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“男のためのガーデニング”改め

フォーエバー現代美術館~『草間彌生 My Soul Foever展』~

2017-07-16 20:06:58 | アート・ライブ・読書
 2017年2月から5月中旬まで東京・国立新美術館で過去最大規模を称された『草間彌生 わが永遠の魂』展が開催されていたのは雑誌やネット記事などで宣伝されていたのは記憶に新しいところです。
残念ながら大きな美術展や博物展は東京で開催されることがほとんどで京都・大阪・神戸での開催もあるにはありますが、やはり東京に集中してしまいます。
そのため見ることの出来ない美術展や博物展が多くありますが、東京往復の新幹線代は馬鹿になりませんから諦めざるを得ません。

そういう中で京都・東山に開設される「フォーエバー現代美術館」のオープニング展として『草間彌生 My Soul Foever展』が開催されたのは願ってもない機会となりました。
しかも会場は東山区の建仁寺の横にある祇園甲部歌舞練場敷地内の八坂倶楽部(祇園の特等客の待合・点茶に使われる1階と132畳敷の客室・舞台のある舞台座敷)ですから、これぞ京都文化といった場所を改造した美術館での開催です。
したがって“行ってみないとどのように草間作品が展示されているか想像がつかない”という楽しみな美術展となりました。



祇園甲部歌舞練場の敷地内に入ると大きな「南瓜」のオブジェが鎮座していてど肝を抜かれます。
高さ4.5m・幅5mの水玉南瓜は先の国立新美術館にも展示されていたそうですが、作品は「フォーエバー現代美術館」の所蔵品で2007年の草間作品と書かれてあります。


『南瓜』(1992年)

美術館のある祇園甲部歌舞練場には弥栄会館という日本の伝統芸能が鑑賞できる舞台があり、「舞妓さんによる京舞・茶道・華道・箏曲・雅楽・狂言・文楽」の7つの伝統芸能が鑑賞できる施設となっているそうです。
また美術館は先述の八坂倶楽部というかつては舞台座敷のあった大正時代建築の舞台座敷で、建物を残したまま内装工事を行うことによって、伝統芸能と現代美術の融合された美術館になっていました。



室内へ入ると真新しい畳の香りが漂い、およそ現代美術の会場とは思えない雰囲気があります。
最初の部屋には「黄樹(1992年作)」の巨大なアクリル画が待ち構えたように展示してありました。
間近で見ると、無数の水玉が鱗のように描かれ絡み合っています。“見えないものを見る作品”という意味でアールブリュット作品と通じるものがあるように思います。


『黄樹』(1992年)

横には「黄樹」の前で黄樹をデザインした服を着て座っている草間彌生のポートレートがありました。
草間彌生さんは1929年(昭和4年)生まれの牡羊座。子供の頃より幻覚や幻聴に悩まされ、それを描きとめるように絵にされてきたといわれます。感性の感度が高すぎる人なのかもしれませんね。



黄樹をモチーフにした作品としては展示はされていなかったものの、grafという家具のデザインなどをやっているクリエイティブユニットとのコラボで“Living Room”のカードがありました。
こんな部屋で過ごしていたら、どういう感性になれるのか気になりますね。


ポストカード・・・『Living Room』(2002年)

美術展の構成は4部構成で、第1部は「初期作品群」と名称が付けられていました。
初期作品群は1952年頃の作品で草間色はありますが、抽象的でややシュールな絵が見られました。
草間さんは現代美術作家と呼ばれますが、美術学校時代は日本画を学ばれていたそうですので描画技法は習得された上で独創的な絵を描くという画家の一人と考えた方がよさそうです。

第2部は「ニューヨーク時代」で1963年にニューヨークへ渡り1973年に帰国された頃の絵が中心となっていました。
本などで知る草間彌生のニューヨーク時代は、家出してきたゲイ少年などを集めてのハプニング・パフォーマンスの開催や男根の集合オブジェの印象があります。
「南瓜」シリーズが認知される前の話ということになるのでしょうか。


『A PUMPKIN』(2007年)

会場に展示されてあった「南瓜」の絵は1981年・1990年・2007年と何回も同じモチーフで描かれており、南瓜への強い拘りのようなものを感じます。
また1980年頃の作品には写真とのコラージュ作品が見られ、「鳥・花・魚」などのコラージュ作品がありました。
生物とのコラージュ作品は始めて見るものでしたので、草間作品にはこういう作品もあったのか?と不思議に感じながら見ることとなりました。

第3部は「中期の作品群」となり、1995~2005年の作品が中心となります。
花をモチーフにした絵が何枚かあったと思いますが、どれも花の形に似た得体の知れない生物のような姿をしていました。貝・きんぎょ・蝸牛・蝶・蛍(赤いドットのホタルが舞っている)をモチーフにした絵もしかりです。
ハイヒールや赤いドレス・帽子をモチーフにした作品がありましたが、ニューヨーク時代にブテックを開いていてこともあってかファッションに非常に敏感な方のようでもあります。

第4部のある2階の会場は元々舞台座敷だった場所で、舞台には「私の魂を乗せていくボート」が展示されていました。
(第4部 様々なモチーフと「私の魂を乗せていくボート」)


『私の魂を乗せてゆくボート』(1989年)

この作品は1989年の作品で、当方的には“突起物の集合体のオブジェ化”は草間ワールドの最大の魅力だと実は考えています。
ルイ・ヴィトンやAUとのコラボで“可愛いおばあちゃん”と世間受けする草間彌生のイメージにはどうも馴染めないのですよ。





美術館のショップには2015年元旦のNHK BSプレミアムで特集された『ザ・プレミアム 草間彌生 わたしの富士山 ~浮世絵版画への挑戦~』でアダチ版画研究所とのコラボで造られた『七色の富士』の大型カードが販売されていました。
草間彌生の富士山を和紙職人(人間国宝)漉いた和紙・木版の彫師の技術・染料による調色の技術・摺師の技術の全てが合わさって出来た作品でした。興味深い番組でしたが、カードとはいえ手元に入手できたのは幸いなことです。



『生命は限りもなく、宇宙に燃え上がっていく時』(2014年)

余段になりますが、八坂倶楽部には庭園があり、縁側には座布団が置かれて庭の鑑賞が出来るようになっていました。
休憩しながら和むのに最適な場所で、明治・大正の頃の迎賓館的な印象を受けます。



「フォーエバー現代美術館」は草間彌生の版画作品372作品のうち352作品の草間コレクションを所蔵しているとされ、今回は82点の展示となったようです。
建物の借用期間は数年と書かれてありましたが、限られた期間の間により多くの作品に出会える企画をしていただけることを願っております。


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