平方録

魚っ食いの恨めしやぁ~

顔を洗ってベランダに出てみると東の空がまるで溶鉱炉の中でコークスが燃え盛っているような色合いである。
ピンクがかったオレンジ色というのか、どういう絵の具を混ぜればああいう色合いになるのかよく分からないが、それでいて透き通っていて、しかも明るい。
1年で最も日脚が伸びる季節を迎えて太陽は早起きの人間にだけ、とっておきの色彩変化を見せてくれるのだろう。

アニサキスによる食中毒が急増しているんだという。
サバやアジ、イワシなどかなり広範囲な魚種に寄生する体長2、3センチの糸のような虫で、魚が生きている時は内臓にとどまっているが、死ぬと内臓から筋肉(身)に移動するのだそうである。
日本人はその身を刺身と称して好んで口に入れる民族である。
煮たり焼いたりもするけれど、新鮮なものはやはり刺身が一番おいしいと思う日本人は多いと思う。
ボクなどその典型で、サバだって生で食べようとするくらいである。

アニサキス被害が急増しているのは診察した医療機関に対して、保健所への報告が義務付けられるようになったためらしいが、それでも昨年の届け出件数は124件である。
ただ別の研究では年間に7000人の患者が出ているという推計もあるそうだから、潜在的な患者数は案外多いのだ。
これだけ生魚を食らう習慣が根付いている国である。それもムベなるかなと思う。
124という数字も10年前に比べれば20倍にも増えているそうだから、注意するに越したことはない。

一番身近な妻が2、3年前にアニサキスにやられてひどい目に遭っている。
この時は自家製のシメサバでやられたのだが、運のよいことにボクは無事だったんである。
来し方ウン十年も生の魚を食べ続けてきているが、アニサキスとは縁がなかったのは幸運と言うべきなのかもしれない。
アニサキスによる食中毒は一種のアレルギー反応で、アニサキスに胃壁をかじられた胃が異物を除去しようとする反応のことだそうである。
この反応によって、みぞおち当たりの激痛や嘔吐などの症状がでる。
2度目にこのアレルギー反応を引き起こすと、症状はさらに厳しいものになってちょっと大変なことになるらしい。

医者から3、4年は口にしない方がいいですと言われた妻は忠告を忠実に実行しているから、サバは絶対口にしようとしない。
ボク1人サバを買ってきてシメサバにして食うなんてことは出来ないから、ボクもしばらく口にしていない。
しかし、サバだけではなく他の魚にもいるというんだから困ったものである。

酢や塩に漬けてもアニサキスは死なないそうだからシメサバがダメなのも道理である。
予防策としては①70度以上で加熱②零下20度で24時間以上冷凍③幼虫がいないか目視で確認④新鮮な魚を選び早めに内臓を取り除く――などが良いそうだ。

これで確実なのは家庭の冷蔵庫でも可能な零下20度での冷凍で、そんな時間も惜しいというなら「う~む、きれいな魚体じゃ~」とかなんとか言いながら、タメツスガメツして幼虫がいないのを確認してから口に放り込むやり方なら、何とかなるかもしれない。
後はナメロウのようにまな板の上で包丁を使って切り刻めばアニサキスも細切れになるはずである。

〝魚っ食い〟には随分と七面倒くさいことではあるが、七転八倒だけは御免だから注意は注意として謙虚に受け止めなければならないだろう。
お酒と一緒に流し込めば安全! っていう研究成果は出ていないかねぇ…



早起きは三文の徳 4.11AM


3日見ぬまのバラの園
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