宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

東田直樹(1992-)『自閉症の僕が跳びはねる理由』(2007年、15歳)、角川文庫(その2) 《感想》 

2017-06-13 22:29:53 | Weblog
《感想》
 『自閉症の僕が跳びはねる理由』の東田直樹氏の見解を、次のようにまとめてみた。
 第1は、言葉の問題。頭で考えたことが、すぐに言葉にならなかったり消えてしまうこと。
 第2は、他者の問題。他者に対して、過剰に対応する。他者が恐い、他者に迷惑をかけている、誰の役にも立たないことに絶望している。
 第3は、定型・繰り返し・予測可能性の問題。定型・繰り返しの出来事のみが、予測可能で、安心できるし好きだと言われる。
 第4は、他者への恐怖と対照的に、物・自然との親和性の感情。
 第5は、体の問題。自分の体がコントロールできない。
 第6は、記憶の問題。記憶がバラバラであり、また嫌な記憶のフラッシュバックが起きる。
 第7は、「脳の命令」(衝動)の問題。自分の気持ちと関係なく、脳が色々要求する。それに従わないと地獄に突き落とされそうな恐怖と、戦わなければならない。
 第8は、自閉症者の感情の問題。感情の津波。思い通りにならない体、うまく話せないため伝えられない気持ちを抱え、彼らの感情は極めて複雑・繊細になっている。
 第9に、時間の問題。自閉症者は近代社会の時間の流れに乗れない。だから彼らはいつも不安。ずっと泣き続けるしかない。居場所がない。
 最後に、東田直樹氏が自閉症についての定義を提出する。自閉症とは、文明の支配を受けず、自然のまま生れて来た人。太古の昔からタイムスリップしてきたような人間。



◎言葉の問題(Cf. 1章 言葉について:口から出てくる不思議な音)
・人と話をしようとすると、言葉が消えてしまう。(はじめにA)
・会話はできない。筆談はできる。(はじめにC)
・パソコンで、原稿も書ける。(はじめにC-2)
・見たこと、思い出したことを、反射のように言ってしまう。(1章B-2)
・相手の言っていることを、オウム返しで、場面として思い起こそうとする。(1章D-2)
・頭で考えたことが、すぐに言葉にならない。(1章H)
・答えようとすること、つまり言おうとした言葉が、頭から消えてしまう。(1章H)
・言葉になったことが、自分の言いたいことでないことがある。例えば「はい」と「いいえ」を間違える。自己嫌悪で、誰とも話したくなくなる。  (1章I)
・話したいことは話せず、関係のない言葉がどんどん口から勝手に出てしまう。(1章J-2)
・空中に字を書く。これは、覚えたいことを確認するため。(3章C)
 場面は忘れても、文字や記号は忘れないので、人が歌を口ずさむように、文字を思い出す。(3章C-2)
・長い文章は嫌なのではなく、すぐに疲れたり、何を書いているのか分からなくなったりする。(4章I)


◎他者の問題(Cf. 2章 対人関係について:コミュニケーションとりたいけれど・・・・)(※◎定型・繰り返し・予測可能性の問題も参照)
・「目を見て話さない!」(2章A)
 ①眼がこわいので「人の声」だけ聞こうとする。②「耳をそばだてている」ので、何も見えないのと同じ。(2章A-2)
・他人に迷惑をかけていないか、いやな気持にさせていないか、気にして、人といるのが辛くなる。(2章C)
・声だけでは、「人の気配を感じる」ことができない。(2章D-3)
・「迷惑をかけてばかりで誰の役にも立たない人間」が、どんなに辛くて悲しいか、みんなは想像もできないと思います。(2章M)
 僕が一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。(2章M-2)


