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「元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険」 レビュー (ファミコン)

2016-12-30 21:00:07 | ファミコンレビュー
アクションRPG
バップから発売
1986年11月21日発売
「ゲームセンターCX」のワンコーナー『有野の!もしもし大作戦』で取り上げられた。

あらすじ
三蔵法師一行が天竺を目指す。
スタートボタンを押すと青画面に

「なか゛いたひ゛か゛はし゛まる‥ 」


という訳だ。

特徴…というかゲームの仕様か。

フィールドを歩いていると、水と食料を消費する。
戦闘でダメージを受けても水や食料があれば体力を回復する。
が、水と食料が尽きると体力を消耗する。
体力が尽きると
やっぱり青画面になり…

「ああ しんし゛ゃった」

と、表示され
ゲームオ―バーとなる。


パスワードは存在せず
ゲーム中の表示されるコマンドらしきものをタイトル画面で入力する事でその地点から再開となる。

得点は測定不能

良い点
・なし

悪い点
・意味不明
・隠しメッセージ

悪い点の解説
・意味不明


このゲームを端的に表せばこれ以外に適当な言葉はない。

「はぁ?」→「はぁ?」→「はぁ?」→「はぁ?」→続く…

何も解決せずそのまま突き進むゲーム。
その連続攻撃に脳をやられそうになる。

ただ、これで終わらせてしまっては未プレイの人はこの記事自体が意味不明になるので
次々とゲームで起こる意味不明要素を順に解説していこう。

①開始
②フィールド上
③戦闘
④戦闘後
⑤民家
⑥死亡後
⑦パスワード


①開始
タイトル画面でスタートボタンを押すと
上記の通りモニター一面に青画面が表示され

『なか゛いたひ゛か゛はし゛まる‥ 』

と、出た直後、それ以上の説明もなく普通のRPGのような
トップビューのフィールド上に放り出される。

「は?」

一応、「悟空」と馬に乗った「三蔵法師」がいる事は分かる。
だが、何をどうしていいのか全く分からず即座に途方に暮れる。


②フィールド上
まず、頭の中を整理する事に迫られる。

「これは『西遊記』のゲームだよな。『悟空』と『三蔵法師』がいるって事は…
 天竺がゴールなんだよな。
 よし天竺に行こう!」

目的地を確認。
周辺を軽く歩いてみるが何もない。
何かヒントを教えてくれるような存在がいればいいのだが…
フィールドはだだっ広い!!
もう心が折れそうになる。
どの方角に天竺があるのかすら分からないのだから…


それで、ちょっと怪しい行き止まりみたいな所があったりする。

「何かあるのかな?」

と、行き止まりまで歩いてみる。
このゲームは『調べる』コマンドがない。
アイテムでも出現するのかと思いきや…

ワープ!!

別のフィールドにまたも放置される。

「は?」

状況が分からない中でのワープはただ混乱を誘うだけである。
見えないワープ地点があるようだが…何故隠す必要があるのか?

③戦闘
大抵、ワープする前に戦闘が数回あるものだが…
ちと、順序をずらした。

フィールド上を歩いていると敵とエンカウントする。

キャラは小さ目で画面は広い。
でも、それほど広くない画面の左右がつながっているようで
そこそこ素早い敵が左右の端から現れ、画面端に行くと、再び逆の左右端から現れる。
というか動くと画面がスクロールするのに、画面端がつながっているような状態なので
動くと敵がすぐに反対側にワープする。
激しく混乱する。

Bボタンでジャンプ(ジャンプ中Bボタンで筋斗雲に乗る)
Aボタンで如意棒を振るう。

ジャンプしてからもう一度Bボタンを入力すると筋斗雲乗ると空中を自在に移動できる。

取り敢えずAボタンで如意棒を振るっているのだからひたすら敵に向けて
如意棒を振るい続けるのだが
敵味方ダメージを被ダメージのモーションはなく色が一瞬変わり
若干、音が違うので

「一応ダメージを与えているみたいだな」

って事は分かるがノックバックもないので手ごたえはなくダメージを与えている印象は極めて薄い。
というか画面固定にしてヒットアンドアウェイ的な戦闘にすればいいのだが
無意味にフィールドがスクロールするので下手に動くと
敵が端からワープするだけになって何が起こってるのか訳が分からなくなる。

取り敢えず、如意棒をその場で振るう行為を暫く続けていると
大抵の敵は勝手にやって来るので倒す事が出来る。

そのまま進めていくと『猪八戒』や『沙悟浄』を見つけていく事になる。
(そこまで行く前に心が折れる人が多いだろうが)
仲間は戦闘に加わるが勝手に動き回り敵に攻撃している様子。
作戦などというものはなく思考している様子もない。
敵の動きと同じパターンを行う味方って所だろうか?
個別の体力があり無くなると退場する。

