故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

冷凍冷蔵庫建設の仕事

2016-10-19 06:36:59 | プロジェクトエンジニアー

今日は、書きたいことから始めましょう。
昨日、「冷凍冷蔵庫建設の仕事」にオファーしたい。
アドバイスが欲しいと電話がありました。

彼が建築、私が機械を担当したそれぞれの責任者でした。
初めて会って、どちらも「こいつは違う」と思ったはずです。
その人が私にアドバイスを求めてこられました。
その方は、社長です。私は元プロジェクトエンジニアーです。

建築業者が見落とせない、重要な項目について列記します。

工場設計はなんでもそうですが、冷凍庫の設計も、「インとアウト」から入ります。
「インとアウト」とは、入荷量と出荷量のことであり、入荷と出荷頻度でもあります。
工場内で使用すると、流通用の空き箱がでます。バッファー(余裕量)のとり方も検討します。
地形によって、場内物流動線と外部へのアクセスの動線、それに人動線を考慮します。
汚染と清潔のゾーニングが加わると、さらに複雑になります。

冷凍庫は、断熱材を使って熱を遮断します。
壁床天井に断熱材(-20℃で100mm)を使用します。
断熱材を組むためのスペース(鉄骨部で1mくらい。)が、天井部と壁部になければなりません。
壁、屋根・天井の仕上げ前に内部(自動倉庫、パネル)の仕上げとなります。
冷蔵庫の場合、建物を仕上げてから、壁材を仕上げにかかります。
天井部の吊材の位置は墨出しをして吊り用アンカーを入れておかなければならないでしょう。
不陸(床の水準が出ていない)分、コーキング剤を詰めることになり、
熱が逃げて仕上げた巾木(コンクリート製)で結露します。
冷蔵庫においても、不陸分を考慮に入れた工事(床断熱と壁断熱をつなぐ)手順が求められます。
厄介なのは、自動倉庫の振れ止めの処理です。
自動倉庫の柱と建物の鉄骨をつないで、自動倉庫の倒伏を防ぎます。
自動倉庫側は、冷凍庫(-20℃)です。建物側は換気ゾーンです。
接続箇所にプラスチック材を挟むことも考慮し、つなぎ材(梁)には、
断熱剤を吹き付けます。吹きつけはあとから工事になるのでその工事スペースも考慮します。
冷凍機の吊材処理も同様です。早めに空調業者と詰める(設計打ち合わせ)必要が出てきます。

断熱材と言えど、パネルの外周部(換気ゾーン側)は結露します。
外周部周りには結露水を集める側溝が必要です。
水勾配を考えると外部に排出する排水溝の数は多くなります。
良く忘れるのが、パネル外周部に面した建物の壁材の選択です。
かび対策を考えたパネル構造がベストです。濡れてもかびない塗料の選択が肝要です。

床断熱材の下には、凍上防止管(ー20℃で150mm)を設置します。
知らない建築設計は、管をいけるだけです。冷凍庫の大きさにもよりますが、
凍上防止管内の空気を循環させるファンを設置することを勧めます。
できれば、コンプレッサーやボイラーなどの排熱を利用するのが良いでしょう。

冷凍庫内の温度を均一にするには、熱シミュレーションをしなければなりません。
許容温度差にもよります。±2℃では相当厳しい条件です。
できれば、冷凍機の小さいサイズを多く設置するのが良いでしょう。
冷凍機(冷凍庫内)周りには氷が付着します。氷を解かす時間、冷凍機はストップします。
冷凍機は、コンプレッサーと同じで数年に一度大規模なメンテナンスが必要です。
できれば、冷凍能力の2倍の機器数を設計した方がよいでしょう。コストと見合いです。
冷凍機の風吹き出し口は、前室(5℃)側に向けない(庫内側に向ける)方が良いでしょう。
トラックをつけ、前室から冷凍庫に荷物を入れる場合、
冷凍機が運転を始め冷気がストレートに前室を通り抜け、
外部に出ていき入口に氷を付着させます。

冷凍庫内の照明は昇降式が良いでしょう。
使用する電線は、冷凍仕様のやわらかい線材を選択します。
煙探知などの火報も交換できるような位置としたり、メンテナンス用の架台が必要でしょう。
当然、結露対策もしなければなりません。

このような複合施設(冷凍庫と建築)では、エンジニアリングが重要となります。
つまり、見積もり前に建築業者、空調業者と機械業者(自動倉庫、ロボット)が
設計打ち合わせすることです。
開口打ち合わせ、開口仕舞(断熱分の空き)、自動ドアの引手側(上に引くのが良い)、
振れ止め、吊材等話し合うことが多いのです。

冷凍車の仕様も重要です。特に車高は最も大事です。
中には、荷物の入出庫用の昇降式のレールを装備している車もあります。
油圧で車高を調整する物流車もあります。ドッグシェルターが確実に出熱を防ぎますが、
この油圧で車高を変える場合、ドッグシェルターを支える母材やゴム材が
とれてしまうことがよくあります。床面の張り出しは、斜めにコンクリートで仕上げるのが良いでしょう。
エアーシェルターも選択肢に入れておきましょう。物流者が一定しない場合、有効です。
運転手が、前室に入ることも想定します。その時のゾーニングの考えは
しっかり設計時に入れておかなければなりません。
先ほど言った冷凍機から外部への冷気の排出対策には、カーテン(吊材が必要)の設置なども考慮します。
冷凍庫、冷蔵庫を建築業者がやった場合、よく問題となるのは空調とユーティリティー配管です。
換気(給気と排気)バランスが崩れることです。給気は将来的にはフィルターにごみが詰まり
給気量が減っていきます。ユーティリティー配管は熱によって伸縮します。
蒸気などは、150℃で15mm伸びます。冷蔵庫、冷凍庫内へ入管する場合フレキ管などで
処理されていないと折れてしまいまったり、断熱材の開口を大きくしたりして出熱させます。

断熱材の吊材が結露します。取り付けボルトから出熱するからです。
よって、天井内換気はとても重要です。天井部内を1回/時間くらいの換気が必要です。
この換気の配置(特に冷凍庫周り)が、後に複合施設の良しあしを決めるほどです。
手切れがよいことになります。パネル外周部に氷や結露が発生すると、
施主はいつまでも改良を求めるでしょう。狭い中での改修はコストがかります。

床の仕上げ塗料も考慮します。
エポキシよりウレタンのほうが良いでしょう。重量物に強いからです。
コンクリー目地をしっかり出して、塗料がはがれた分だけ補修できると良いでしょう。
目地にゴミが詰まるのをどう考えるか、施主にどう説明するか考えましょう。

冷凍庫に自動倉庫が入る場合、架空の床面積を考慮するだけでなく、
火事対策の消防管(5階以上設置)の設置を求められるかもしれません。
ハロンや炭酸ガスの消化も検討しましょう。消防署と水を使わなくても消化、
防火ができるようコンビナートなどある消防署管内で勉強することを勧めます。

自動倉庫のアンカーを考慮すると断熱材(床用)までのコンクリート厚さは
150mmは必要でしょう。

いずれにしても、複合施設は場内物流、場外物流、人動線、空調業者、
自動倉庫と機械業者ときっちり話せるプロジェクトマネージャーが必要です。
スケジュールをちゃんと引けないと、請負金額にも大きく影響します。

簡単ではありますが、建築業者が冷凍庫を受注することを念頭において
気付いた点を書きました。そのほかに省エネ、品質、衛生と考えなければならないことは
少なくありません。建築業者の皆さま、健闘を祈ります。

くさむしが 危険を冒し 家に入る

2016年10月19日
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