おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

平成の終わり 天皇の生前退位 現代史の渦中で 3

2017-03-15 | Weblog
平成の世は、昭和天皇が崩御された翌日の1989年1月8日から始まり、ことしで29年を迎えた。時代も人も元号と同じく年齢を重ねてきた。55歳で即位された今上天皇も83歳という高齢の身となられた。昨年7月13日、NHKが「天皇陛下の生前退位の意向」をスクープする形で夜7時のニュースで特報した。その内容はYouTubeで視聴することができる。活字で要の部分を再現すると、こんな具合である。

天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かりました。数年内の譲位を望まれているということで、天皇陛下自身が広く内外にお気持ちを表わす方向で調整が進められています。

この報道に対し、宮内庁は当初、内容を否定していたが、事実は覆せない。8月8日に「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」として、ビデオメッセージの形でテレビで放送された。内容は宮内庁のHPに掲載されている。今上天皇が生前退位の意向を自ら語る、重要な時代史料という意味で全文を引用してみる。

戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。

本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。

そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから,ほぼ28年,この間私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように,憲法の下,天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを,切に願っています。


ビデオでは障子を背景にネクタイ、スーツ姿の今上天皇が用意された原稿を丁寧に朗読する様が映し出されている。高齢に伴う体力の衰えから、国民統合の象徴としての天皇の務めが果たせなくなることへの不安と懸念を述べられている。併せて、象徴天皇の務めが安定的に続くこと、すなわち生前退位によって新たな天皇に引き継いでもらうことを示唆している。朗読する表情こそ、いつもの穏やかなものであるが、その内容の背景には「体力の限界」を見据えられた今上天皇の切なる思いが込められている。わたしたちが思う以上に天皇の務めが生きている間続く、終わりのない重責であることが伝わってくる。

ビデオメッセージを受けて国政が動く。生前退位の規定がない皇室典範の改正か、一代限りの特例法制定か、といった議論が起きる。改正となると条件整備などの議論で時間がかかる。天皇の思いを早急に実現するには特例法でまずは対応するということで落ち着きそうだ。生前退位によってさまざまな思いが派生してくる。

退位後は上皇となられるのだろうか? 

日本史の教科書で見知った言葉だ!

退位後は京都に戻られるのだろうか? 

明治維新で京都を出られたままだ!

皇太子徳仁親王が天皇に即位されると、弟の秋篠宮文仁親王が皇太子の役目を果たすことになる?

そうなるのだろう!

愛子さまにも関係してくるが、女系天皇論議が起きるのだろうか?

今はわからない!

雅子さまが皇后となられたとき、どんなお務めをされるのだろうか?

今はわからない!

生前退位の時期、すなわち平成の終わりはいつになるのだろうか?

観測記事が飛び交っているが、今はわからない!


わたしたち国民は平成29年と2017年という、2つの時間の流れの中で日々を過ごしている。戦後生まれのわたしは昭和64年こと昭和の終わりの瞬間を今でもよく覚えている。会社に出勤途中の自家用車のラジオ放送で聞いた。昭和天皇の崩御。今まさに時代が終焉を迎えた。歴史の臨終に立ち会い、昭和を看取った。そう思うと、次第に虚ろな気分に体が覆われた。時代自身が儚げな、白い煙となって宙に立ち上がり、時空の中でばらばらになって消え去っていくようだった。そして予告された平成の終わり。わたしたちは新しい天皇の時代に遭遇する。それは徳川幕府を幕引きさせた明治天皇の即位や、戦後の始まりとなった昭和天皇の玉音放送と並ぶような、時代を画す天皇史の出来事となるだろう。





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