連携を取る訳でもなく勝手にその辺を遊んでいるだけという印象しかなく
仲間と戦っている感は皆無である。
寧ろ勝手に動き回っているので目障りなだけである。


④戦闘後
戦闘終了後は何の表示もなしにフィールド上に戻される。
普通のRPGであれば

『○○の経験値と××ゴールドを取得した』

なんて表示があるがこのゲームにそんな気の利いた項目はない。
戦闘勝利音もなくフィールドに投げ出されるだけである。

「は?」

と、思い、何の高揚感もないまま旅を再開させられる事となる。
このゲーム、経験値はないし、お金もない。
基本、敵はアイテムを落とさないので戦闘は

単にRPGっぽい事をしているだけというハッキリ言って
体力を消耗するだけの無駄な行為である。


⑤民家
家があってその中に水や食料があったりする。
人がいるとヒントをくれるのだが

青画面に文字が表示されるのだ。

「は?」

完全に雰囲気をぶった切られて会話している気が全くしない。
フィールドは馬鹿広い為、運が悪いと初回プレイで民家にたどり着く事すらなく
食料、水が尽きてゲームオーバーとなった人も数多くいるだろう。


⑥死亡後
進め方がわからないと水や食料を消費する。
それが尽きると体力を消費し、体力が尽きると

『ああ しんし゛ゃった』

と、青画面となって上記の表示されてタイトル画面に戻される。
何故死んだのかどうしたらいいのかなどを教えてくれるほどこのゲームは優しくはない。
水や食料が減った時にアラームが鳴ったりとか曲が変わったりするなどの変化もない。
ただ無くなったら死ぬ。

「このゲーム…一体、どうしろというのだ…」

何の糸口さえつかめず茫然自失しているだけのプレイヤーは多かったのではないだろうか?

⑦パスワード
民家などで

『ABAB…』

などと青画面に突如としてアルファベットだけが表示される。

「は?」

という気持ちになるがこれがパスワードなのだ。

『これがパスワードです。タイトル画面で入力してね』

なんて親切な記述はない。
そのコマンドのみが表示されるので
ゲームの世界から現実に急に戻される事となる。

しかも、キチンとしたパスワードではなくただのコマンドにしか過ぎない。
細かい数値など記憶も出来ない。食料体力は全快となっている。

まぁ、ドラクエⅡでも『復活の呪文』での復活後は
パスワード取得前に死んでいた仲間が生き返っていたりするが
(蘇生のための費用はかかっている)
本作が凄いのは仲間にしていない「沙悟浄」や「猪八戒」をその時点で
仲間にしていなくとも
パスワード再開によって仲間になっているのだ。

つまり1人の『ローレシア王子』状態で『復活の呪文』での再開をすると
『サマルトリア王子』や『ムーンブルク王女』が仲間になっているというわけだ。
もはや仲間にするという行為自体が成立していないのである。



さて…
ここまで悪い点を説明して来たがこれらを理解してやっと

『なか゛いたひ゛か゛はし゛まる‥ 』

のである。
これらを理解しないと意味不明なままなのだから…
ここまでが修学旅行で言う荷物の準備なのです。
良く家に帰るまでが修学旅行なんて言うけどその逆ですわ。
準備の時点から本格的な旅行が始まっていたという所です。

だが!!
そこまでやっと巨大なハードルを乗り越え、あれこれ覚えたところで…
このゲーム、残念ながらドグソだからその苦労、かなり無駄なんだけどね。

何せ肝心のゲーム部分が一切、面白くないのだから。

RPGの魅力つったら
例えば
「自キャラを育成し、装備品を身に着けて強化する」
「プレイヤーが行きたくなるような魅力ある世界観」
「感情移入してしまう綿密なストーリー」
「そのソフト特有の面白いシステム」
などが挙げられるだろう。

このゲーム、該当する物が1つもないもの。

・キャラ育成や強化要素は皆無。レベルも経験値やお金がないのだから…
・魅力ある世界観。民家があって人が
 ちょろちょろというのでは世界どころか村ですらない。
・ストーリー。仲間見つけて敵を倒して天竺行くだけだもんな~。
 引きつけられない。
・面白システム。特にはないし強いてあげるのなら
 斜め移動が可能ってのと時間が経過するって要素か…
 別にゲームとしては全然活かされてねぇしなぁ…

