『健康方程式クリアファイル』

健康方程式をクリアに理解するためのwebファイルです。

⑧自殺 【予防可能病】

2008-04-30 | 医学書『健康方程式』
自殺は、病気である。
ある病気の進化した具体的な形である。

この衝撃的な事実を、この本を読んで初めて知った私です。

「最後の予防可能病は自殺です。
年間3万人の自殺者の数を私は重く見ています。

 先ほども述べたとおり、自殺者の二大原因は金と病です。
ただ、リストラに遭っても借金を抱えていても、病気を抱えていても、自殺しない人がいます。
自殺の根本には悲観症が隠されていると私は考えています。
自殺を避けるには悲観症を避ける必要があるのです。



 
 以上で、
  自己破壊症
    が
  前期予防可能病
    になり、それが
  後期予防可能病
    を通して永続的障害や死に繋がる過程を十分に理解いただけたことと思います。

 それではこれらの病を正面から捉え、予防する健康方程式という考え方を今から見ていきましょう。」

(『健康方程式』p.88-89)


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⑦心筋梗塞 【予防可能病】

2008-04-30 | 医学書『健康方程式』
 「心筋梗塞は、心臓に栄養を補給する冠動脈という血管が詰まることで起こります。
血が途絶えた心筋は死んでしまい、心臓の機能が低下します。
その程度が大きければ心不全になります。
そして心不全が進めば死亡に至るのです。
予防という観点からは脳卒中と全く同じです。」

(『健康方程式』p.88)

このblogを読んでくださっている方たちはきっととても健康で、
けれど危機意識の高い、
思慮に満ちた方たちだと思います。
大きな病気をする、とは実際どういうことなのか、は、なってみないと実感できることではなかなかなく、そしていざ病気になったら、こうして「予防医学」の文献を紐解くなどということからはまったく遠くなってしまうことでしょう。
普段なら幸運にも「縁がない」でいられるこうした大きな病気の仕組みと怖さをあらかじめ学べることはとても有難いように、転写していて心から思います。


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⑥脳卒中 【予防可能病】

2008-04-24 | 医学書『健康方程式』
 「脳卒中は、
    脳出血、
    脳梗塞、
    くも膜下出血
の三つの病の総称です。
これらはいくつかの点で発生機序が違うのですが、予防という観点から見ると共通した点があります。
脳卒中の全てではありませんが、多くの部分が予防可能病です。

 脳卒中は脳の中にある血管が破裂したり、詰まったりして、脳細胞の一部が死んでしまう病です。
死んだ脳細胞はほとんど再生しません。
死んだ部分が運動や思考に関する脳細胞であれば、致命的な後遺症が残るのです。
これが寝たきり老人の大きな原因のひとつです。
寝たきりになるとほとんどの生産活動が停止されてしまいます。

 全く基礎に病気のない人が、突然脳卒中になり倒れることはほとんどありません。
血管を痛めつける生活習慣の蓄積が脳卒中を生むのです。

 自己破壊症の行きつく先が脳卒中と言えます。
喫煙と肥満で血管の壁は動脈硬化になり、
血液の粘張度は高くなります。
狭く、しなやかさを失った血管が破裂し、脳出血が起こります。
狭くなった血管に粘張度の高い血液が詰まって脳梗塞が起こるのです。」

(『健康方程式』p.86-87)

40代の働き盛りにして脳卒中に倒れ、その後職場に復帰した人が、います。
「俺もばちがあたった」
と彼が雑談の際につぶやいたのを同僚が聞いています。半身の自由がまったく利かないのです。
原因に思い当たることはたくさん、あったのでしょう。しかし彼は、多少無茶はしていたとしても、ふつうの会社でふつうに働きながら暮らしている、普通の人です。
普段の生活に気をつけることの大切さを、彼は今になって理解したもよう。
遅すぎない方が、絶対に良いのです。

「脳卒中の予後は三つに分かれます。
 完全社会復帰、
 永続的障害、
 死亡
です。
どの群に入るかは、発症時点では完全にはわかりません。
ただ、当人にとっては本当に突然訪れる病です。
がんと違って症状が突然現れますから、本当に衝撃的です。
不幸にして永続的障害が残った場合や高齢発症の場合は、寝たきりになる可能性が高くなるのです。