◎定型・繰り返し・予測可能性の問題:安心できるし好きだ(Cf. 4章 興味・関心について:好き嫌いってあるのかな?)
・回転するものは、規則正しく動き、様子が変わらない。変わらないことが心地よい。どこまでも続く永遠の幸せのよう。(4章A)
・コマーシャルが流れるとテレビの前にとんでいくのは、繰り返し同じで、自分の知っているものが映っていて嬉しいから。(4章F)
・『おかあさんといっしょ』のテレビ番組が好き。(4章G)
 ②ストーリーが単純で、予測がつきやすく安心。
 ③繰り返しが多いので好き。知らない土地で、知っている人に会ってほっとするのと同じ。
・電車の時刻表やカレンダーを覚えるのが好き。(4章H)
 数字が好き。例えば1は、1以外の何も表していない。単純明快が心地いい。(4章H-2)
 時刻表やカレンダーは誰が見ても同じだし、決まったルールの中で表されているのが、分かりやすい。(4章H-3)
 目に見えない人間関係やあいまいな表現は、とても理解するのが大変。(4章H-4)
・自由はとても不自由な時間。(4章M)
 いつも使っているおもちゃや本があれば、それで遊ぶが、それは好きなことでなく、できること。やることが分かっているから安心。(4章M-2)
・スケジュールや時間を視覚的に表示されると、強く記憶に残りすぎて、そのことに自分を合わせることだけに集中してしまい、変更になるとパニッ クになってしまう。(5章J)


◎他者と対照的に物・自然との親和性の問題
・物はすべて美しさを持っていて、それを自分のことのように喜べる。物といることは、一人でいるのでなく、たくさんの仲間と過ごしていること  だ。(3章I-2)
・緑が好きなので、散歩が好き。緑を見ていると障害者の自分も、この地球に生きていて良いのだという気にさせてくれる。緑は命の色。(4章L)
・自閉症の僕の楽しみは、自然と遊ぶこと。自然が友達だ。(4章N)
 人に対する場合のように、相手が自分のことをどう思っているだろうとか、何を答えたらいいのだろうかとか、考えなくていい。(4章N-2)


◎体の問題(Cf. 3章 感覚の違いについて:ちょっと不思議な感じ方。なにが違うの?)
・体が、自分の思い通りにならない。不良品のロボットを運転するよう。(1章J-3)
・自分でもコントロールできない体を、他の人に触れられると、自分が自分で無くなる恐怖がある。(2章F-2)
・自分の体の各部分が、よくわからない。だから、自分の目で確かめらるよう、自分に手のひらを向けてバイバイする。(2章G-2)
・「ピョンピョン手を叩きながら跳びはねる」のはなぜか? 「跳んでいる自分の足」、「叩いている時の手」など、「自分の体の部分がよく分かる から気持ち良い」。(3章A-2)
・体の硬直は、体が「硬くなること」ではなく、「自分の思い通りに動かなくなること」だ。(3章B)
・手や足の動きがぎこちない。それは、手や足が、どこから付いているのか、どうやったら自分の思い通りに動くのか分からないため。(3章E)
 だから人の足を踏んでも分からなかったり、人を押しのけても分からないことがある。(3章E-2)
・服は自分の体の一部のようなものなので、同じだと安心する。いつも同じものを着ていたりする。(3章J-2)
・いつも体が動いてしまう。(5章I)
 じっとしていると不安で怖くていたたまれない。じっとしていると自分が、この身体に閉じ込められていると実感させられる。(5章I-2)
 僕はいつも出口を探している。動いていると落ち着く。(5章I-3)


◎記憶の問題
・記憶がバラバラでつながらない。(2章I)
・しかも記憶が突然、嵐のように再現されるフラッシュバックが起こる。(2章I-2)
 フラッシュバックは、いやな思い出ばかり。(2章I-3)
 その時は、泣かせておいてほしい。(2章I-4)


