ガリバー④
🔸村上、ところで羽鳥さんは、経営以外にマラソンにも挑戦されていますね。
🔹羽鳥、決してマラソンが好きなわけでは無いのですが(笑)、
例えば東日本大震災のあった年には、6月にパリを出発して北京まで走り、
飛行機で新千歳空港まで移動してから再び東京まで走りました。
🔸村上、何日かかりましたか。
🔹羽鳥、405日です。そもそもこれは何のためにやったかというと、いまの時代、若い人たちが簡単に諦めちゃうでしょ。
なぜかと言ったら、取り組む前に覚悟を決めてないからですよ。
だから覚悟を決めて取り組めば、何事も必ず成功するんだよっていうことを身を以って教えたい、そう思ったんです。
70歳でも、こんなことができるんだって。
🔸村上、車には乗らなかった?
🔹羽鳥、1メートルも車に乗らずに、毎日43キロ走って、
週1回だけ休みを取りながら、13,352キロ走りとおしました。
先生、実はこの時も不思議なことがありましてね。
走る前に人間ドックに入ったら、
血糖値が500で、血圧も200を超えていて、
医者からは、
「こんな状態で走ったら、100%死にますよ」
と言われました。
🔸村上、100パーセント(笑)。
🔹羽鳥、でも、もうやると覚悟を決めていたので、何を言われても自分はやるんだと伝えたら、
少し多めに薬を出してくれました。
ただ、自分としては毎日水をたくさん飲んで汗を出せば毒素は全部出るだろうと思って、全部置いてきちゃったんですよ。
で、無事に帰ってきてからまた人間ドックに入ったら、
血糖値も血圧も含めて全部数値が正常になっていました(笑)。
🔸村上、この話もすごいな(笑)。
🔹羽鳥、医者も医学的に解明できないと驚いていましたけど、
70歳でも覚悟さえ決まればどんなことでもできるんですね。
おかげさまでうちの社員たちが、自分たちももっと頑張らなくちゃという意識になってくれたようで、
そこからビジネスがグンと変わりました。
🔹羽鳥、自分はこれまで非常識さをずっと大切にしてきました。
中途半端な常識よりも、徹底して常識を超えちゃうと、
もう周りは認めるしかないですから。
本田宗一郎さんも、常に常識から外れて非常識な発想で物事を考えないと、
大きな発明、発見はできない
と言っていますが、全くその通りだと思いますね。
🔸村上、非常識というよりも、常識を超えているから「超常識」ですよね。
科学の世界にもあるんですよ。
非科学的なことの他に、感性とか直感、霊感といった、今の科学の常識を超える超科学の世界が。
🔹羽鳥、超常識。あぁ、よい言葉をいただきました。
それとよく社員たちには、人間の一生は「蝉(せみ)人生」だって教えているんです。
蝉は脱皮してから生きていられるのは1週間ぐらいじゃないですか。
でもそれは人間から見ての1週間であって、
サムシンググレートから見ると、
人間の一生だって80年とか100年なんていうのも、蝉と同じで、ほんの一瞬だと思うんですよ。
だから蝉と人間は変わらない。
7日で死ぬのも80年で死ぬのも同じなんだと。
そう考えれば、悪いことをして人を騙したり、泣かしたりしてまで美味しい物を食べる必要なんてないじゃないですか。
残された時間を悔いなく生きようとすれば、自ずと生き方も変わると思うんですよ。
だからやっぱり蝉人生。
🔸村上、私もそうだと思います。宇宙の時間に比べれば一瞬ですよね、人間の人生なんて。
🔹羽鳥、ですから自分はせめて120歳までは生きるんだって、社員にはよく言っているんです。
🔸村上、羽鳥さんならもっといけますよ(笑)。
🔹羽鳥、これからは電気自動車や自動運転の時代に入ってくるから、面白いことがいっぱい起きる。
きっと百数十年の自動車の歴史の中で、
今1番変化する時期なんですよ。
だから、やりたいことがたくさんある(笑)。
🔸村上、きょうこうして羽鳥さんの話を聞いて思ったのは、
確かに覚悟や使命感もすごいのですが、
それだけではなくて、天が羽鳥さんを応援してるんじゃないかと思いますね。
🔹羽鳥、自分もそう思います。自分の能力では全くないですよ。
🔸村上、天の味方がなければ、今日のお話あったようなことはできないですよ。
人間業とは到底思えませんから。
一代で世界一の自動車王国を作り上げたアメリカの自動車をフォードに対して、
ある新聞社が、なぜ財産もほとんどないところから、これほど大きな仕事ができたのかと尋ねたことがありました。
すると彼は、天に貯金をしたと答えたという。
やはりそういった天の見方がないと、本当に大きな仕事はできないんじゃないか、
そんなことを感じながら興味深くお話を聞かせていただいきました。
🔹羽鳥、いやいや、何だかつまらない話ばかりしてしまって。
🔸村上、大変面白かった。いや、面白いだけじゃなく感動しました。
🔹羽鳥、ありがとうございます。
(おしまい)
(「致知」3月号、村上和雄さん羽鳥兼市さん対談より)
🔸村上、ところで羽鳥さんは、経営以外にマラソンにも挑戦されていますね。
🔹羽鳥、決してマラソンが好きなわけでは無いのですが(笑)、
例えば東日本大震災のあった年には、6月にパリを出発して北京まで走り、
飛行機で新千歳空港まで移動してから再び東京まで走りました。
🔸村上、何日かかりましたか。
🔹羽鳥、405日です。そもそもこれは何のためにやったかというと、いまの時代、若い人たちが簡単に諦めちゃうでしょ。
なぜかと言ったら、取り組む前に覚悟を決めてないからですよ。
だから覚悟を決めて取り組めば、何事も必ず成功するんだよっていうことを身を以って教えたい、そう思ったんです。
70歳でも、こんなことができるんだって。
🔸村上、車には乗らなかった?
