髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

「キテレツ大百科」 レビュー (ファミコン)

2015-05-01 21:00:55 | ファミコンレビュー
藤子・F・不二雄氏原作の「キテレツ大百科」のゲーム
サイドビューアクションゲーム
エポック社から発売
1990年2月23日発売

あらすじ
「キテレツ」が夢見鏡を作り、「コロ助」と「みよ」ちゃんとで遊ぼうとして呼びに行くと
そこへ、「ブタゴリラ」と「トンガリ」が夢見鏡をイタズラしたものだから
5人は鏡の中に閉じ込められてしまった。

「いま、キテレツのぼうけんがはじまる」


ゲームの特徴
コインを集め、「キテレツ大百科」に触れる事でその道具を発明する事が出来る。
コインがあるうちに連打する事で発明可能。連打が速いほど、少ないコインで発明可能。
(「妖怪道中記」みたいだな)

体力が尽きると
何故か閻魔大王から

「ライフを貸してやろうか?」

という事を言われ、9個まで借りる事が出来る。それ以上は不可。
そして、ステージクリア後に閻魔大王への借りがなければパスワードを言ってくれる。
このライフを返したか否かでエンディングが変化する。

そして、このゲームの最大の謎というか特徴が
アイテム取ってもないし、説明もないのにジャンプして頭部にブロックが接触したときに

↑ボタンを押す事で『キテレツ』達が反転して
天井に張り付くことが出来る。(重力が逆転する)

これを駆使してゲームを進めていくのである。


操作方法

左右キー:移動
下キー:しゃがみ続ける
上キー:しゃがみ状態解除
Bボタン:ダッシュ
Aボタン:ジャンプ
 ジャンプ中、頭にブロックが接触時に上キー:重力反転
 重力反転時ジャンプ中下キー:重力反転解除


スタートボタン:ポーズ
セレクトボタン:着いて来るキャラを「キテレツ」の場所に瞬時に集める。


得点は…測定不能

良い点
・なし

悪い点
・狂気そのもの
・操作性が悪い
・仲間いらねぇ
・仕様

悪い点の解説
・狂気そのもの
「夢見鏡」の夢って事で作り手はやりたい放題である。

髭人「はぁ?」
 「何がどうなってそうなるの?」
 「どういう発想なの?」

髭人は理解できずまさに開いた口が塞がらないって感じだった。
最初、コロ助がこのゲーム初めての発明に関して

コロ助「キテレツ地獄を作るナリ」

などと言い出す。

「ハッ?」

『キテレツ地獄』とは何なのか説明は皆無。
というかこのゲームの出来事、事象などに解説などというご丁寧な物はない。
終始、このゲームをプレイしているときは口が「ロ」の形をしていた。

・操作性が悪い
動きがもっさりとしていて穴によく落ちる。
穴に落ちると体力が減る。
それで体力が底をつくと地獄に行き上記の通り
閻魔大王がライフを貸すとか言い出してくる。
(というかこの閻魔大王って何者なん?)

それに特徴で説明したが
ジャンプして天井に触れている状態で↑ボタンを押すと
本人たちの重力が入れ替わり天井を歩くことが出来る。
その状態だと、足場がないと上に向かって
落ちていく(登っていくと言うべきか?)事になり
天井にブロックがないと穴落ち扱いで死ぬ。
逆さ状態でジャンプ中に↓ボタンを押す事で重力が元に戻る。


・仲間いらねぇ
このゲーム、状況によって「コロ助」と「ミヨ」ちゃんを連れていく事になるのだが
ミッキーマウス ~不思議の国の大冒険~」でも背後をついてくる「ミニー」が当たり判定はない。
穴に落ちると死ぬ仕様に結構鬱陶しいと思ったのだが、これを更に上を行く。
穴に誰かが落ちるとアウトなのは勿論、
体力も共用であり連れている誰かに攻撃が当たっても体力が減る。

操作性の悪さも相まってこの苛立ちは尋常ではないものとなる。
一応、セレクトボタンを押す事で離れたキャラを瞬時に引き寄せる事が可能。
それを駆使する事でやっと進めるぐらい。


・仕様
そんな穴に落ちやすく
ダメージを受けやすいという仕様にもかかわらずハートは場所固定制。
敵を倒していてもハートが出現しないのだ。
しかもパスワードはお金やハートを維持する。
ハートが乏しい状態で次面のパスワードを取ると苦戦を強いられる。
何度も繰り返してプレイしてハートに余裕を持ってクリアする事が推奨される。
折角発明した道具は画面が切り替わるともう用済みで再使用はできない。



