自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

秋,サクラの花がいっぱい

2016-10-18 | 植物

台風が頻繁に日本列島を襲います。被害が出なければよいがと思いますが,ないわけがありません。自然災害を完全に防ぐことはできません。人間は到底自然を征服などできるわけがなく,大自然を前にしたらじつにひ弱なものです。

台風でサクラの木から葉が消え失せることがよくあります。そうすると,一枝二枝,あるいはあちこちの枝にちらほらと花が咲くことがあります。今,わたしの家の近くの道路わきでは同じ現象が生じ,2本の木が花をどっさり付けています。それは見事な程です。品種はよくわかりません。その他にも,市内のあちこちでぱらぱらと咲いています。


人はこの現象を“狂い咲き”と呼ぶことがあります。あるいは,“季節外れ”ともいっています。狂い咲きとは今の時代,時代錯誤のことばに思えてわたしは使う気にはなれませんが,春の花が秋に咲くのですから,確かに妙な咲き方ではあります。

この時期に咲く因果関係については,ずっと前に記事にしました。

先月30日のネット情報を見ていると,根室市で「季節外れの桜が咲いた」ということでテレビ局関係の報道記事が目に入りました。タイトルは『北海道・根室で季節外れの桜,台風の影響?』というもので,なるほど北海道では甚大な台風被害があったものなあと納得。

記事を箇条書きすると以下にまとめられます。

  • 品種はチシマザクラ。
  • 診療所の庭先でぱらぱらと花を付けている。
  • 市内のところどころで咲き始めた。

そうして,市担当者の話としてこう締めくくられています。「台風などで気候の変化が激しかったことから寒暖差で咲いたとみられていて,9月下旬に咲くのは珍しい」。

季節外れのサクラが咲くメカニズムはすでに解き明かされています。真相は,気候の寒暖差といった単純な解釈では説明し切れません。もしそうだとすれば,気温がどのくらいの期間内に,どのように変化したのか,そして例年の気温変化と比べてどのような差異があるのかを見て行かなくてはならないでしょう。こういう場合は印象で語るのでなく,科学の目でとらえて解釈を試みる必要があります。


気温の変化だけが問題なら,台風が来なくても枝を手折って温室にでも入れておけば開花しそうに思われます。花芽はすでに夏にはできているのですから,短期間でも室温をコントロールすることで開花を促すことができるかも,です。ところが,ことはそんなに簡単ではありません。もしできるのなら,そうして開花させようと試みる人があちこちに現れるはずです。


解き明かされいる真相はこうです。

  • サクラのように結実までに長期間を要する植物の場合,厳冬前の秋に実を結ぶために,開花することはありえない。
  • 暑い夏を過ぎて,花芽に越冬シグナルを発するのは葉の役目。開花・成長を抑制する植物ホルモン“アブシシン酸“が葉でつくられて花芽に送られ,花芽が越冬芽となる。
  • 越冬芽は冬支度の姿。寒さを経て翌春,暖かさを感じたとき,開花準備が整う。

つまり,一般則としてはいったん越冬芽が形成されていれば,秋に少々温かさを感じようとも花を開くことはないということです。となると,今の陽気で簡単に開花するのは,花芽がまだ越冬芽になっていないというふうに解釈するのが妥当でしょう。葉でアブシシン酸がつくられる前に,葉が台風でことごとく落ちてしまったと考えるとどうでしょうか。葉が虫に食べられて裸になった例でも同じ結果になります。

いずれにしろ,葉がなくなった以上,越冬芽ができない状況に陥ったことになります。したがって,そこにある程度の暖かさが続けばサクラが開花することはじゅうぶん考えられます。

こう考えてくると,先の報道にあるように,単に寒暖の差でサクラが咲いたというほど簡単なしくみではないことがわかります。

このサクラは,かなりの期間,通行人の目をたのしませてくれました。後日,晴れた日に撮ったのが下写真です。このときはセイヨウミツバチが訪れていました。

 


10月中旬,あるところで見たサクラの木は,葉をどっさり付けていました。越冬芽が順調に育っていることでしょう。これから寒さをしっかり体感して,来春,花を見事に付けるはずです。

 

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