アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

舟木一夫さん言うところの「その人」     萩尾 農

2010-03-27 | 音楽
舟木一夫さんが先日、2010年のコンサートツアーを開始した。
この人のステージはパワーと温もりが溢れていて、心の中が暖かく、元気になる。
「パワー」と「温もり」は、全くちがう種類のものと認識されそうだけど、その両方が、この人の作る空間には存在している。いろいろある道を歩いてきたこの人の「心」が・・ある。
最近のステージで「その人は昔」を歌う事が多い。
「その人は昔」という歌(というより歌劇・・といってもいいような)は当時のLPレコードの裏表に渡る長い歌だ。だから、ステージではそのテーマ曲部分を熱唱(まさに、熱唱!)。
「その人は昔」は青春の物語。映画にもなっているからDVDがある。
舟木さんは「その人は誰にでも居る」と言う。
「その人」は恋人であったり、友人であったり、先生であったり、あるいは両親の場合もある、人それぞれだと言う。
頷いた。そう、確かに、そうだ・・と、人生の道のある程度の距離を歩いてきたら、理解できる。
今の時点で、「年齢としての青春期」にある人々にはわからないかもしれないなぁ。その時は「その人」は恋人である場合が多いし、自身のその昔を振り返れば、友人を「その人」と思うことはなかったし・・。
けれど、本当に歳月が重なり、いろんな事を理解し、人が生きていく途上で思い通りに行くことの方がずっと少ない事を知り、それでも、ただひとつでも光があれば、それは、かなり幸せなことだと、よ~く、わかった頃、自分の中の「その人」の数は増えていた。
数が増えたから(?)というわけではないだろうけど、友人たちも「その人」の中にいた。
早々に逝ってしまった友人は、その昔、その頃の私では理解できないだろう問いかけのいくつかを私に投げかけてきた。振り返ってみれば、やはり、その頃、私は理解していなかったことが、書棚の引き出しの奥から、数年前に出てきた彼の昔の手紙を読み返して、よくわかった。
幼馴染の保護者のような雰囲気(?)の彼は、その昔、その若さで、こんな事を考えていたのか、そんな風に悩んでいたのか、答をいつも探していたのか―と、手紙を読んでみれば、今なら、あるいは答を返せたかもしれないと思う。それは遅かったかもしれないけど、そういう友人が、私にはいたのだと、そういう出逢いがあってよかったと、その昔は、どうにも素直ではなかった私は、今、素直に思う。
それで、その友人がとても好きだった岡林信康さんがコンサートツアーを始めたので、5月、行ってみることにした。
しかし、正直に明かせば、彼が岡林信康さんを好きだったことは、つい最近まで忘れていた。岡林ライブに「一緒に行こうよ」と誘った古い友人が、「○○は岡林信康、好きだったものねぇ」と言ったので、「そうだったっけ」と思い出した私のこの大ボケだ。・・で、もうひとつ明かすと、その友人についても「岡林ライブ・・行かないだろうなぁ」と半分以上思いながら(ゴメン!N子)、あきらめ半分で誘ってみた。そうしたら、意外にも(これも、ゴメン!)、「行く」という返事。彼女の気持の中には多分、その昔、彼女にとっても「幼馴染の保護者のような友人」であった彼の事があるのだろうな・・と、これは、私の勝手な推測。
でも、私は、天の彼には本当に悪いけど、自分が「今の岡林信康の歌」を聴きたいと思ったから―これが、本当の所。マ、彼は多分、そういう私だということは、昔も知っていただろうけど・・。
その人の葬儀の時、その人の友人が私とN子に、こんな風な事を喋った。
「あいつは、昔、二人の女の子のことを言っていた。二人はいつも一緒にいるが、一人はことごとく、俺に反発する」と。
「その女の子は私だ」と、思った。
本当は屈折していたのに(「屈折」という言葉は正しくないかもしれないが、「まっすぐ」に対する言葉として、ここでそう表現する)、その頃の私には「まっすぐ」に見えた彼が苦手だったことは確かだ。
それらの事も、その頃、関わった友人たちも、好きになった人も、みんな、これほどの歳月の果てには「その人」になった。勿論、「その人」の中に入れたくない人は入れない(!)しかし、その数よりも「その人」の数の方が多く、それを思えば、「悪い人生」ではなかったな・・と、安心する(ゲンキンな私だ)。

3月ももうあと少しで終わり。
昨日は暖かくなると言っていたのに、寒かった。夜はものすごく寒くなり、春は「足踏み」どころか、「尻込み」して、来た方向にクルリと向きを変えて、戻っていってしまったのかもしれない―とさえ思った。今日は、どうやら、ようやく、晴れた。でも気温はさほど、高くないから、桜も、まだ、足踏みかも・・。
せめて、春のように・・と先日、青空の桜の壁紙にしたが、あまりに青空が青く明るすぎて、ちょっと、気おくれするので、また、変えた。早く、「夜桜」の壁紙にしたいなぁ。


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