一体、何を楽しめばいいんだよ…
意味もなくだだっぴろいフィールドを歩き、意味のない戦闘を繰り返し
ただゴールを目指す。

「『砂を噛む』って言葉があるけど、このゲーム程適切な表現はねぇな」

って実感出来るそんなゲームでありました。

ちなみにこのゲーム、(無駄に)様々なキャンペーンを行っている。
・テレカのプレゼント
・「天竺親子ファミコンゲーム駅伝大会」と銘打った全国大会
・本作の劇画募集

PS)徳間書店から発売されていたゲームコミックシリーズ
 『必勝テクニック完ペキ版』では
 ゲーム内容とは無関係のただの西遊記のマンガだけだったという。
 しかも「この漫画は必テク完ペキ版なんだったら!」「文句あっか!?」との事…

ここからがネタバレ






















一応、エンディングはお情け程度に存在しているものの
テキストがサラサラッと出るだけであり
とてもじゃないが今までの苦労に見合うものではない。

さて…
悪い点で挙げた
「隠し自己PR」をここで取り上げよう。
他のサイトでは「隠しメッセージ」って扱いが殆どだけど
髭人は敢えて「隠し自己PR」って表現をしておく。
では「隠し自己PR」とは何なのかって話だけど原文載せるのは控える。
何で控えるのか?簡単である。

「女性器舐めたい」

なんて汚らしい公衆便所の落書きレベルの文章をそのまま載せられるかって話である。
ただ、この便所の落書きの凄い所は

「髭 人太郎26才」

などと、自身の名前と年齢を明かしている所だ。
まぁ、当時の本人は隠し中の隠しって事でバレるわけないって
思っていたのかもしれないが…

それにしても舐めたいって話だが
この作品を出した事で悲願だった目的のものを舐める事が出来たかどうかは知らんが
その目的以外の大体は舐め尽くしたんじゃないかって思うね。

「消費者」に対しては舐めているし、原作である「西遊記」も舐めているし、
「発売元」のVAPだって舐めているだろう。

とある海外のサイトで

「The Worst Japanese RPG ever made」

などと不名誉な称号も得ている。
と言うかその文章自体が翻訳され海外で晒されているという始末。
世界をまたにかけるとは…筋斗雲よりも自由ではないか?

さて…締めと行きますか?
西遊記では
如来と手のひらから飛び出せるかという賭けをして悟空が負けた事により
五行山に500年の間、封印され、三蔵法師によって救い出される訳だが…

確か筋斗雲でかなり長い間飛び出しここまでくればいいだろうと思った所に柱を見つけた。
孫悟空はちょうどいい柱だと自身の名前を書いた上に放尿していた。
で、その汚した柱は実は如来さまの指だったというオチ。

まさにこの孫悟空といい勝負である。
ここだけ原作に合わせたかったんだろうか?
だとしたら敬意を表したいね。

本作はゲーム業界があり続ける限り
500年どころか永久に裏の裏でその独特の存在を知らし続けるのではないだろうか?
ある意味原作を超えたな。


『なかじまかおる』氏よ…


そんな悠久の『なか゛いたひ゛なか゛いたひ゛』をするのも一興なんじゃないだろうか?




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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おお!あの伝説のw (カラスのハート)
2016-12-31 00:43:15
懐かしいな〜
当時友人が買って
一緒にやったが本当に
「はぁ?」の連発w
てか
後半は「‥俺はどうしたらいいの(泣)」って
かける言葉も無かったな
Unknown (Unknown)
2016-12-31 21:05:29
年の瀬の更新お疲れ様です。そして今年のトリを務めるのが…これかw
自分も「は?」の連続で耐え切れず途中でプレイ断念しました
確か未来神話ジャーバスも前説なしにいきなりフィールドに放り出されたような

隠しメッセージについては…誰かに見て欲しいって欲求と
でも公にしたくもないという矛盾の狭間であんな暴挙に出てしまったんですかね
意味不明ゲーム (髭人)
2017-01-01 13:29:19
カラスのハート殿
コメントさんきゅーです。

買ったご友人の絶望感が目に浮かびます(涙)

名無し殿
コメントさんきゅーです。

隠しメッセージは
「これやったらヤバイんだろうな~」
なんてニヤニヤしながら軽はずみな気持ちで打ちこんだんじゃないでしょうかね。
まさに便所の落書き気分。
深く考えちゃいけませんぜ。

このソフトを2016年の最後にしたのはですね。
申年でしたんでね。
最後の最後に締めくくるのに丁度よかろうと(笑)
Unknown (KOU)
2017-04-01 19:36:17
天竺親子ファミコンゲーム駅伝大会の参加者が昔クソゲー兄弟仁義っていう今はないHPにレポート載せてました。
インターネットアーカイブで生きてれば見れるかもw
凄い笑った覚えがある。
へぇ~。 (髭人)
2017-04-02 06:22:51
KOU殿
紹介ありがとうございます。
機会があれば探すかもしれません。

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