がかかる。皆が、忘れない事が大事だ」
と、彼は、ライブ会場で、観客を前にして、語った。
48年前に「高校三年生」という歌で18歳でデビューしてきた舟木一夫さんは、子供の頃の私のいわば、「王子様」で、その後、成人して(?)、物書きになった私は17年前に、ある出版社から彼を書いた著書を上梓した。
執筆段階で、対人間として話を交わしたこの人は、心根のとても温かな人だった。(顔立ちが整っているから、一見、冷たく見えるけどね)。
「王子様」ではなくなったが、「一人の人間」としての彼を、私はずっと応援していこうと決めた。
だから、その後の、この人のやることを目を凝らして見てきた。
「阪神(大震災)の時は2日ばかり、現地を見てきたが、今回は(被害が大きすぎて)怖くて見る事ができない」
と、語る。
そう、16年前の阪神淡路大震災直後に、この人は一人で現地に赴いて、現状を見て、体験をしてきた。
そのすぐ後、マスコミに明かすことなく、その年の暮れまでという長いスタンスでの募金活動を始めた。
あの時、
「今は誰でも救済に動いている。けれど、長い時間、現地にお金が届かないとならないから、今年、いっぱい、お金を集めます。よろしくお願いします」
と、観客に呼びかけて、自らは終演後、ロビーの募金箱そばに立ち、募金をしてくれた人々に握手をした。2回公演の後のこれは大変な労力を要したろう。体調が悪い時などは蒼白な顔をしてやっていたこともあった。
被災地の子供たちが入学するのにランドセルがないー創設された「ランドセル基金」に1000万円を持って自身で届けた。
その基金の事が筑紫哲也ニュースで流され、神戸市の行政の人々の中に、彼がいた。(それで、マスコミも知る所になった。)
そうやって一年間、やり遂げて、確か、4700~5000万円くらいを神戸に届けた。
この事は、私も、再版された前述の著書に書き加えた。
けれど、今度の東日本大震災は阪神淡路大震災を何倍も上回る、本当に、未曾有の災害となった。1000年に一度という。しかし、1000年前の災害の時は原発はなかった。だから、目に見えないものとの戦いは無かった。
本当に、長い長い歳月がかかる。
そう、舟木さんの言うように、本当に、私たちは、忘れてはならない。
人間は忘却の動物だから、また、忘れる事ができるから、生きていけるともいわれる。けれど、この悲劇だけは忘れてはいけない。
忘れない事が、被災を免れた私たちの義務、いや、使命といっても過言ではないだろう。

そして、次の世代に、安心して暮らせる祖国を残さなければ・・。
私は、この後の新規の原発建設は反対だ。
現在の54基の原発のうち、定期点検で停止し、その後、動かしていないものが大半で稼働中は19基。
原発は13カ月に一度、定期点検で止める事になっているから、19基も、やがて停止する。今、停止している原発をこのまま動かさないでいたとすると、来年春には全ての原発が止まる事になる。
それは理想的な事であるが、それまでに太陽光発電や地熱発電・風力発電などの自然エネルギー設備が整うわけがない。間に合わないだろう。
だから、原発には元々、反対であった私も、即、全部停止を望みはしない、無理なことだから・・。
ただ、原発にかける膨大な経費を自然エネルギー設備へかけてほしいと切望している。
電力会社とその利権に群がる一部の権力者たちや行政が、世界唯一の被爆国であった日本から、世界へ放射能を撒き散らしてしまった。
だから、その人々が、今もって、「原発は安全」「原発推進」と唱えることに、私たちは地球規模で「NO」と言わなければいけないのではないか。
全世界に、地球規模の被害を与えてしまったのだから・・。
現に、3月11日の翌日には、反対側にある国へも、ジェット気流に乗って、放射能が到達している事実が公表された。




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