先日、出井さん主催のベンチャー経営者を集めた会合で一橋大学楠木先生の話「次元の見えない差別化:脱コモディティ化の論理」を伺ってきました。主に大企業のケースを中心にした話でしたが、ベンチャー企業である我々にとっても大変に勉強になる話でした。せっかくですので、今日はその一部をご紹介したいと思います。
「脱コモディティ化」
企業は差別化により多くの利潤を得ようとします。差別化は価値により行うわけですが、価値には分かりやすい(見えやすい)物と、見え難いものがあります。例えば分かりやすい価値はデジカメの「画素数」や車の「燃費」などで、見え難いものはスターバックスの「居心地よさ」だったり、車の「乗り心地」などです。
前者は開発する企業にとっても、販売する店にとっても、購入するお客様にとっても分かりやすいので、訴求力は抜群です。しかし、競合にとっても何をすれば良いのか分かるので、直ぐに追いつかれて、それに負けじと更に価値を強化して対応を続けると、最後はお客様の認知限界を超えてしまい結局は価格競争に陥り(コモディティ化)ます。これは正に今の家電業界が直面している課題そのものです。
一方で後者は、誰にとっても見え難いものの、一旦お客様にご理解いただき、「クチコミ」によりその価値は伝播されると強烈に強い差別化要素となります。更には、競合にとっても何ををすれば良いのかが分かりませんから、直ぐには追いついてこれません。その結果、相当期間コモディティ化から脱することが出来るのです。
「何故実施できないのか」
脱コモディティ化を目標にするメーカーであれば、誰もが後者を選ぶと思うでしょう。しかし、なかなかそうはいかないのです。それは、経営の「見えるか」によってオペレーションを徹底的に鍛え上げてきたメーカーにとって、前者はその「見えるか」スキルを活用できるため取り組みやすいのですが、後者は全く新しいスキルを必要とするため困難を極めるためです。
また、勇気を持って取り組むと決めても、そもそも開発者にとっても見え難いものですから、何を作れば良いのかがなかなか分かりませんし、手探りで進める以上は失敗がつきものです。更には作っても販売経路にのせることも、お客様に訴求することも株主に分かりやすく説明することも難しいと来ています。
そのため、コモディティ化に耐えられないと判断して「見え難い価値」への挑戦を始めたとしても、余程運が良くない限りは失敗が先行します。そして挑戦した担当者は外され、その結末を見た後継者が「見えやすい価値」への注力が再び行うことを選択して、結局またコモディティ化の罠にはまるというわけです。
どうでしょう?心当たりがある方も多いのではないでしょうか?(苦笑)
なお、私はこれはメーカーだけに当てはまる話ではありないと思います。下手すると(下手をしなくても?)ベンチャー企業にすら起こりえる、いや起こっているでしょう。皆様の会社は如何ですか?











