川口英俊の日記

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「なぜ、空と縁起の理法を理解しなければならないのか」

2014年05月17日 | 徒然日記・日々の記録
今春のダライ・ラマ法王猊下様ご来日における「空と慈悲の教え」の公開動画における般若心経のご解説の中で、拙生が2013.11.19「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」(増上寺)(ご報告ページ http://p.tl/uIL6 )におきまして、法王様にご質問させて頂きました際のご回答の内容とほぼ同様のことも述べられておりましたので、この機会にて今春の彼岸施餓鬼法要の際にて配布させて頂きました資料内容として、ここにその内容を公開させて頂きます。ご理解の程、どうか宜しくお願い申し上げます。(平成26年5月17日)


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平成26年3月・春彼岸施餓鬼法要 配布資料

『なぜ、空と縁起の理法を理解しなければならないのか』

はじめに・・

平成25年11月19日に東京の増上寺にて開催されました「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」に有り難くにも参加する機縁に恵まれることができました。法王様によるご法話の最後には会場からの質疑応答の機会が設けられ、拙生もご質問させて頂けることができました。以下に貴重なる法王様の御回答の内容をお示しさせて頂きます。

また、この際に関する詳しい報告につきましては、拙ブログの次のアドレスのページをご参照下さいませ。 → http://p.tl/uIL6
岩瀧山往生院六萬寺 副住職 川口 英俊

【拙生の質問におけるダライ・ラマ法王猊下様の御回答内容・口語訳文】

質問内容 『「空」の理解と「縁起」の理解との関係性について』

御回答内容

まず、「空」というものを「縁起」に基づいて理解するということですけれども、般若心経の中に、「色即是空 空即是色」という、皆さんご存知の言葉があります。この「色即是空」、すなわち、「物質的な存在の本質は、空である」ということですが、これは簡単に言えば、その本質、その実体というものを探すという分析と調査をしてみると、その実体は、どこにも見つけることができない、ということが言えるわけです。しかし、それよりも、より大切なのは、「空即是色」の理解となります。つまり、「空」であるがゆえに、全てのものは、その原因と条件に依存することによって、形ある存在として現れることができるという教えであります。

ナーガールジュナ(龍樹)大師が、著書「根本中論頌」にて、「全ての縁起しているもの、それは空である」と説かれている内容がありますが、つまり、単に分析をしてみて、その実体が見つからないから「空」であるのだとおっしゃっているのではなく、他のものに依存して、生じてきたがゆえに、そのものは、それ自体の実体を持って、それ自体の側から存在しているのではなく、すなわち「空」というものは、全く存在していないということではなく、存在はしているものの、その本質が「空」という性質を持ったものであるというように説かれているのであります。
ですから、ナーガールジュナ(龍樹)大師がおっしゃっているのは、他のものに、すなわち、それぞれの原因と条件に依存して生じてきたがゆえに、そのものの本質は、「空」というものであるということを説かれているのであります。世俗のレベルでは存在しているわけですから、当然にそのものというものは、他のものの役に立ったり、他のものに害を与えたりという機能を果たすこともできるわけであります。

そこで、この「空」の見解が説かれたのは、いったい何のためであるのか、ということをナーガールジュナ(龍樹)大師は、このように説かれています。つまり、私たちは、何らかのものを見たとき、それに対する欲望、あるいは、怒りの気持ちを持ち、その気持ちにとらわれてしまって、その実体性にとらわれてしまって、悪い行いをした結果、自分自身が苦しんでいってしまうこととなります。ですから、全てのものにとらわれてしまう、実体性にとらわれてしまうという気持ちを完璧に滅さなければ、私たちは苦しみから解放されることができないのです。そこでこの「空」の見解というものが説かれたのであると、ナーガールジュナ(龍樹)大師は説明なさっているのであります。

このことは、般若心経の最後の方にあります「三世に、要するに過去・現在・未来におわす全ての仏陀たちもまた、般若波羅蜜を拠りどころとして、無上の完璧なる悟りを達成して仏陀となられたのだ」(三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提)とあるように、そのような境地に至るためには、私たちがとらわれている煩悩、つまり欲望、あるいは怒りや憎しみの心というものは、無知(=無明・真理に暗い心)に基づいて生じてくるものであります。その無知を晴らすために、般若波羅蜜という完璧なる、完成された智慧というもの、それはつまり、「空」を理解するための完成された智慧を私たちが育むことによって、無知を晴らして、とらわれから自由になって、自らを苦しみから解放することができるのだと、このように説かれているのであります。