髭人はまず、タイトル画面のパッと見で電流が走った。

「ヤベェ!!」

と、直観した。
1990年という同年11月に
スーパーファミコンが出た年だというのに眩しいぐらいの青背景
デカデカと「キテレツ大百科」と
ゲーム中に出てくる「キテレツ」「コロ助」「ミヨ」ちゃん
そして、キ~ンと聞こえてきそうなほど無音。

情報は少しは入っていたが実際、目の当たりにすると

「このゲームは危険だ!」

と、激しく意識させてくれた。
それに、画面の切り替わりは一瞬、全画面灰色に変わる点は

「バグッたか!?」

と、思わせる事請け合い。


しっかし上で紹介した

「いま、キテレツのぼうけんがはじまる」


を見て、どこかの某クソゲーを思い出したな。

「ながいたびがはじまる」


という、「スーパーモンキー大冒険」って奴をだ。
もう何もせんと大人しく終わってくれというのが心からの願いである。



しかし、『コロ助』のウザさは強烈大百科。
上記の話にさらに付け加えよう。
当たり判定を持つ『コロ助』。

中盤から一緒の『キテレツ』と『コロ助』だが
2人には結構な身長差があり
『キテレツ』の頭が天井に触れているからと言って安易に重力を反転させると
『コロ助』の頭が天井に触れない。

結果、
『キテレツ』は重力反転で天井にさかさまに張り付き、
『コロ助』は通常の重力の床に足を着いたまま。
画面は「キテレツ」を基本とするので
『コロ助』が画面外に出てしまって1死となるのである。
(残規制ではないのでハート減)

ティッタン🎵(拍子抜けする死にSE)

「え?」

って事が多々発生。
転落音も軽いので落下して死んだのかも分かりづらい。
それから体力が底を尽きて地獄に行くようなことになったら疑問符だけが湧き続ける…

そのうえ、発明の時、プレイヤーは連打をすることを強いられるのだが
その際『コロ助』は手を後ろ手に回しフラフラしている。

「早く完成させるナリ」

とでも言いたげである。
ただの足手まといのくせに殺意を覚えるほどだ。

「『コロ助』だけに『殺す気』ってね(笑)」

なんて言う人がいるかもしれないだが

髭人「ホント、笑えないよ。
 このゲームの『コロ助』に関してはガチ殺意。
 本気で死んで欲しいと思う。真面目な話」


まぁ、作り手はバランスを取るのを放棄している。
セレクトボタンを押す事で
離れた「コロ助」や「ミヨちゃん」が「キテレツ」の元に瞬間移動。
劇中に出て来た「天狗の抜け穴」を瞬時に使っているのだろうか?
そうでもしなければまともにゲームが出来ないという事で付けた機能なのだろう。
そもそも仲間を消すという発想は思い浮かばなかったのだろうか?

というか重力反転がデフォルト。重力反転って…
「ジョジョの奇妙な冒険 ~第6部~」の
「C MOON」のスタンド能力を当たり前に使うようなゲームっておかしいだろ。
(まぁ、『C MOON』の方に関して正確には周囲の物に重力の影響を及ぼすってもんだけど)
取説などにキチンとそこら辺の説明はしてあるのだろうか?
ないと思うけど仮にあったとしても

「夢見鏡の影響で…」

などと夢の責任にしているんだろうな。
この人達自身が夢見ながらゲームを作ったんじゃないのか?
誰か言ってやって欲しかった。

「コレは現実だよ」

とね。




さてゲームをプレイしながらレビューの事を考えてしまうのが癖になっている髭人。
タイトル画面を見てこう考えた。

髭人「レビューのオチはこうするか?
 キャラゲーは大抵クソゲーだしな…
 アニメ版の歌『睡眠不足』から取って…

 (製作スタッフの) 実力 実力 実力 実力 実力不足🎵(キリッ‼)

 うんうん。なかなかいい感じじゃないか」

そのような発想に至って満足していたんだけど…
プレイしていてそれが改められることになった。

何たってこっちは…

髭人「こ、これはもう…
 実力のあるないなんてレベルじゃねぇ…」

仕様の酷さ、世界観のカッ飛び振り…

髭人の地獄という名の下限を突き破ったまさに狂気溢れる恐怖のソフトなのである。
タッチ」と同じだった…
例えるなら

「うち、ちょっと散らかっているよ」

って言う人の家に行くことになる。
髭人は

『ちょっとぐらいの散らかりなら気にしないわ』

って思ったんだけどさ。実際行ってみたら『ゴミ屋敷』だった。
そんな感じだろうか?

