Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

デンマークの介護器具

2006年08月24日 | デンマークの老人ホーム
 老人ホームでバイトし始めて何が驚いたって、介護用リフトがワンフロアに4台もあることです。今私が働いているフロアは入所者さん13名なのですが、介護度もそんなに高くもなく、ほぼ自立で生活している人もいます。なのに4台って!すごい贅沢です。

 私は派遣バイトも含めて大小、貧乏金持ちそれぞれの病院で働いてきましたが、今までその手のリフトというものをほとんど見たことがなく、最新設備の大学病院でも一般病棟で介護看護の為にリフトを使うなんていう贅沢は許されておりませんでした(唯一、ICUとか透析室、オペ室にあったくらい?)。
 なので腰や体中の筋肉、関節を酷使して2時間毎の患者さんの体位変換や、着替え&4時間毎のオムツ替え、トイレ介助、車いすベッド間の移動などなど行ってきました。腰が悪いのは職業病だね、なんてそれが極当たり前のこととしてきていたので、デンマークの介護リフトを初めて使ってみて、その便利さに大感動です。

 まずその老人ホームには「立ち上がるためのリフト」と「吊るし上げるリフト」の2種類のリフトがあります。用途によって、介護度やその人の障害によって使い分けます。
 吊るし上げる(というといじめてるみたいだけど)リフトは時々、日本でも見かけることはあり(上にもあげた特殊病棟で)、背中全体を覆う大きめな袋のようなベルトで患者さんの身体を包み、吊るし上げます。その様子はまるで赤ちゃんを運ぶコウノトリのようで、そのリフトで吊るし上げられるお年寄りを見るたびに「ああ、人はコウノトリに運ばれてきて、そしてまた年老いてもこうして運ばれるのか…」と感慨深いものが(?)あります。


「吊るし上げる用リフト」

 立ち上がる方のリフトはベルトを腕の下に通し、リフトのハンガーに引っ掛けて、そのハンガーで上に引っ張られ、背中のベルトで支えつつ、すねを基点にして立ち上がります。私も今日、写真を撮るために試しましたが、腰をしっかり支えられて立ち上がるので、腰や膝に負担がかからず、そういうところが弱いお年寄りには持って来い。すばらしいです。


「立ち上がる用リフト」

 吊るす方、立ち上がる方のリフト両方とも車輪がついているので、吊るしたまま、立ち上がらせたまま移動も楽々でき、例えばベッドからポータブルトイレへそのリフトを使って座らせ、そのままバスルームに連れて行って(ポータブルトイレはシャワーチェアーも兼ねており、車輪もついているので移動可能)お下を洗ったり、顔を洗ったりモーニングケアを済ませ、その後またリフトを使って今度は車いすに座らせる、という大作業が一人でも楽にできます。時間も大幅に短縮。日本ではこれをすべて人力で、しかも時には一人でやっていたので(どんなに太ってて大きい人でも)、それから比べたら洗濯板と全自動洗濯機ほどの違いです。


1、腰の周りにベルトをつけハンガーに引っかけ、台に足を載せる。


2、リモコンでハンガーを上に持ち上げていくと、立ち上がっていく仕組み。


立ち上がるようリフトの腰ベルト。内側はムートン風でもこもこ。

 働きはじめのうちは、どうしても人力ですべて動かすことに身体も頭も慣れてしまっていたので、リフトを使ってやその他小物を使ってなるべく介助者の身体に負担がかからないように、という新しい動きに戸惑いましたが、それにもだんだん慣れてきました。まあ、機械なのでちょっとした不注意での事故も大惨事になりかねないし、人力よりも気をつけていかねばですが(昔、電動ベッドでナースコールや他ベッド周囲にあったチューブ類をすべてぶっちぎった経験アリ。患者さんに害がなくてよかった…)。

 あともう一つ、これはリフトに比べたらかなり原始的というか、簡素なものなのですが、ベッドシーツの上に敷く防水シーツとの間に、ナイロンの布を敷いているのですが、これがまた便利。ナイロン同士の「すれる」要素をうまく使って、例えば臥床中の患者さんの向きを変える時とか、足の方にずり落ちているのを上に引っ張り上げるときとか、非常に簡単にできるのです。
 縦1m×横1.5mくらいのナイロン布を輪っか(筒型)のように縫っただけなのですが、ゴロゴロ患者さんを動かしていて背中の防水シーツの下でぐちゃぐちゃになったとしてもナイロンが薄いので、床ずれを招くほどごそごそはしません。
 ベッド上で臥床からベッド端座位にさせるときも、そのナイロン輪っかシーツが下にあるだけで、面白いほど簡単に患者さんをくるっと回転させることができます。これくらいなら手作りでもできるし、コストもかからず、汚れても洗えるしでとても便利なので、ぜひ日本の介護施設も導入したらいいのになあ、と思います。

 デンマークの介護は「寝たきりにさせない」介護と言われますが、介護者側はこうして頭と道具を使って時間を、無駄な動き&力を削って、尚かつ本当に噂通りお年寄りを寝たきりにはさせず、本当に素晴らしいと思います。その器具を使う人も使われる人も、両方にうまく利用されていて。日本では何かと言うと、こうした介護での負担を「スタッフ不足」で片付けようとしてしまいますが、確かに不足もしてるんだけど、この辺のテクニックをもっと学んで対処もしていけるんじゃないかな、と。
 というか日本の場合、医療福祉はサービス業の部類になってしまうので、どうしても経営者はスタッフを守るというよりは経営に注視しがちになるんでしょうけど。こういういい介護器具をそろえることよりも、スタッフの身体にガタが来るまでこき使った方が安いでしょうしね…。そういうディスポでバブリーな感覚、時代遅れもだよなあ、なんて。

 そんなわけで、今後もまたちょこちょこ、デンマーク介護現場(今度からは医療現場も加わりますが)から、すばらしいものを発見次第ご報告いたします!!

