髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

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天使の吐息 #37

2009-12-14 19:56:25 | 天使の吐息(詩)
40代の男性がいました。

「ヤバイ。もう0時過ぎた。うちのシンデレラの魔法が解ける~~ハハハ~」

今日は、奥さんに忘年会で遅く帰ってくるという話をしましたが日付が変わるまでには帰るという約束だったのにもう0時が過ぎてしまいました。

「うう~さぶぅ!これから歩いて帰るのはツライ~。ダメ元で迎えを頼んでみるか?」

家まで普通に歩いて15分ほどですが酔っているので30分はかかるでしょう。こんな寒い日に30分も歩いたら凍死してしまうと大げさな事を考えて携帯を取り出して電話をしました。

画面に表示されている電話番号を選択するだけでも目を凝らし何度も確認しなければならない程酔っていました。

しばらくコール音が続くようやく

「あなたね。今、何時だと思っているの?」

こちらが言うよりよりも早く奥さんが声を出しました。

「すまん!本当にすまん!ハハハハ!!」

やっぱり怒っています。もう笑うしかありませんでした。

「私、もう寝るからね。鍵は持っているんでしょ?また約束を破るなんてどういう神経をしているのかしらね?」

『怒っているよ~。どう迎えに来てくれって切り出そう・・・』

ヒュウ

『そうだ。こう言おう』

良い事を思いつきました。

「こんな時にすまないがお前に言わなければならないことがあったんだ。とても大切な事だ。いや、でも今、言うべきかなぁ?あんまり言いたくないな~」

「何、もったいぶっているの?言いなさいよ」

「お前を今でも愛しているぞ~!!」

かなり大声で叫びました。駅ですので疎らながら人も歩いています。1人ぐらい振り返ってこちらを見ていました。

「な、何、馬鹿な事、言っているの?」

「という訳で、車でお迎えに来てください。いつまでも若くて優しい天使さん。女神様~」

ちょっと驚いているようでしたので脈ありかと思いました。

「歩いて15分で帰ってこられるんだから歩きなさい。私だってお風呂に入ったんだからこんな時、外に出たら湯冷めして風邪を引いちゃうわ。あ、そうそう。間違ってもタクシーは使っちゃダメよ」

「そんな~。殺生な~」

プツッ!

それで切られてしまいました。

「仕方ない。寒いがそのまま帰るか~。星が綺麗なもんだな~」

夜風は冷たかったですが酔いの勢いでありますが愛していると言ってしまって妙に高揚感があるのでした。


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