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師と弟子②

2017-06-17 11:42:45 | お話
🌸師と弟子🌸②


🔸中西、童門先生にとっての師といえば、どういう方なのですか。

🔹童門、戦前、僕がまだ小学生の頃ですが、担任の先生が面白い方でしたね。

「きょうは神話の授業する」

というのでヤマタノオロチについて話してくださいました。

しかも、それは

「世の中に八つの頭を持った蛇はいない」

という常識をベースに神話を真っ向から否定するものでした。

先生が言うには、あれは出雲の国の鉄の生産者の話なんだと。

当時は砂鉄をふるいにかけて斐伊川に砂を落としていたが、

その砂が下流の川底に積み重なって梅雨時期になると洪水を起こしていた。

村人たちが鉄の生産者に反感を抱いて出雲の豪族に取りつけた。

神話に登場する素戔嗚尊は、この豪族のことで、天照大神の弟でも何でもないというんですね。

豪族から

「生産者をぶっ飛ばしてこい」

と言われて村人たちは8人の生産者の許を訪れる。

ところが、生産者たちは、下流でそんなに大騒ぎになっているとは露ほども知らない。

「気をつけます」

と謝って、自分たちが作った剣をくれた。天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)だという話です(笑)。

これは一例ですが、要は

「神話の神々は、全部我われの祖先であり、生活者である」

という話なんですね。

これが幼い僕の心にしっかりと染みついちゃった。

僕の歴史を見る姿勢、発想法というものの原点を辿る(たど)ると、

この小学校の先生の話に繋がっていきます。

🔸中西、戦前の日本には珍しい先生でしたね。


🔹童門、戦後、僕は都庁に入りました。

そこで美濃部(みのべ)亮吉都知事の演説のゴーストライターをやっていた時期があるんです。

忘れもしませんが、

最初に原稿持参した時に、

美濃部さんが

「塵籠(くずかご)を持って来なさい」

と言って400字を1分として、

1時間分60枚の原稿を、いきなり捨てちゃった。

「何しやがるんだ。俺はこれでも芥川賞候補だぞ」

と腹が立ちましたけどね(笑)。

その時、美濃部さんは

「部分的に直してもらってもだめだから話すけど、

僕が欲しいのは、耳で聞いて都民が理解できる文章だ。

君のは、読まないと分からない」

と。

このひと言は効きましたね。

美濃部さんからこの時、言文一致の文章術を学んだわけです。

都庁には30年間お世話になりましたが、

改めて思うのは、いい上司に恵まれてきたということですね。

美濃部さんを始め、そういう人ひとりが僕の師だと思っています。


🔸中西、歴史小説の世界を開く上での師はいらっしゃいましたか。

🔹童門、心の師といえば山本周五郎さんですね。

周五郎さんは直木賞を辞退したことで有名ですが、

その言い草が

「魚屋で一件、ものすごく売れた店があるからといって、

他の魚屋が集まって祝賀会を開いてくれるのか」

というものでした。

作家は孤独なものであって、メダカのように群れるようではいけないとおっしゃりたかったのでしょう。

周五郎さんには作家としての矜持を教わりました。

もう一つ、周五郎さんの作品には、傷ついた人への愛の心がパラレルに行き渡っているんです。

『釣忍(つりしのぶ)』という短編小説にある

「俺は自分の傷が痛いから、他人の傷の痛さが分かるんだよ」

という主人公の台詞(セリフ)なんかは忘れられないですね。

だから、僕は周五郎さんの全集は、すべての出版社のものを持っています。

同業者の全集をすべて買い揃えたのは周五郎さんだけです。

🔸中西、なるほど。周五郎さんから作家としての生き方を教えられた。


🔹童門、僕は若い時、周五郎さんから「御慶(ぎょけい)」と書かれた葉書をいただいたことがあるんです。

周五郎さんの担当編集者の息子が友人にいたので、

「どういう意味だろう」

と聞いてみたら、

「招待状だよ。

どこかで、お前の作品を読んだのではないの?」

と言うので、

仕事場である横浜・間門(まかど)の旅館をお訪ねしました。

当時、あの一帯は砂浜でしたから、

そこで掘った貝を肴に、お酒を飲もうというのです。


(つづく)

(「致知」7月号、中西輝政さん童冬二さん対談より)
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