ジャンル:
ウェブログ
キーワード
吊るし上げ デンマーク ポータブルトイレ 老人ホーム サービス業 ナースコール 全自動洗濯機 バスルーム
Comments (7) |  Trackback (0) |  この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« 魚と野菜 de ミルフィーユ | TOP | 飛ばされるかと思った »

7 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (のん)
2006-08-24 09:38:49
鬼のいぬ間の何とかで夜更かししてます。。。笑

元勤務病院の重心施設には何台あったかなぁ???

お風呂移動用にはすごいのがあったけど。。。



実は私がリサーチしていたことは小さな赤ちゃんの為の体位変換なのですが、乳児の立ち直り反応から寝返りにつながる動きは、筋肉の弱い老人にも応用できるもので、私の世代が習ったボディメカニックスとは一線を異なるものなのです。ドイツのキネスティック理論に近いです。しかし、未熟児(死語ですが)の場合は、捻りの動作は腹筋の育っていない赤ちゃんには負担になるだけなので、丸太様(rog rolling)に体位変換をするのが味噌でございます。。。
Unknown (さわさわ)
2006-08-24 22:40:09
ほんとに日本も便利と思われるものはどんどん取り入れてほしいですよねぇ。あたしの勤務先はキレイ事ばっかりだし経営気質だしスタッフのことも患者さんのことももう少し考えてほしいなぁ。

立ち上がりマシーンはもしうちの病棟にあっても立たせたら「足ふみ練習しててくださーいっ」つって他の仕事しそうやな、なんて思いました。とほほ。
Unknown (Kanahei)
2006-08-25 06:14:43
のんさん*

確かに重心とかではリフトなど介護器具が充実してますよね。

でもデンマークのすごい点はそれが一般の老人ホームにほいほいあるということなんですよ…。私のところだけかもしれませんが、あの高そうなベルトも個人用にあるんですよ!



ボディメカニックスもなんだかすごく活用している感じがします。日本でだと忙しくて「ああ、もうめんどくさい、えい!」ってところですが…。



さわさわさん*

北欧ってさすが福祉先進国だけあってか、けっこう介護メーカーいい仕事してるんですが(もしかしたらドイツとかその辺のメーカーもかもしれないけど)、なんで日本みたいな儲かりそうなところにもっと入って来ないのかな〜って。日本のメーカーも「パクってパクって〜!そしてもっと市場にだして〜」という感じです。

私の昔働いてたところなんて、未だにベッドの上げ下げ&リクライニングは手動ハンドルですよ!
Unknown (halfkids)
2006-08-25 08:49:13
日本で介護のための機器の展示会とかやっているけど、こういうのは紹介されているのでしょうか。

私の妹も介護の仕事をしているのだけど、本当に腰がきついようで、こういうリフトがあればいいのに、仕事を長く続けても身体を痛めることはないのになーと思ってしまいました。

介護の仕事は体力的にきつい(精神的にももちろんきついでしょうけど)と言われているけれど、日本ではきっといつもの通り、言っているだけでなかなか進まないんでしょうね。使う人たちの身になって、というよりも経営側の都合や意見で決められてしまうのでしょうか。



それにしても将来自分がこういう器具を使うのかと思うとなんだか急に複雑な気分になりましたわ。

デンマークであろうと日本であろうと、老いて自立できない、っていうのはどうなんだろうか、と。老人が体の機能を徐々に失っていくと「リハビリ」をするでしょう?ある程度だったらなるべく普通の生活ができるように私もエクササイズやらなにやらしたいと思うけど、それを越えたらもうリハビリなんてやりたくない、という老人になりそうな気が・・・。

寝たきりもいやなんだけど・・・。あー、うちのおばあちゃんがぽっくり逝きたいと言っていた気持ちが最近はよくわかるようになりました。
Unknown (Kanahei)
2006-08-26 05:04:02
halfkidsさん*

そう、年をとるって、諦めとか挫折のなかで生きていくことでもあるんだろうなあと思います。今からもっとしゃきしゃき生きてれば、老いてからも多少は違うのかもしれないけど…。かといってそれも難しいんですよね〜…。

ほんと、私もぽっくり逝けたら幸せだよな〜なんて思う今日この頃です。
Unknown (Satsuki)
2006-08-28 20:16:37
補助器具には私も本当にびっくりしました。私自身は補助器具についての知識はほとんどなくてエグモントで手作り補助器具をみんなで試行錯誤したぐらいだったのですが、それをやったおかげで、4月にBelaCenterであったBehab Scandinavia2006にいったときはとても面白かったです。写真にあるほっかほかのつり具は脇の下に通すものだからかと。脇だけで体重を支えようとすると負担がとてもかかり痛めやすいからと聞きました。他に脇と股の両方をとおすようなものはそんなに緩衝材のようなものが入っていなかったです。他にも食器や食事の時に使うものや、電動イスや自転車、介助者用のイスなど本当にたくさんのものが、しかもデザインの良いものが揃っていて、驚きました。
Unknown (Kanahei)
2006-08-29 06:27:42
satsukiちゃん*

本当に、デンマークの介護器具はさすがだよね。頼むからもうちょっと日本の現場もこういうの使って!という感じだよ。

日産とかトヨタも介護器具部門作らないかな〜?!

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

Related Entries

Trackback

Trackback  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。