まぁ、パッケージの時点で薄々感づいてはいたよ。
下を見ていただきたい。



左上、右上、右下に転がるコロ助の生首。
愉快っぽく笑顔なんだもんな。

あ?それは曲解?
生首が転がるとか言い方やめろって?
それは、確かに表現に問題がありましたね。謝罪いたします。ごめんなさい。

マスコット的なコロ助だから頭を配置したっていう意図はわかる。
が、何で左下にはないの?

それが気になるんだよね。
別に左下においてはいけないなんていう道理はないだろう。
スッキリしないんだよね。その部分――――――!!

髭人の個人的疑問なので忘れて下さい…
俺もこのゲームに引っ張られているんだろうか?
いや、これは素の可能性が高いか…(苦笑)




ここからがネタバレ





















このゲームをレビューするにあたってある単語を調べた。

「奇天烈:非常に奇妙なこと。珍妙なこと」

だそうだ。

スタッフ「奇妙で珍妙なら何でもOKだろ?」

という発想のまま作り上げた作品というのが髭人からは受け取れた。
理解不能な表現を並べてみよう。

「大きくなってしまい家に詰まって窓にデカデカとはさまっている『ミヨちゃん』」
「ボスを倒すと鏡のような部屋にあり
 扇風機のような形のブロックを踏むことでステージクリア」
「電池のようなものが表示され、豆電球っぽいの線につなぐと背景が明るくなる。
 背景は何故かサイコロばかり」
「家みたいな巨大な『カニ』が吐く泡に包まれて上方に移動」
「プラミッドっぽいステージなのにエレベータがあったり、別のフロアではなかったり…」
「B2、B1、と現在の階層を表示してくれるのかと思いきや存在しない階もあったり…」
「背景が大きな置時計の癖に文字盤が円形ではなく楕円形。
 しかも文字がキモイ字!何語!?」
「ラストステージ、デカデカと
 『ブタゴリラ』の父『クマハチ』が虫歯だらけで背景となって存在(2回も!!)」

もう着いていけない…
何をやっても『夢見鏡』という夢オチだからOKって意図なんだろうけど…
どっちかっていうと
「ジョジョの奇妙な冒険 ~第3部~」のデス13のスタンド攻撃って所だろう。


後、仕掛けの意味不明さもある。
例えば…

「『念力帽』を発明して、岩が積み重なった物が浮いて少ししてから落ちる。
 落ちた岩の所に特別なブロックがあり、それを押す事により、壁の一部が
 壊れ、壊れた壁の一部の中からコロ助が登場」

何を言っているのかって?俺も言っててわかんねーよ。
いや、ゲームで起きたことをありのままに言っているだけだって!!
一応、製作側の意図を想像するんだけどさ…
無理なんだって!
髭人の理解の範疇を超えているから
例えで形容したり表現する事する事ができねーんだって!!

他には

「水中にキテレツ大百科が紐をつけられて沈められていて
 陸上にあるカーリングのストーンを蹴ることにより、水に落ちて
 ストーンが水中をそのまま滑ってそのまま紐を切って
 『キテレツ大百科』が浮いてきて取得すると発明が可能となる」

何で水中に『キテレツ大百科』が中に沈められているかって?
知る訳ねーよ。
何でカーリングで紐を切るのかって?
だから知る訳ね――――よ――――!
だから、起こった事態をそのままに説明しているだけだって!!
分かり易く言うなら
ギミックが全く不明の『ピタゴラスイッチ』って所か?
意味不明やないか。

ゲーム展開の意味不明さもある

 「ハロウィーンで使う穴空きかぼちゃが出てくるのだが
  それに乗るとブタゴリラが何故か話しかけてくる」

お前はその先で捕まっているのに何故話しかけて来る?
何か音声の再生機能の道具のものなのか残留思念なのかそれとも作り手のミスなのか…
もはやプレイヤーが知る術などない。

誰か助けて―――――!!

