まんべくんTwitterアカウント炎上、そして停止事件。長万部町という知名度が決して高くなく、観光資源も豊富とは言えず、広告予算も限られている町の認知拡大に多大なる貢献を行ってきたことを考えると残念な思いを感じますし、そうした挑戦を行ってきた方を称えたい気持ちもあります。
しかしながら、 私の分野である企業のソーシャルメディアマーケティングとして見ると課題は多く決してほめられたものではありません。そうした中、何名かの方から意見を求められたので、ここで考察を書いておきたいと思います。
まずは事件をご存じない方のために、経緯をご説明します。
- 北海道長万部町のゆるキャラ「まんべくん」がTwitterで激辛なコメントをすることで人気を博す
- 激辛コメントに非難も声も上がったようだが、「面白い」と受け止める人が多かったようでその人気は加速
- ついにはTwitterのフォロワーが5万を超えるほどになった
- こうした人気を受けてキャラクターグッズの販売なども可能に
- 激辛コメントは続き、北海道議に「まさるもパーティー券売りつけてんの?」過激発言を行ったりする
- 8/15に「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです。ありがとうございました。」と発言
- 反論に対して、「炎上の後のペプシネックスは格別だよーッ!(((^-^)))」「(^¬^≡^¬^)ピャーッ!今日は大漁!大漁!」と煽り続ける
- 怒った人たちが長万部町にクレームを入れる
- クレームの内容をTwitterアカウント上で一部公開、更には「クレームきたら名前伏せて晒してもいい?(^-^≡^-^)」と更なる燃料を投下
- クレームを受けた長万部町が「お詫び」と「まんべくんツイッターは中止」を宣言
- まんべくんTwitterを運営していた株式会社エム社長は自身のTwitterアカウントで謝罪を表明するも、「批判する人は飽きっぽいのでそんなのはほっといて、私はまんべくんファンのみなさんにつぶやいていきたいと思います。」「何やっても批判の的ですが、お詫びはします。」「反省はしてますが、おとなしくしてればいいと思ってません。」と自身の考えを表明
- 更に、同社長は「弊社のまんべくんの商標使用権がなくなりましたので、Twitterアカウント、mixiからまんべくんの名前を削除いたしました。」としつつも、「アカウント、アドレスそのものは弊社の保有するものであり、町が保有するものではありません。」とまんべくんのTwitterアカウント(@manbe_kun)についての立場を表明
というものです。私の評価を含めて簡単に言えば、人の怒りや顰蹙という感情を刺激することで興味を引いて認知度を高める「炎上マーケティング」で人気が出たのでそれを続けたら炎上しすぎて中止になった。ということです。
今回のケースで大きな問題は以下の3つだと思います。
1)炎上マーケティング選択のミス
炎上マーケティングは武器で言えば貧者の核兵器のようなもので、予算がない、人がいないといった厳しい状況下で取るには魅力的な選択肢です。実際、この方法でゼロから立ち上げたのにも関わらず短期間で人気を博したサイトやblogがあることは事実です。更にはこうしたサイトがYahoo!ニュース等にまで取り上げられるようになりビジネスとして成立するまでになっていることも否定できません。
しかし、これは太ったからダイエットしなくてはいけないけどご飯を我慢できない。運動できない。お金がないからスポーツクラブにもいけない。と言う人が病気になったら痩せた!と喜んで、一生懸命風邪をひこうとするようなもので、邪道であり、当社がお手伝いさせていただいている大企業はもとより予算が限られる中小メーカーであっても、継続的に事業を続けることを考えている企業には絶対お勧めしない(実際やっていない)方法です。
それを短期・中期・長期全てで正義を求められる公共機関のマーケティングに採用したことがまず根本的な間違いです。
2)運営会社による発言の(結果としての)私物化
言い方は別として発言内容自体は政府公式見解に近いもので、8/15という時期は別としてこれだけで炎上して停止というのはどうかと思います。こうした議論も丁度下記のエントリーで書いているように大賛成です。しかし、政治(歴史認識を含む)信条については多数の異なる意見があることは必然であるため、個人として発言するのであれば良いですが、他人(長万部町)のアカウントで行うべきものではありません。
これは歴史認識に関するものだけでなく、今回の「まんべくん」の当該発言に賛同する左よりの方々であっても、例えば「死刑囚は憲法に従って順次死刑執行されるべきである」と「まんべくん」が(例え正しい憲法解釈であっても)発言していたら違う反応をしていたかもしれません。
要は、「他所でやれ」「自分のアカウントで自分の政治信条は表明せよ」というレベルの話です。
そんな話を委託を受けているアカウントで(炎上マーケティング目的だとしても)行うことは、アカウントの私物化と言われても仕方ないのではないでしょうか?