・・以上ここまで

深遠なる空と縁起の理法をお説きになられます慈悲深きダライ・ラマ法王猊下様に改めまして最敬礼を申し上げます。

・・・

「空と縁起」の考え方につきましては、仏教においてしっかりと私たちが理解すべき大切な真理でございます。仏教における「智慧」というものは、世間一般における賢さ(偏差値やIQの高さなど)のレベルとは次元が異なり、迷い苦しみを超えていく上で非常に重要な真理への理解として大切なものとなります。私たちがこの迷い苦しみの世界において輪廻しさまよっている問題は、心(相続)の状態に原因があると考えます。その原因の代表格が「煩悩」であり、更には煩悩の親玉である「無明」(根本的な無知)となります。無明により、煩悩が生じ、その煩悩により悪い行いをしてしまい、その悪い行いが悪業(カルマ)として、来世の行き先に大きな影響を与えることとなります。

来世における迷い苦しみの輪廻としては、代表的に地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天道の六道として表されていますが、これは心(相続)の状態の一つの比喩的な分類と捉えて良いかと存じます。

もちろん、来世のことはひとまず置いておいても、現在の私たちの心の状態でも場合によっては、六種それぞれの苦しみを現に味わっていることもあるかとは存じます。その苦しみの原因も、やはり煩悩・無明・悪業によるものと考えることができます。

当面における今世の幸せな心の状態をとりあえず望むのであれば、当然に煩悩・無明・悪業を退ける生き方をする必要がございます。その一つの方法が確かなる仏縁によって仏道を歩むということとなります。このことにつきまして、回答者として参加させて頂いております「hasunoha」の最近のご質問において簡単に扱わせて頂いております問答を以下にてご紹介させて頂きます。

問い 「生きること、死ぬこと、どっちが辛いのか」(男性/TSURAI24/東京都/20歳代)
http://hasunoha.jp/questions/420

こんばんは。昨今様々な悩みから、自殺衝動にかられて掲示板や知恵袋などに相談・質問する人が後を経ちませんが、自殺防止サイトや一般の方からの回答に、『死ぬことは生きることより辛いですよ。』とか、『死んだら今より辛いですよことが待ってますよ。』という回答があるんですよね。この世が辛くてお別れしたいのに、お別れしたあとにも、もれなく辛いことが待ってるわけですよね?まさに『生きるも地獄、死ぬも地獄』の人が、この世にいるわけですよ。そんな八方塞がりの状況の場合、人はどの道に進めばいいのでしょうか?救いの道はあるのでしょうか?回答よろしくお願いします。

拙回答 「不生不滅」

川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。

はい、救いの道はございます。それが仏道でございます。

「生きること、死ぬこと・・」・・さて、般若心経の中に、「不生不滅」という言葉がございます。まあ、「不生不死」も同意でございます。

仏教の究極的真理(勝義諦)としては、「生も死もございません」と一応言語表現として措定して言えることができます。

「えー生きるも死ぬも本当は無いの・・凄いー、なるほど、有り難き幸せ」と、まあ大抵の人は納得できないかとは存じます。世俗的真理(世俗諦)、つまり世間一般論として現に今生きているのは事実であり、やがて誰もが死ぬのも確かなる事実なのですから。

では、なぜ、「不生不滅」だと仏教では述べるのか。ここをしっかりと考えて理解していくことが、この迷い苦しみの世界を超えていくために非常に大切な要諦となります。

それは、つまり、自分という存在は、実体としての生もなければ滅(死)もない、ということの理解、いったいでは、どの自分が生きて死ぬというのか、そのような自分を探そうとしていくら探しても見つからない真理に気づけるかどうか、そこから、あらゆる全てのモノ・コトには実体が無いという「空」 (無自性・無実体)を理解できるかどうか、そして、「空」とはいえども、確かにモノ・コトが成り立っている目の前の現実をどのように捉えるべきか、これは つまり「縁起」ということの理解となりますが、この「空と縁起」の理解を進めることが迷い苦しみを超えていく上で非常に重要な鍵となります。

