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2016-09-18 14:28:52 | お話
🐶🐶犬🐶🐶


最近、撮影現場に犬を連れてくるスタッフさんが多い。

決まって結構大きな犬で、すごく仲が良さそうなのだ。

聞けば、いつでも一緒だそうで、

「家に帰ると犬だけですよぉ、出迎えに来てくれるのはさ」

なんて言って、目を細めている。

そのたびに、いいなぁ、私も飼いたい、と思う。

けれど、私には、ちょっとしたトラウマがあるのだ。

小さい頃からアパート住まいで、何回か引っ越しをしたものの、

毎度、犬を買ってはいけません的なところに住むことになった。

いつか犬と暮らしたいと思っていたが、どこかで犬を飼うことをあきらめていた。

というのも、犬のことを言うたびに、うちのおかんが、

どうせあんたは世話などできないし、あんた飼うと、犬が死んじゃう」

と恐ろしいことを言うからだ。

好きだからこそ、飼わないでおく。

おかん流の間違った洗脳教育は、見事、成功していたのだった。

会社に入って数年経ち、忙しくて、忙しくて彼氏もいなくて辛かった私に、

ある日、友人が、犬を飼えばいいのに、と勧めてくれた。

安易だ、と思ったが、OLの寂しさは犬でまぎれるよ、と彼女にサラリと言われると、

なんだかそういう気もしてきた。

そういえば、彼女、いつもニコニコしている。

犬ってそんなにすごいの?

犬、欲しいぞ、

なんとしてもここは、お犬様に癒してもらうんだ!

その日に帰宅して早々、思い切って言ってみた。

「ねえ、犬、飼たいんやけど」

おかんは、キョトンとして、

「犬は買われへんて言うてたやろー」と、何を今さら、みたいな顔で言った。

やっぱりそうか。

けれど、今は欲しくてたまらなくなっていた私は、もう一度、粘ってみる。

「このマンションさぁ、ペット禁止やけど、

あんまり吠えへん犬にしたらバレへんのちゃう?」

わたしは、子供らしくごねてみた。

そして、社会人らしく理屈もこねてみた。

「おかんも犬がいたほうが、私が仕事でいない間、寂しくないやろうし」

すると、おかんは、わたしをじっとみてこう言ったのである。


「そんなにあんた、犬が飼いたいんやったら、

おかんが、犬になったるわ」

一瞬、意味がわからなかったが、

おかんは突然、私の前で、赤ん坊のようにハイハイをし、ワン、と言った。

コタツの周りをワンワン言いながら走りはじめた。

私は呆然として、その恐ろしい光景をぼんやり見ていた。

これは止めないと、やばい。

でも、どうしたらいいのか分からない。

おかんは、ワンワン回っている。

わたしは、なんだか泣きたくなりながらも、

ムツゴロウの動物王国を思い出して、おかん犬に抱きついた。

「よーし、よーし、うわしゃしゃしゃしゃ」

寝転がりおかんを強く抱きしめ愛撫する。

おかん犬は、気持ちよさそうだった。

お互い自棄(やけ)になっていた。

トコトン、犬だと思ってやろうじゃないの。

おかんの頭をなで、キスをした。

おかんは、私の腕の中で、ワンワン言っている。

鳴きやまない。

無邪気な犬をやめない。

ダメだ、負けた。

負けたよ、おかん。

わたしは、つぶやいた。

「もう犬を飼いたいなんて、言いません」

するとおかんは、あっさり、そやったらええわ、と言い、さっと立ち上がって台所のほうに消えた。

おかんよ。

それ以来、わたしは、どんなに可愛い犬が現場に来ても、抱きつけない。


(「生きるコント」大宮エリーさんより)
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