🔹羽鳥、1メートルも車に乗らずに、毎日43キロ走って、
週1回だけ休みを取りながら、13,352キロ走りとおしました。
先生、実はこの時も不思議なことがありましてね。
走る前に人間ドックに入ったら、
血糖値が500で、血圧も200を超えていて、
医者からは、
「こんな状態で走ったら、100%死にますよ」
と言われました。
🔸村上、100パーセント(笑)。
🔹羽鳥、でも、もうやると覚悟を決めていたので、何を言われても自分はやるんだと伝えたら、
少し多めに薬を出してくれました。
ただ、自分としては毎日水をたくさん飲んで汗を出せば毒素は全部出るだろうと思って、全部置いてきちゃったんですよ。
で、無事に帰ってきてからまた人間ドックに入ったら、
血糖値も血圧も含めて全部数値が正常になっていました(笑)。
🔸村上、この話もすごいな(笑)。
🔹羽鳥、医者も医学的に解明できないと驚いていましたけど、
70歳でも覚悟さえ決まればどんなことでもできるんですね。
おかげさまでうちの社員たちが、自分たちももっと頑張らなくちゃという意識になってくれたようで、
そこからビジネスがグンと変わりました。
🔹羽鳥、自分はこれまで非常識さをずっと大切にしてきました。
中途半端な常識よりも、徹底して常識を超えちゃうと、
もう周りは認めるしかないですから。
本田宗一郎さんも、常に常識から外れて非常識な発想で物事を考えないと、
大きな発明、発見はできない
と言っていますが、全くその通りだと思いますね。
🔸村上、非常識というよりも、常識を超えているから「超常識」ですよね。
科学の世界にもあるんですよ。
非科学的なことの他に、感性とか直感、霊感といった、今の科学の常識を超える超科学の世界が。
🔹羽鳥、超常識。あぁ、よい言葉をいただきました。
それとよく社員たちには、人間の一生は「蝉(せみ)人生」だって教えているんです。
蝉は脱皮してから生きていられるのは1週間ぐらいじゃないですか。
でもそれは人間から見ての1週間であって、
サムシンググレートから見ると、
人間の一生だって80年とか100年なんていうのも、蝉と同じで、ほんの一瞬だと思うんですよ。
だから蝉と人間は変わらない。
7日で死ぬのも80年で死ぬのも同じなんだと。
そう考えれば、悪いことをして人を騙したり、泣かしたりしてまで美味しい物を食べる必要なんてないじゃないですか。
残された時間を悔いなく生きようとすれば、自ずと生き方も変わると思うんですよ。
だからやっぱり蝉人生。
🔸村上、私もそうだと思います。宇宙の時間に比べれば一瞬ですよね、人間の人生なんて。
🔹羽鳥、ですから自分はせめて120歳までは生きるんだって、社員にはよく言っているんです。
🔸村上、羽鳥さんならもっといけますよ(笑)。
🔹羽鳥、これからは電気自動車や自動運転の時代に入ってくるから、面白いことがいっぱい起きる。
きっと百数十年の自動車の歴史の中で、
今1番変化する時期なんですよ。
だから、やりたいことがたくさんある(笑)。
🔸村上、きょうこうして羽鳥さんの話を聞いて思ったのは、
確かに覚悟や使命感もすごいのですが、
それだけではなくて、天が羽鳥さんを応援してるんじゃないかと思いますね。
🔹羽鳥、自分もそう思います。自分の能力では全くないですよ。
🔸村上、天の味方がなければ、今日のお話あったようなことはできないですよ。
人間業とは到底思えませんから。
一代で世界一の自動車王国を作り上げたアメリカの自動車をフォードに対して、
ある新聞社が、なぜ財産もほとんどないところから、これほど大きな仕事ができたのかと尋ねたことがありました。
すると彼は、天に貯金をしたと答えたという。
やはりそういった天の見方がないと、本当に大きな仕事はできないんじゃないか、
そんなことを感じながら興味深くお話を聞かせていただいきました。
🔹羽鳥、いやいや、何だかつまらない話ばかりしてしまって。
🔸村上、大変面白かった。いや、面白いだけじゃなく感動しました。
🔹羽鳥、ありがとうございます。
(おしまい)
(「致知」3月号、村上和雄さん羽鳥兼市さん対談より)