更には、空と併せて、縁起の※三つのありようもしっかりと理解し、この迷い苦しむ存在にある原因(無明・煩悩・悪業)を対治するのに取り組むこと(善徳行・慈悲利他行、福徳の資糧を積む)により、迷い苦しみを超えた悟り・涅槃に到達することが可能になる次第となります。

是非、共に頑張って仏道に精進努力して歩んで参りましょう。

※縁起には、三つの階層があり、第一に、「原因・条件と結果との依存関係」、第二に「部分と全体との依存関係」、第三に、「意識作用・概念作用・思惟分別作用により、仮名(けみょう)・仮説(けせつ)・仮設(けせつ)されることによるという依存関係」がございます。・・ここまで。

以上に述べさせて頂いておりますように、迷い苦しむ三大原因である無明・煩悩・悪業を対治するためには、空と縁起の理法の理解(智慧の開発)と共に、善徳行・慈悲利他行という福徳の資糧を円満に積むことが求められることとなります。

善徳行・慈悲利他行とは、簡単には、他に迷惑を掛けない、自分がされて嫌なことは他にしないという善い行いと共に、他を積極的に利する、他の役に立てる、他の為となる善い行いの二種となります。

前者は、例えば代表的なものとしての十善行(不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不綺語・不粗悪語・不離間語・不慳貪・不瞋恚・不邪見)があり、後者は、最近の言葉で表すならば、ボランティアや奉仕・慈善活動と言えるものとなりますが、それも特定の一部の者たち(例えば、戦災や災害の被災者、障がい者や貧困者など)だけを対象としての善行ではなくて、差別や偏見、執着(我執など)を取り除いてのあらゆる全ての迷い苦しみある衆生へと向けたものとして行うということが大切となります。そのためにも「空と縁起」の理法の理解をしっかりと進めていくことが欠かせないものとなる次第でございます。もちろん、今はまだまだ差別や偏見、執着がある中での不十分なる慈悲利他行で留まってしまっているとしても、その善行による功徳の力が、自らがやがて一切衆生を救えるようになるための悟り・涅槃へと向かう力となりますようにとして、あるいは、一切衆生が悟り・涅槃へと向かうための善根となる力(加持力)として、一切衆生へと廻り向かわしめる(回向)ように意識して調えることも必要になるのではないかと存じております。

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2013.11.19「空と縁起」に関する拙質問に対してのダライ・ラマ法王猊下様の御回答内容について
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/710b99c74854aebc871a6f75e28dde12

ダライ・ラマ法王猊下様今春ご来日動画集
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52160454.html

2014.4.17 ダライ・ラマ法王猊下様法話「空と慈悲の教え」
『般若心経』『法界讃』『三十七の菩薩の実践』の解説
午前の部
https://www.youtube.com/watch?v=gy946OHXbP0
午後の部
https://www.youtube.com/watch?v=h_o8_jgdYZo

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この度、「hasunoha」拙回答の第二次検証、回答300問を前に致しまして、これまでの291問全拙回答を下記ブログへとまとめさせて頂きました。

並びに改めて全回答の再読・精査を行いまして、カテゴリー別・タグ付けも行わせて頂きました。

「hasunoha」・川口英俊回答のまとめ集
http://blog.livedoor.jp/hasunoha_kawaguchi/

今後のために、もう今しばらく反省、見直しを進めさせて頂きます。

浅学菲才の未熟者であるがゆえに、これまでも、またこれからも多々ご迷惑をお掛け致すことかとは存じますが、どうかご叱咤、ご批正を賜れますように何卒、宜しくお願い申し上げます。

川口英俊拜

「Hasunoha」お坊さんがこたえるQ&Aサービス
http://hasunoha.jp/

「hasunoha・初オフ会」開催決定
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52161467.html

これまで拙生が回答させて頂きました内容は下記にてもまとめて閲覧して頂くことができます。
http://hasunoha.jp/users/16

東日本大震災を機縁として立ち上がりました「hasunoha」に参画できましたこと、誠に感謝致しております。微力ながらにも一つ一つ少しずつでもお役に立てれる善行・功徳となりましたら、亡くなられました皆様への追善供養として回向申し上げたくに存じております。合掌