なお、「今回の戦争でのツイートは、終戦記念日前日ともあり、いろんな方と議論できたら素晴らしいですし、歴史を見つめ直すいい機会と思いました。ただそれだけです。」と株式会社エム社長は自身のTwitterアカウントで今回の発言の本意を説明しています。
しかし、本当にそうであれば反論をしてきた方に対して「そうやって日本人全員に上から物言えな!」「付き合わなくていい!ブロック推奨って書いてあるだろ!」「(^¬^≡^¬^)ピャーッ!今日は大漁!大漁!」「ふははははーッ!まんべくんごときに紅顔!少年、それが絶望だッ!ふははははーッ!」「炎上の後のペプシネックスは格別だよーッ!(((^-^)))」と茶化さないでしょう。
また、その上に「クレームきたら名前伏せて晒してもいい?(^-^≡^-^)」という対応にはならないでしょう。(同社長は後に「その時にはじまった煽りでは無く、当初からやってましたので。 」と説明していますが、そうであればそもそも議論など出来ないわけですから、「いろんな方と議論できたら素晴らしい」と考えたと言う主張自体が成り立ちません)
3)委託元が管理不能な運営形態
今回、更に酷いのが長万部町のキャラクターであるはずの「まんべくん」のTwittterアカウントが長万部町ではなく委託され運営していた株式会社エムの保有であることです。これは、一時期Twitterの「ゆるキャラ」アカウント成功例として有名だった「加ト吉」さんのアカウントと同様の問題です。
「加ト吉」さんの場合は同アカウントを運営していたのは同社社員だったものの、そのアカウントは個人として取得したものであった為、同社社員の退社とともに、約2万8000人もの多数のフォロワーを獲得していた同アカウントは廃止され現在は残骸が残るのみとなりました。さて、今回はどうでしょうか?
今回の炎上でまんべくんのTwitterアカウント(@manbe_kun)のフォロワー数は87000程度から99000程度と12000人も増えています。十分に魅力的な数字です。
同アカウントを保有する株式会社エムの社長は自身のTwitterアカウントで「私はまんべくんが大好きです。好きな気持ちは誰にも負けない自信があります。」「長万部も本当に思ってます。私は長万部のためには死んだっていい。地元愛も誰にも負けるが気がしません。日本一長万部が好きです。」と発言されているので、最悪の事態は避けられると思っています。
しかし、本アカウントは継続的運営主体である長万部町にとって貴重な顧客接点です。その重要な接点の運営(及び停止、廃止)を委託元が自己の判断で行えない運営形態は(無償であれなんであれ)あってはいけません。分かりやすい例で言えば、「費用をかけて顧客に告知している顧客サポートコールセンターの電話番号をコールセンター委託先が保有していて、同委託先と契約を切った際には使えなくなる」などということがありえないのと似ているといえば分かっていただけるでしょうか。
以上、3点が今回の問題だと私は考えます。今回の炎上により同アカウントは停止となりましたが、今回の件が無事に収まっていたとしても、これら3つの問題を放置し続けていれば早晩問題が発生していたと思います。(正直、これはまともな一般企業では起こらない=こんな選択をしないと思うので、学ぶことはあまりないと思います。)
P.S.
最後に一言。
限られた予算のため苦肉の策として始めたかもしれない「炎上マーケティング」。そして、それが上手く行ってしまったが故に行われた「アカウントの(結果としての)私物化」。そもそも性善説にたった(?)「委託元が管理不能な運営形態」。本音では全てに同情したくなりますが、企業のリスクリターンの関係を最適なものとする立場にいる私はこれを褒め称えることは出来ません。
しかし、同社社長の「私は長万部出身ですので町のために何とかもっと産業を起こして町おこしをしようと思い、まんべくんの企画運営をやらせていただきたいと町にかけ合い、そして許可をいただきました。」という行動力と想いは素晴らしいです。また、地方都市の苦しみも想像は出来ます。
よって個人的には、同社、及び同社社長には今回のことを良い機会にして次の挑戦をしてもらえたらと思いますし、長万部町には良い悪いは別として今回上がった認知度を生かして町の活性化が図れればと思っています。頑張ってください。












個人的には、素顔ならお近づきになりたくないような人でも仮面さえ被れば好きなように信者を操れる、という成功例を作るのが怖いのでうやむやにしてほしくない、という感じです。
@amamoon まんべくんは必ず復活させます。
@mltdken
(株)エム 社長です 大事なことなのでもう一度言います。まんべくんは必ず復活させます。
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上記2点は、本日(8月22日)に
M社S氏がTwitterで流したTLです。
同社は長万部町より使用許諾禁止処分を受けているのに
同社はまだ自分のところで、まんべくんを利用しようと考えています。
これで、町の活性化に繋がるのでしょうか?
じぶんは繋がるとは思いません。
まんべくんを復活させるのなら、長万部町は、M社にまんべくんを渡してはいけないと思います。
不適切でしたら不承認及び削除されて構いません。