「どうした宮藤!リーネ!まだ3セット残っているぞ!」
私は声を張り上げる。新人二人が音をあげ始めたからだ。
「でも坂本さん流石にもうきついです」
肩で息をしながら宮藤が言う。リーネは滑走路に突っ伏している。
「ふむ、全くしょうがないやつらだ」
態度ではだらしない奴らだという風にしておきながら、内心私は反省もしていた。
確かにここ数日で訓練量を増やし過ぎたかもしれない。
それに扶桑に比べすごしやすいとは言ってもまだ夏だ気温も当然高い。
こんな中でかなりの時間運動しては流石にバテるというものだ。
「わかった。残っている走り込み3セットで今日の訓練は終わりだ」
途端に明るくなる二人の顔。全く現金なやつらだ。内心苦笑いをしながら表には出さず、
「ただし少しでも手を抜いたらもう1セット追加するからな!」
と宣言する。抗議の声を私は右から左に聞き流した。
「ちょっと焦ってるんじゃない?」
その夜珍しくミーナ中佐が私の部屋を訪ねてきた。
「そうか?新人達には多少厳しくしないとな」
私はそっけなく返す。
「宮藤さん達の訓練のことだけじゃなくて、最近の貴女はどこか焦っているように見えるの」
と私より年下の上官は私の心を見透かすようなこと言ってくる。
内心ギクリとしながら表面上は平静を装いつつ、
「そんなことは無い。私はいつも通りさ」
「そう…、ならいいわ」
半ばあきらめたようにミーナ中佐は私の部屋を後にした。
自室のベッドに寝転がりながら私は思いをめぐらす。
宮藤、リーネ。最近ようやく使い物になり始めた新人二人。
二人とも素質はある。だがまだ決定的に経験が足りない。
だから足りない経験を訓練で補ってやるしかない。
空に一緒に揚がれれば守ってやれる。でも私に残された時間は少ない。
もうすぐ仲間とは一緒に飛べなくなる。
だからせめて私が居なくても自分の身くらいは守れるようにこいつらを鍛え上げる。
多少疎ましく思われようがそれが私の厳しくする理由であり私に出来ることだ。
私は声を張り上げる。新人二人が音をあげ始めたからだ。
「でも坂本さん流石にもうきついです」
肩で息をしながら宮藤が言う。リーネは滑走路に突っ伏している。
「ふむ、全くしょうがないやつらだ」
態度ではだらしない奴らだという風にしておきながら、内心私は反省もしていた。
確かにここ数日で訓練量を増やし過ぎたかもしれない。
それに扶桑に比べすごしやすいとは言ってもまだ夏だ気温も当然高い。
こんな中でかなりの時間運動しては流石にバテるというものだ。
「わかった。残っている走り込み3セットで今日の訓練は終わりだ」
途端に明るくなる二人の顔。全く現金なやつらだ。内心苦笑いをしながら表には出さず、
「ただし少しでも手を抜いたらもう1セット追加するからな!」
と宣言する。抗議の声を私は右から左に聞き流した。
「ちょっと焦ってるんじゃない?」
その夜珍しくミーナ中佐が私の部屋を訪ねてきた。
「そうか?新人達には多少厳しくしないとな」
私はそっけなく返す。
「宮藤さん達の訓練のことだけじゃなくて、最近の貴女はどこか焦っているように見えるの」
と私より年下の上官は私の心を見透かすようなこと言ってくる。
内心ギクリとしながら表面上は平静を装いつつ、
「そんなことは無い。私はいつも通りさ」
「そう…、ならいいわ」
半ばあきらめたようにミーナ中佐は私の部屋を後にした。
自室のベッドに寝転がりながら私は思いをめぐらす。
宮藤、リーネ。最近ようやく使い物になり始めた新人二人。
二人とも素質はある。だがまだ決定的に経験が足りない。
だから足りない経験を訓練で補ってやるしかない。
空に一緒に揚がれれば守ってやれる。でも私に残された時間は少ない。
もうすぐ仲間とは一緒に飛べなくなる。
だからせめて私が居なくても自分の身くらいは守れるようにこいつらを鍛え上げる。
多少疎ましく思われようがそれが私の厳しくする理由であり私に出来ることだ。