平方録

身辺をつれずれに

ターニングポイントだぜ、きっと

2017-07-01 06:58:12 | 随筆
7月1日である。
だからと言って、特に意味があるわけではないが、今年もすでに半分が過ぎてしまったのかと、月日の経つ早さに改めて驚く。

旧暦でいうと夏至から数えて11日目の今日は「半夏生」で、田植を済ませた農家が休息をとる日だという。
農事やら生活のリズムに関して世の中は随分とあいまいになってきているようで、例えば衣替えひとつとっても昔は6月1日と決まっていたが、その通りに今でも実践しているのは私立の学校に通う女学生のセーラー服が黒っぽい冬服から白の夏服に一斉に切り替わるのを目の当たりにして、おぉ、そうか!と気づくくらいが関の山である。
最近の季節の温度変化を皮膚で感じている身には、冬服を5月いっぱいまで着ているなんてことは現実的ではないし、そんなことをしたら熱中症で命を落としてしまうかもしれないと心配してしまう。
むしろ臨機応変が求められる時代になったと言えるのかもしれない。

田植にしたって、孫娘の暮らす北関東の県庁所在地まで電車に乗ると、早ければ5月の連休明け頃から田植を初めるところがあるくらいで、半夏生なんてまったく意に返していないかのようである。
あの時期に植えられるイネというのは、これまでのイネと品種が違うのだろうか。門外漢のボクにはトンと分からないが、暦と違ってきていることは紛れもない事実のように思えるのだ。
ボクの家の近所の農家の田植が暦通りだったので、今年はもうコメ作りは止めてしまったのかと心配になったくらいである。
先週末に田植がようやく始まって、やれやれ、これで今年もイネの上を渡ってくる風の匂いをかぐことが出来るなぁ、とほっとした気分になったものである。

「夏至」と「冬至」。
片や最も日が長い日、此方最も夜が長い日。この両極端のどちらが好きか問われると、少し考えこんでしまう。
どちらも好きとか、どちらも好かないというのではなく、あくまで二者択一を迫られたとしたら…という場合である。
選んだからと言って別に意味はないのだが、両方に思いがあるのだ。どちらもターニングポイントなのである。


季節で一番好きなのは夏である。なんてったって夏! である。
夏休みの宿題と熱帯夜はちょっとイヤだが、それ以外の厳しい暑さもギラギラした太陽も食べ物も飲み物も全部、夏のものは好きである。
第一、真夏の太陽光を全身に浴びて体内に取り込んでおかないと、冬を乗り切れない気がしてならないのだ。
エネルギー不足に陥ることを真剣に心配しているんである。
だからボクにとっては「命をつなぐ夏」なんである。エネルギーチャージの大切な季節なのである。

でも「夏至」というのは、翌日から日脚がだんだん縮んでいく日の境目にある。
そこをを想うと、実は寂しいのだ。切ない気持ちがわいてくる。
しばらくは十分に日は長いのだが、そこは気分の問題なのである。

此方の「冬至」。
ボクは冬の日の短さと寒さが大っ嫌いである。
極端な話、行動の自由が制約されるようで、拷問に遭っているような気さえするのだ。可能なら南と北の半球を夏だけに暮らせるよう移動し続けたいくらいなのだ。
早く暗くなるから、早いうちから酒を飲めるのが唯一の利点かもしれないが、そんなものはしょせん大したことではない。
深遠な哲学とか豊饒な音楽というものの多くが、寒くて日の短い地域で生まれたようだが、そういうものは人に任せておけば良いのであって、ボクは出来上がったものを楽しませてもらえれば十分なのである。

ただ「冬至」は嫌いではない。
むしろ好ましい存在というべきかもしれない。
この日は「一陽来復」の日なんである。「夏至」とは全く逆ということになる。
この日を境に日脚が伸びていくと思うだけで、現実には寒さの本番はこれからやってくるわけだが、なにがしか心が軽くなるのである。
日が短いのも寒いのも辛抱してやろうという気にさせてくれるのである。極端に言うと「希望の日」と言っても良いくらいなんである。
個人差があるにせよ、人間という動物はどうしてかくも健気なものかと感心してしまう。

現実を直視すると、日脚はこれから縮んでゆく。
栄えるものもまた然り。だが、おごれるものはそうはいかない。縮むだけでは済まないんである。そのはずである。



庭の半夏生はずいぶんと白い化粧が進んだ


こぼれダネで咲いたインパチェンス


庭の一角に毎年咲くコレオプシスデイジー。真夏には株一杯に花をつける




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