白鵬が近い将来、日本国籍を取得して引退後も日本相撲協会に残る意向を持っていることが20日、分かった。関係者によると、親方になる夢を抱いているという。多大な功績から、しこ名のまま親方になれる一代年寄が認められる可能性が大きい。また、母親のジジド・タミルさん(68)がスポーツ報知に手記を寄せ、大記録を達成した息子をねぎらった。日本国籍取得についても理解を示した。
息子が達成した記録は、皆さんの記録だと私は実感しています。最初に入門を認めてくれた宮城野部屋、ご指導をいただいている相撲協会。何よりファン、家族の支えがあったからこそ、たどり着いた1047勝ではないでしょうか。モンゴルには「いい種をまけばいい収穫ができる」という、ことわざがあります。今回の“収穫”は皆さんの収穫です。
ダヴァ(白鵬)は相撲が大好きで、いろいろな方から「相撲の本も読んで研究している」と聞いています。誠実な気持ちでコツコツとやってきたことを、土俵の神様が見ていてくださったんでしょう。
それでも、忘れてはいけないことがあります。相撲界には息子以外に71人の横綱がいます。過去も含めて、先輩横綱から素晴らしいことを学んできた。力士としてここまで成長できた理由は、歴代の先輩の方々のご指導、横綱としての生き方ではないでしょうか。
彼は10代半ばで日本に行った。年月がたって日本の文化、しきたりにも慣れている。日本人としての考え方も理解している。家族を持ち、たくさんの子供(1男3女)を持った。こういう生活をしているのだから、将来、帰化をして親方として相撲協会に残ることになったら、息子の意見を尊重したいと思います。
なぜなら息子は「相撲」に恩返しをしなければいけないから。自分が学んだこと、目にしたものを次の世代に伝え、バトンタッチする。それを財産として伝えなければいけないのです。具体的な話は、まだ出ていませんけど。
今年は主人(ムンフバトさん、76)が1967年にレスリングの世界選手権(インド・デリー)で銀メダルを獲得して50周年です。モンゴルにとって国際大会で初めて銀メダルで、記念イベントが5月に行われました。そこに息子の1047勝が重なり、喜びが倍になってうれしいですね。
主人は場所中、テレビを見て自分で取組をしているように声を上げたり、仕切ったりして応援しています。来年は主人のメキシコ五輪銀メダルから50周年。息子も頑張って、もっと記録を伸ばしてほしい。10代から30歳を超えるまで、汗と涙を喜びで支えてきた。今後もそういう人間であってほしい。(ウランバートル市内で)
母に感謝の土俵入り