hidamaro's

しがない物書きの生活と意見

ピアノ事件その2

2017-06-16 00:43:55 | 思い出

その日も我々三人は、早くピアノが弾きたくてウズウズしていて

放課後になるや我先に音楽室へと駆けこんだ。 が、

ガツッ・・・

持ち上げたグランドピアノの蓋は硬い感触に阻まれた。

鍵が掛かっていた。

「ちえっ、しゃーない。 二階へ行こう」

 

音楽棟は独立した小校舎で、

一階と二階にそれぞれ音楽室が一つずつあるだけなのだ。

どちらの部屋にもグランドピアノがあるが

二階のは少し古く、弾いていると時々弦が切れた。

だから本当は下のピアノがいいのだが

鍵がかかっている時はやむをえず二階のを使って練習した。

だがその日、階段を上がると

「げっ・・・」

我々は顔を見合わせた。

なんと、教室の入り口の引き戸に錠が下ろされているではないか。

こんなことは初めてだった。

少し思案した我々悪童3人組は

「かまうもんか、戸ごと外しちまえ」

という結論に達した。

無理やりに引き戸をひっぺがした我々は

「Tにバレたらやばいよなあ」

などと言いつつ、中へ入った。

Tというのは、カマキリみたいな風貌をした音楽の男性教師で

ありていに言うと、少々「イカれた」奴だった。

 

なにせ戸をひっぺがしての侵入だ。 Tに知れたらエラいことになる。

私は教室の窓を全開にし、

「もしTが来たら、ここから飛び降りて逃げようぜ」

と言った。

結果から言うと、それが暗示効果をもたらしてしまったのだ。

 

我々は三人で代わるがわる丸椅子に座って弾いていたのだが

しばらくすると

ギイッ、ギイッ・・・

階段が軋むような不気味な音が聞こえてきた。

(ヤバっ! Tだ!)

三人が三人とも、瞬時にそう思ったのだ。

 

躊躇はしなかった。

真っ先に窓際に駆け寄り、ジャンプしたのはたしか私が最初じゃなかったろうか(その3に続く)

 

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