◎「脳の命令」(衝動)の問題(Cf. 5章 活動について:どうしてそんなことするの?)
・興味があるものがあると、手を放して、そっちへ行ってしまう。手をつなぐのが嫌なのではない。(2章B-2)
・目についた場所に飛んでいきたくなる気持ちをおさえられない。だからすぐにどこかに行ってしまう。(5章A)
 ただし行きたいというのでなく、いつの間にか体が動いてしまう。悪魔がとりついたかのように、自分が自分でなくなる。(5章A-2)
・幼稚園の頃、何度も勝手に家を出て、警察に保護された。(5章C)
 何か目的があって飛び出すわけでなく、何かに誘われるように、体が動いてしまう。(5章C-2)
・自分の気持ちと関係なく、脳が色々要求する。(5章E-4)
 それに従わないと地獄に突き落とされそうな恐怖と、戦わなければならない。(5章E-5)
・何度、注意されてもやってしまう理由。(5章F)
 『自分が何かしでかす→何か起こる→誰かに注意される』という場面が、強く記憶されると、その場面を再現したい気持ちが生じ、しかも再現する とこの上ない感電したような快感がある。ビデオの再生のようなもの。(5章F-2)
 その快感を得ようと、繰り返し、再現する。(5章F-3)
 これを理性で我慢するのは苦しくて、苦しくて大変だ。僕たちを止めてほしい。(5章F-4)
・どうしてこだわるのか。(5章G)
 好きでやっているのでない。やらないといてもたってもいられない。(5章G-2)
 脳が終了のサインを出せば、こだわりは、ある日突然、なくなる。(5章G-4)
・誰かに、ぼくが「ジュース飲む」と言っても、「どうぞ」と言われないと、いつまでも飲まない。合図がないと、僕たちの脳に、次の行動のスイッ チがはいらない。(5章H)
 それをやぶって行動するのは、自分がどうにかなってしまいそうなくらいの恐怖がある。(5章H=2)


◎感情の問題(Cf. 4章 興味・関心について:好き嫌いってあるのかな?)
・自閉症のせいか、僕は、少しの失敗でも天地がひっくり返るほど、いやだ。(2章J)
 例えば、コップに水を注いだ時、水がこぼれただけでも、我慢できない。(2章J-2)
 たいした失敗でないと、分かっていても、感情を抑えられない。(2章J-3)
 僕自身が壊れてしまいそうなので、泣いたり、わめいたり、物を投げたりする。(2章J-4)
 この津波が終わって落ち着くと、自分が暴れた後があって、自己嫌悪に陥る。(2章J-5)
・光をみていると、僕たちはとても幸せ。(4章B-2)
・僕たちは原始の感覚を残したまま生まれた人間。(4章E)
・僕たちは時間の流れにのれず、言葉も通じず、ひたすらこの体に振り回されている。(4章E--2)
・『おかあさんといっしょ』のテレビ番組が好き。(4章G)
 ①優しいもの、かわいらしいもの、美しいものが大好き。
 ④争いごとや、かけひきや、批判は苦手。
・すぐ迷子になってしまうのは、自分がどこにいればいいか分からない、その場所の居心地が悪いため。(5章B)
 安心できる場所を見つけようと、無意識のうちにふらふらと歩いたり、びゅーんと走って行ったりする。(5章B-2)
 自分の居場所を探さないと、自分がこの世界で一人ぼっちになってしまうと思う。(5章B-3)
・思い通りにならない体、うまく話せないため伝えられない気持ちを抱え、僕たちの感情は極めて複雑・繊細になっている。(5章K)
 目に見える行動は幼いが、心の中はみんなと同じように複雑です。(5章K-2)
 気が狂いそうになってパニックになる。ただし、自傷、他傷行為をするときは、止めて下さい。(5章K-3)


◎時間の問題
・時間は、ずっと続いていて、はっきりした区切りがなく、ぼくらは困る。(3章K)
 時間を想像(※イメージ)できない。(3章K-2)
 自分が何をしでかすのか、また、自分がこの先、どうなるのか、こわい。(3章L)
・時間の流れに乗れない僕たちはいつも不安。ずっと泣き続けるしかない。(3章M-2)
・ずっとずっと昔、人がまだ存在しなかった大昔に帰りたい。(4章D)
 時間に追われる生活は嫌だ。(4章D-2)
・水の中は、静かで自由で幸せ。自分が望むだけの時間がある。(4章D-3)
 水の中なら時間が一定の間隔で流れているのが、よくわかる。(4章D-4)


◎「自閉症の僕」が出した自閉症についての定義
・自閉症とは、文明の支配を受けず、自然のまま生れて来た人のことだ。(5章L)
 太古の昔からタイムスリップしてきたような人間。(5章L-2)
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