そういうわけで、私ことクラシックイタチにはよく状況が見えないままさらりとリハが終わり、屋外での演奏が始まることになった。そうそう、私はアンデス持参といってもアンデス用の譜面があるわけはなく、パーカッション席にいたのだが、リハ直前から障害者の方でもあり昨年も参加したという青年が一人、このパーカッションに加わることになっていたらしいのである。そして過日お聴きになった方はわかるように、「肝心なところ」はみんな彼がやってくれていた。
彼は昨年1回参加しただけとはとても思えないほど曲をよく覚えていて、机の上に並んでいるどの楽器を使えばいいかを心得ている。譜面なんかは見ないのに、澄んだ音を勢いよく叩く。それでも気を遣って、リハでは新しい曲へ入るとまずどの楽器を使ったらいいか、と必ず私に訊いてくれる。私があまり曲に合わない、冴えない楽器を推してしまっても「うん」とやさしく答えてしばらく叩いていて、そのうち別の楽器に交換している、という具合だ。
やれやれ。センスがあるとかないとかいうのは、要するにこういうことだ。
それでも私がああ、日頃こうしていてよかった、と心から思ったこともあった。
「ああ、仙波さんの駄楽器講座のDVDを観ておいてよかった~」
いやその話じゃなくて、リハに続いてのその屋外演奏なんだが、なぜかその時、彼の姿がないのである。どうも彼はスタッフとして何か別の仕事をしているらしく、演奏が始まっても現れない。どーするんだ、ムチは、グロッケンは、鈴は、ウッドブロックは!
でもって、ふと横を見ると、玄関前用にセッティングされた携帯用ドラムセットに座っているのは……むむ、ヒビキではないか!?
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