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2014.4.14 ダライ・ラマ法王猊下様によるチベット密教・胎蔵曼荼羅灌頂・ご報告
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/bc5c08f69d78bdda5c6cca62d17d87df

ダライ・ラマ法王猊下様今春ご来日動画集
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52160454.html

「偉大なる第十四世の長寿を祈願する如意自在王〔経〕」
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/8f49efb18934ec00993d52e91c603327

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2014.4.10・日記・NGO「国境なき僧侶団」第三回ミーティング参加報告
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/a60888ef08c1c59e2c33624dbfb3b4ce

NGO「国境なき僧侶団」フェイスブック・ページ
https://www.facebook.com/pages/国境なき僧侶団/578961352183094

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東日本大震災から三年・・
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52156205.html

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仏教拙理解図式No.6、大幅な見直しが迫られてもう数ヶ月経っております・・
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/bc/f9642eafccec96b6a071f47786f8c7c7.png?random=311f67030ac1992545e137116e49c74f

http://hide.noblog.net/blog/11506034.html

「勝義方便メモNo.9」を新規に開始予定としながらもう数ヶ月・・こちらもいい加減にしないと・・
No.8
http://togetter.com/li/456916
No.7
http://togetter.com/li/442609

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2013.11.19「空と縁起」に関する拙質問に対してのダライ・ラマ法王猊下様の御回答内容について
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/710b99c74854aebc871a6f75e28dde12

2013/11/19 悲しみから希望を紡ぐ――慈悲の力
http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2013/report/05.html

ダライ・ラマ法王 2013年秋来日報告
http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2013/report/

<ダライ・ラマ14世>増上寺で若手宗教者と対話 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131119-00000036-mai-soci

ダライ・ラマ14世、若手宗教者と対話 中外日報
http://www.chugainippoh.co.jp/religion/news/20131126-001.html

2013.11.19「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」映像ダイジェスト版
http://www.youtube.com/watch?v=Sg-mUrW4CUU

ダライ・ラマ法王 2013年 来日講演( https://www.facebook.com/hhdl2013japan

11/19 法王来日 増上寺
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.413896315405962.1073741833.389032644558996&type=1

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス・ジャパン)のホームページがリニューアルされて、随分と見やすくなっています。

http://www.tibethouse.jp/

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【チベット問題】

チベット問題・焼身抗議等の詳細情報は、チベットNOW@ルンタ・ダラムサラ通信・中原一博氏のブログが参照となります。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/

「太陽を取り戻すために チベットの焼身抗議」中原一博氏著
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51799025.html

無償ダウンロード
https://docs.google.com/file/d/0B6cmrkvyxC23QmhCRTZyeWRrNm8/edit

「自らを灯明と化した菩薩たちの願い」~チベット問題・焼身抗議を考える~
http://t.co/PwVvYWck

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平成26年・春季彼岸施餓鬼法要 法話内容 録画配信中
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52157500.html

平成25年・お盆施餓鬼法要 法話内容ロングバージョン・Ustream録画配信
http://www.ustream.tv/recorded/37310471

平成25年・春季彼岸施餓鬼法要 法話内容「供養について」
Ustreamにて録画・公開
http://www.ustream.tv/recorded/30149099

平成25年3月・春季彼岸施餓鬼法要配布用施本
「十三仏 追善供養を司る如来・菩薩たち」ネット公開
http://oujyouin.com/13butu.html

コラム「追善供養・功徳回向の考え方について」 1~5
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52108201.html

最近の仏教思想関係の主な考察についてのまとめ集
http://t.co/RZJudE4f

「お通夜式、お葬儀式の導師についての自省と自戒のために」(川口英俊拝)
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/ef5f6cca53cff32fb5fd1def4d9492e6

川口英俊の自動配信・デイリー自動情報収集ネット新聞
http://paper.li/hide1125/1307742529

「拙対外活動に関しましてのお知らせ(川口英俊拝)2013.1.26」
http://blog.goo.ne.jp/hidetoshi-k/e/575ba7b05497e7ee3d893a2ab0c39bc3

「2014 東京 #都知事選 #ポリタス 一口メモ まとめ」
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/52153630.html

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他、これまでの考察シリーズは下記をご参照下さいませ。
http://blog.livedoor.jp/hidetoshi1/archives/51997575.html
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