上記、ジョジョの話を出したけど

「何を言っているか分からねーと思うが(略)
 もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…」

でおなじみの「ポルナレフ」
彼に解説を頼んだら全裸で逃げ出すレベルだろう。
「F-MEGA」というゲームをやり込んだ「花京院」がこのソフトをプレイしたら

「GAME STAND」

と、腕にナイフに文字を切り刻むのだろう。
刀にスタンドが宿っていた事もあるしな(「アヌビス神」)
ゲームにスタンドが宿るのもあり得ない話ではないだろう…多分…


そんなジョジョネタはともかくここまで来ると

「キテレツ大百科」というよりはもはや
「クレイジー大百科」というのが適切だろう。

ちなみにうちのこのレビュー記事に対して

「キテレツ大百科 トラウマ」

なんて単語で検索してくる方がそこそこいる。
確かにこの狂気の出来に恐怖を抱いたり、心を失念しかけてしまうのは想像にかたくない。

夢オチだからと言って何でもかんでもねじ込めばいいってもんじゃないんだよね。
いくらか物事には調和ってものが必要である。
同じ夢がメインのサイドビューのアクション作品なら
ココロン」が挙がるかな?
あれも童話などを組み合わせているけどメルヘンチックさを出す事で
独自世界を生み出す事に成功している。
しかし本作はどうだ?
思い付きをただゲームに入れているだけで整合性とかまるで感じない。
唐突。意味不明。無茶苦茶。

例えば
色ってのは「青」と「黄」だけ独立させて存在させると浮いちゃうけど
それを良い感じで混ぜる事で「青」「緑」「黄」と
自然な形で移り変わりを表現する事ができる。

本作の場合は強烈な色を独立してつぎはぎ状にしているしかない。
だから意味が分からない上に彩のどぎつさにより不安感すらあおる結果になったのだ。



さて、徹頭徹尾、訳の分からないままプレイをする。
取り敢えずクリア不可能な絶望的難易度ではないので
(結構難しいが…)エンディングを解説しておこう。

まず地獄で閻魔からハートを借りたままクリアすると

「キテレツ達の 長い冒険は終わった。
ライフを借りたままのキテレツたちは
こそこそと逃げ帰った。…END…
しかし、こんなエンディングでいいのだろうか?」


今まで夢で好き放題して来たくせにここにきて現実的になる意味不明さ…
というかエンディングの良し悪しより、このゲームの根本的に疑問を抱かなかったのだろうか?

「しかし、こんなゲームでいいのだろうか?」


とね。
髭人がスタッフならこのゲームに携わった事を自分自身の黒歴史として
ずっとこそこそしているわ。


だが、こんなソフトにもかかわらず

「エポック社の野球盤をよろしく」

という宣伝が含まれている。
まともな考えならこのゲームの出来なら絶対に社名を隠しさなければならないだろう。

髭人はこの記述について製作スタッフの中に他社のスパイが紛れ込んでいたと思っている。
故意にエポック社の野球盤の評判を貶めようとしてそんな宣伝を入れたんじゃないかと…
でなければこんなゲームに自社の一押し商品の名前を入れようとは思わないわ。



そしてハートの借りがなしの状態でクリアした正規のエンディングを記しておこう。


まず、家に向かう5人だが、5人の形をした雲が空に浮いているという珍事。
エンディングで即、怖いよ―――!!(エンディングで泣けるわ~)

キテレツ達の長い冒険は終わった!

(略)

コロ助「吾輩の活躍ぶりみんなに見せたかったナリ!」
ミヨちゃん「ええ、コロちゃんも素敵だったわよ」
コロ助「ミヨちゃんに褒められると照れるナリ。」
ブタゴリラ「俺、もう疲れた。うちへ帰るよ。またかあちゃんに怒られちまう。」
トンガリ「おい、キテレツ。またあんな夢でないかな?もう夢見るのが怖いよー!」
キテレツ「もう 大丈夫さ。レンズは取り換えたし(夢見鏡)夢見鏡も壊れたし…」
ミヨちゃん「そうね。今度はもっと楽しい夢を見たいわ」
キテレツ「それじゃ、また『夢見鏡』を作ってみんなの夢の世界で遊ぼうね。」
コロ助「吾輩はもう懲り懲りナリ!」


スタッフロールという運びとなる。


クリアして髭人は心からホッとした。
もうこれ以上、この気狂いじみたゲームを続けなくていいのかと…
まさに悪夢から覚めたのだと…
心から安心した。
この世の様々な物に感謝した…



さてこのゲームの締めと行こうか?

ラストステージ
奇天烈斎が

奇天烈斎
「子孫よ。よくぞここまで来た。
最後にお前の一番大切なものを与えよう。
それは勇気だ」

(『お前の』はゲーム中表記)


と言って、「キテレツ」に何故か剣を渡してくれて(何で剣やねん…如意光?)
敵となって出て来る「夢見鏡」と直接対決となる。
髭人はこの製作スタッフに心からこの言葉を贈ろう。



髭人
「スタッフよ。よくぞこんなゲームを作った。
最後にあなた方にゲーム製作に関して一番大切なものを教えよう。
それは正気だ」






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