おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

地球に移住した君へ

2016-12-27 | Weblog
どうだい、住み心地は? 君は長所というか、いい所しか見ないたちだからね。まあ、われわれ地球人は誰にでも短所や嫌な所があるんだということを分かっているんだろうね。短所を見過ごして、長所を見出して、人や物事をプラス評価していく。君は凄いよ。人が感情的もしくは生理的な理由から、誰かを仲間外れにしたり、嫌みな物言いをしたり、或いは憎悪や妬みから相手をいたぶり、追い詰めたりする人物がいるのも知っているよね。かと思えば、自業自得のような人物たちに救済と立ち直りの手を差し伸べようとする人物がいるのも知っている。地獄と天国を地上に創り出している地球人のことを本当はどう思っているのかな。まあ、こう尋ねても、ほほ笑んで答えずというのが君のやり方だからな。

1個の頭の表に目が2つ、鼻が1つ、口が1つ、耳が2つ、眉毛が2本。わたしたちは見慣れているけど、君から見れば、なんともけったいな頭蓋骨を持った生き物だと思うだろうね。しかも、その両目ときたら、眼球の中に感情の発生装置がはめ込まれているみたいに、怒りや嬉しさ、誘惑、いたずら、嫉妬を表現するからね。猛獣の殺意が漲った目も怖いけど、笑いを見せた目の裏側で、悪意ある魂胆を潜ませた人間も怖いんだよ。目は口ほどに物を言いだよね。そうか、君も目でもって相手の思いを見透かしてしまうんだよね。本意、真意を知られてしまうと思うと、君と対面して言葉を交わすのは、ちょっと怖い気もするよね。隠し事が通用しない状況も、わたしたちには辛いものがあるんだよ。すべてがあからさまにされるというのは、どうなんだろう。感情の逃げ場、本意や真意の隠れ家が要るみたいだよ、わたしたちは。それは、わたしたちのどこかに、あるいは、ある事情から、嘘、偽り、欺瞞、裏切り、見え、虚栄の世界にわざわざ足を突っ込ん押し歩くことが人生のうち何回かあるんだろうねえ。正直さを告白できない弱さなんだろうなあ。

毎日、飯を食うのにも驚いているだろうね。1日2食か3食は胃袋に食べ物を運び込んでいるからね。君からすれば、原始的な生体維持構造を持った生き物だろうな。飯の種が喧嘩の種になっていることを君はよく分かっているよ。資源とか、権益とか、領土とかをめぐる争奪や諍いは、結局のところ食いぶちをめぐる争いが根源なんだよ。だって食べないと生きていけないんだもん、わたしたちは。AIみたいに食事不要だったら喧嘩は起きないんだろうけど。もっともAIも電源をめぐる争いが起きるかもしれないけどもさ。わたしたちが1カ月に1食で過ごすことができるようになったら、世界は平和になるだろうか。争いはなくなるだろうか。君はどう思う?

飯の問題が片付いたら、今度は欲しがる病が蔓延するんじゃないかって言うんだね。欲しがる病か、よく言ったもんだな。あれも、これも欲しい。彼の心、彼女の心を欲しい。権力が欲しい。金が欲しい。地位が欲しい。贅沢が欲しい。なんだろう、これ? 病気が欲しい。不健康が欲しい。貧乏が欲しい。頭が2つに口が4つ、目が3つに耳が6つ欲しい。なんてことは言わないもんな。これらはマズローの欲求ピラミッドの、どの階層にも属していないな。病気、不健康、貧乏は生きることとは真逆に向かう欲求、すなわちマイナス指向の欲求なのだろうね。

君はよく言ってたもんな。犬が犬であるように、猫が猫であるように、人間は人間を演じているんだと。戦争を仕掛ける。平和を愛する。お金が増えると気が大きくなる。地位が上がると偉くなったような気になる。安い服より高い服を着るようになる。狭い家から広い家に住むようになる。徒歩から軽自動車になり、排気量3500CCを超える車に乗るようになる。戒名の文字数が増える。お布施が高額になる。墓石が大理石になる。当人たちは大真面目だが、君からすれば爆笑すべき滑稽譚だろうね。でもねえ、わたしは人間だから、あえて弁護すればね、この滑稽さが人間ならではだし、この馬鹿さ加減が、神の遙か下々にいる人間だということなんだ。君みたいに絶対的存在に出来上がっていないんだよ、わたしたちは。途上なんだよ。しかも頂上に近づいただけ、頂上がさらに伸び上がるんだからね。絶対に到達、登頂できないんだよ。そうなりゃ、馬鹿な気を起こしたり、滑稽に走るのもでてくるさ。君から見れば、救われない衆生でいっぱいなんだよ、この地球は。

君に文句のひとつも言いたいね。滑稽な人生を送り、終わるわたしたちを眺めて愉しんでいるんだろう? そりゃないよ。途上にあり続けるわたしたちを少しは手助けしてみてはどうなんだい。われわれの世界じゃ、そういうのを薄情って言うんだけどもね。こんなことを、ぶつぶつ言うのを、また愉しんでいるんだろう? 君とわたしたちとは同じ地球に住んでいながら、お互いに相入れ合う関係にはならないかもしれないなあ。絶対と相対、神と人、永遠に並行なままだ。神は人にならないし、人は神になれない。神になった気になっている人はいるがね。君に死はないから生は永遠だ。わたしたちには死があるから生は期限付きだ。そんな関係だけど、君とわたしたちは戦争をしたことがない。戦争をするのはわたしたち同士だ。わたしたちは滑稽をことあるごとに演じ、君はことあるごとに滑稽を見守りほほ笑むだけだ。永遠に交わり合うことのない、君とわたしたちの関係は、地球がある限り永遠に続くのだろうね。万世一系、世代交代なしの君は、世代が入れ替わりながら存在を継承していく地球型生き方をいいと思わないか? 1度ぐらい試してみたいとか、どう? えっ、まったく思わないって。やっぱり、永遠に並行関係だな。でも、お互いに不可侵というのは、関係が長続きする秘訣かもしれないなあ。まあ、一緒にあの世に行ってみないか? 嫌だってか。いつか絶対的な存在に飽きがくると思うけどもねえ。えっ、思わないって。そうだろうな、君らしい。

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