ツリーシェルターとは・・・

ツリーシェルターとは

断章 「イギリスの森林」

2008年11月27日 | 「ツリーシェルター」の歴史


(シトカトウヒ Wikipediaより
イギリスの新植の大半はこれら外来針葉樹に依存している)

日本とイギリスでは、森林の状況は全く異なるようである。
何が違うか・・・

森林率が全く違う。
日本の国土の約7割が森林であるのに対し、
イギリスは約10%(1995年現在)と極端に少ない。
(全国土 227.399平方KMに対し森林面積は 24,160平方KM
1900年初頭のイギリスの森林率はなんと約5%
(全国土 227.399平方KMに対し森林面積は 11,032平方KM)

5000年前、イギリスの大半の地域を埋め尽くしていた自生林は、
20世紀初頭までには大半が伐採され、かつ、植栽・育林による森林造成がほとんど行われなかったようだ。

産業革命の国イギリスにおいて、産業革命前は農業が産業の主力をなし、
農地開墾のためにも多くの森林が伐採されていく・・・
唯一残っていた「薪炭林施業」も産業革命により19世紀を通じて衰退し、
管理されていた薪炭林は事実上消滅してしまう・・・
(燃料が薪から石炭へと変わってしまうなどの市場消滅が衰退の大きな例としてあげられる)

このような状況で、国内の必要な木材をどのように調達していたのだろうか?と思っていたら、
何のことはない、自国の植民地から無尽蔵にしかも安価な木材が供給されていたのだそうだ・・・
さもありなん・・・

かくて、イギリスは1900年初頭、ヨーロッパで最も樹木の少ない地域の一つとなり、
しかも残っていた森林も事実上何の管理もされず放置されていたのだと言う・・・
貴族が所有している猟のための森林などが、この5%の数字の多くを占めていたのだろうか・・・?

第一次世界大戦における海上封鎖のため、
国内で使われる木材の90%が入ってこなくなり、
国家は事の重大さを認識・・・(遅いって(笑))
1919年、「Forestry Commision」を設立。
その目的は、再度戦争が起こったときに備えての「木材の戦略的保存」であったそうだ。
その後、1960年代には「戦略的保存」から「経済目的の木材生産」に主眼が移り、
1980年代になってようやく、国土保全、自然保護、風致、レクリエーション等の
観点から森林を見ることが出来るようになったのだとか
(環境意識を高めた国民からの猛烈な突き上げがあったようである)

因みに、増えた森林率5%分は、1950年〜1970年の間に植栽されたものであり、
その大半は外来種の樹木で占められている。
森林面積の80%を占める樹種16種のうち、
9種類が外来の針葉樹で面積の45.5%を占めている。
代表的なのが、「シトカトウヒ」、「ロッジポールマツ」でアメリカ原産。
林業価値の高い(生産性の高い)ものである。
残りのイギリス原産樹種7種類のうち、
針葉樹はヨーロッパアカマツのみ。
固有の広葉樹の占める面積割合は僅かであり、
木材生産が行われず、適切な管理も無く放置されているところが大半だと言う。

ここまで手持ちの論文から抽出してきた感想ですが、
率直に「酷いな」と思います(笑)
ただ、日本が素晴らしいともとても思えず、まあ、こんなものかとも思わなくもないです(笑)

イギリスが国土保全的観点から森林造成に取り掛からなかったのは、
日本の様に高く急峻な山が無く、
活火山も無し、台風もほとんど来ず、万年雪も無い、風は高地を除いて気にする程でもない、
ここまで過度の森林放置で予想される災害(地すべり等日本でお馴染みの災害、雪崩等)
が無かったからなのであろう。

*この文章はDr.Peter Savil氏(オックスフォード大学)の公演から抜粋、掲載しています。