B.T.T.B -Back To The Basic- 退職後,日常生活における知的生活とは?

50歳代,退職後の日常生活をいかに知的に過ごすか

Radio放送をラジカセで聞きたい

2017-06-16 | 日常的


(承前)回顧録になってしまいますが,私がラジオ放送を聞き出したのは,中学生の頃,カーペンターズの音楽を好きになってからです。以前ブログに書いた通り,ビクターのちょっと高価なステレオセットを買ってもらったのではありますが,なんとLPは買ってもらえなかった,という哀しい事態が訪れました。お小遣いを貯めて,一番初めにカーペンターズのファーストアルバム『涙の乗車券』を買い,これを何度も何度も聞いていました。チューナーがありましたので,これでFMを受信し,音楽番組を聞くことが習慣となりました。しかし,これまた哀しい話で,その音楽番組から流れる音楽をステレオで録音するカセットテープレコーダーは買ってもらえなかったのです(もちろん,家の財政事情からいって無理なことは分かっていたので,おねだりもしませんでした)。しかし,私にはいわゆるラジカセがありました。それはナショナル製のRQ550です。今は私が住んでいる土地にかつて住んでいた祖父が,大阪に遊びに来他時,ダイエーの家電売り場で買ってもらったのです。価格は4万円!当時ナショナルが発売していたラジカセの最高級種でした。使いようがなかったのですが,ワイヤレスマイクが最高にかっこよく思えましたが,なんといってもそのスクエアなデザインに惹かれました。確か当時小学5年生ですね。祖父には申し訳ないことをしました。しかし,この機種は結局私が大学生なるまできちんと稼働してくれましたので,都合10年ほど使いました。大学生になって,塾のアルバイトを始めて,お金も手に入るようになったので,ONKYOのZAC55というデスクトップ・コンポ(カセットデッキとチューナーとアンプとステレオスピーカーが一体となった機種)を買った際に廃棄しました。

しかし,そのRQ550は本当によく活躍してくれました。よく聞いていた番組は,FM大阪で土曜日に放送していた「歌謡ベストテン」と「ポップス・ベストテン」です。これらの放送が午後1時から始まっていたので,土曜日は走って家に帰って聞いていました。その他,渋谷陽一さんの番組などもよく聞きました。RQ550のplayボタンとrecボタンを同時に押して,カセットテープに録音するということを何度行ったことか。FM番組の放送予定は,レコパルやFMファンなどの雑誌に掲載されており,それらを二週に一回買うのも楽しみで,それが発売され,家に帰ってわくわくしながらチェックしたものです。未だによく覚えているのは,Boz Scaggsの特集番組を見つけた時です。中学二年生の時に,Boz ScaggsのHard Timesを聞いて,一瞬にしてはまってしまいました。NHK FMで,なんと一週間にわたってBozの特集があり,ほぼ全てのアルバムの曲が放送され,それを一生懸命録音しました。今ではこんなことも少ないのでしょうね(ゲストは鈴木慶一さんでした)。確かテープにして3巻ほどになりました。今でもBozは好きで,今日も勉強しながら Down Two Then LeftをLPで聞いていましたし,数年前にはライブを聴きに行き,その時握手をしてもらうことになろうとは。余談ですが,この時,私はムーン・ライダースを知らず,ゆえに鈴木慶一さんを知らなかったのですが,その後ライダースの大ファンの方と知り合いになり,それがライダースのリーダーだと知ったのは高校二年生の時,3年後でした。そしてムーン・ライダースのライブに行って,生の鈴木さんを拝んだのは,その30年後でした。

今でも音楽番組を録音しております。それは前回のブログで書いたとおり,コンピュータのアプリNetRadioRecorderを使用してのことです。しかし,これで録音しても,なぜだかさほど嬉しくない。音質はもちろんこっちの方が上ですし,言うまでもなくステレオですし,必要なら編集もできるのですが,なぜか面白くない。これは私にとって音楽の重要度が下がっているからでもありますが,音楽を録音するということは,コンピュータが行うことができる様々な機能の一つでしかないため,一回性,つまりオーラがないためでもないかと思います。当時は音楽を録音する場合,カセットテープに録音していましたが,気に入った音楽は一度録音したらそれを消去することはなかなかできず,データというソフトと,カセットテープというハードが一体化していました。すなわち,1対1の対応関係で,ソフトが感性的に独立する形になっていたわけです。カセットテープが増えていくこと自体が自分の音楽経験が積み重なることとイコールでした。現在のようにコンピュータのハードディスクに,他の情報と一緒になって,コンピュータの筺体内部に集積されているのとは,感覚的に異なるものでした。

ということで,ラジオを通じて音楽に触れ始めた時期から10年を共にした以上,それが自身の身体,聴覚器官に残した印象は大きいものです。唯一残念な点はステレオではなくモノラルであったことでした。出力された音声はたった一つの直径15センチほどのスピーカーからなされます。当然,低音も高音も一緒に。もちろんTONEつまみがあるため,高音をより効果的にしたりはできますが,音質としてさほど良いものは望めません。しかし,当時はそれしか私には録音したものを聞く手立てがなかったので,不満はありませんでした。要するに,ラジカセで当時文句は全く無かった,良い想い出しか残っていないのです。

ネットオークションを利用し始めて3年ほど経ってから,そういえば昔使っていたラジカセって売りに出されているのかなと思って,調べてみたら,ありました!それも何台か。でも,なんだか欲しいとは思わない。たぶん自分ではあの機種を心ゆくまで使ったという感覚があるからでしょう。それから他のラジカセを機会がある度に見ていたら,なかなか素敵なデザインのラジカセがありました。SONYのCF-1780です。当時にしては珍しく筺体が完全ブラックで,私の部屋に合いそうです。暫くすると,キャリングバックに入ったまま機種が売りに出されていました。キャリングバックはとても使えそうにないものでしたし,動作も通電確認のみということでしたが,キャリングバックに入っているということはあまり本体の痛みもなさそうだと判断し,入札しましたら,そのまま競合相手も現れずに落札できました。

数日後到着した本体をキャリングバックから出して,筺体と内部を清掃し,その後機能のチェックをしてみたら,録音・再生もできますし,ラジオも3バンド全て聴取可能,唯一レベルメータだけが動かないという,ほぼ完動品でした。2000円で落札しましたが,この値段でこれだけ機能が保たれているのは珍しいと思います(大抵カセットの録音はもとより再生機能が不全ということが多いのです)。

残念ながら持っていたカセットテープはほぼ全てコンピュータにデータを移行させてしまい,捨ててしまっています。しかし,手元に小林秀雄先生の講演会のテープが13巻分残っています。最近は先生の講演会をたまに聞いたり,つまらないラジオ番組をこれで聞いています。この1コーンのスピーカーから出てくる音声は安堵感をもたらしてくれます。特にラジオでは,野球中継を聞くと別格の気分になれます。懐かしい感じ。現在はこれにiPodを接続して,iPod内の音楽をラジカセで聴いてます。これもまた良い感じ。

全て最新の技術だけが良いものではない,と思っている次第です。今,私の左手には,このラジカセ(しょーもないラジオと小林先生を担当),正面はコンピュータ経由のBOZE(語学講座とiTunes内の音楽担当),右手には書棚に収められた Liverpool 100シリーズ(専らCD担当),背面には Liverpool 200シリーズ(専らLP担当)となっており,それぞれの持ち場をしっかり守ってくれています。
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