 自己破壊症を避けることが脳卒中予防の第一歩ですが、積極的に血管をしなやかに保つ方法があればさらに効果が増します。
 それにはまず血管壁を構成する原料を摂取する必要があります。
その食べ物は、健康方程式の中に提示されています。

 また血管の持続的収縮を抑える方法があれば血管の負担を減少させます。
この方法も健康方程式の中に提示されているのです。
 
 突然片側の手足が動かなくなった中高年の人々を、私はたくさん見てきました。
救急外来には、脳卒中の患者がたくさん訪れます。私はその初期治療に懸命でした。
現在はその初期治療のさらに前に出て、予防に専念しています。」

(『健康方程式』p.87-88)


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⑤がん 【予防可能病】

2008-04-18 | 医学書『健康方程式』
●自己破壊症は 喫煙症、 肥満症、 悲観症 。

これらが長く積み上げられた結果、

●前期の予防可能病
①糖尿病 
②高血圧症 
③高脂血症 
④うつ病 へ。

健康方程式は、これら全てを予防するという観点から考案されているということでした。

●後期の予防可能病 
⑤がん 
⑥脳卒中 
⑦心筋梗塞 
⑧自殺 。

これらは前期予防可能病が長く積み上げられた結果発生するもの。

「これらが発症してからでは遅いのですが、どのようなものか予防の観点から見ていきたいと思います。」
(『健康方程式』p.80)


今回は、後期予防可能病のご紹介スタートです。最初は、がん(←写真付)。

「がんは、正確には悪性新生物といいます。
ここでは、悪性を「転移する」という意味で捉えておきましょう。
 新生物とは、正常細胞が変異して勝手に細胞分裂を繰り返して大きくなる
という意味です。
ある正常細胞の遺伝子が突然変異して、どんどん大きくなり、他の正常細胞の栄養まで全て食べてしまう
というイメージがわかりやすいかと思います。
そしてそれらの新生物が体中のあちこちに転移していくから悪性新生物と呼ばれるのです。」


地球外生命体のSFホラーのようなイメージがわいてしまいました。それが、体のなかで!

「がんは本当に恐ろしく、悲惨な病気です。現在日本人の死因の第一位と言われており、3人に1人がががんで亡くなります。がんに関しては、世界中の優秀な医師や研究者がその原因と治療法を探っています。

 そこに私が新たに加えようとしているのは、原因でも治療でもなく、予防という観点から何かできないかということです。

「がんは遺伝子の病気であるが、遺伝病ではない」
という言葉を、私は大学時代に遺伝学者から習いました。
がんの遺伝子研究の権威が発したその言葉は、がんの一面を鋭く捉えています。親から子に遺伝するがんもあるのですが、ほとんどのがんは遺伝せず、自らの代で突然、遺伝子の変異を起こすのです

 遺伝子はDNAという物質に蓄えられています。そのDNAに変化を引き起こすものは「発がん性物質」と呼ばれます。
紫外線、
ある種の化学物質、
ある種のウイルス
がその変化を起こすことが研究者たちの努力によってわかってきました。
これらの危険因子は外的な要因なので、物理的にそれらと接触するのを避けることが予防に繋がるのは当然であり、多くの人が知るところだと思います。
 
 では、外的な要因ではなく、がんを「宿主」の立場から見るとどうなるでしょうか?
 宿主とは、がんを抱えた主体のことです。私が「がんの予防」という観点から強調したいのは、この視点です。

 この視点は免疫学者から提出された視点です。
がんを、がん細胞そのものではなく、がん細胞と正常細胞の闘いという視点で捉えることが、予防のためには決定的に重要なのです。

 人体では常に新たながん細胞が発生していると言われています。
それを大きくなる前に、絶えず免疫系が潰しているのです。
免疫系とは血液中の白血球の働きのことで、白血球はがん細胞を、
抗体というたんぱく質を放出して破壊したり、
貪食という働きで飲み込んだりしています。
 がんを予防するために決定的に重要なことは、この免疫力を高めることです。
免疫力を向上させる方法があれば、それを毎日実践することで、がんの発症を大きく食い止められる可能性があるのです。

 がんは、発症してしまうと治療するのが非常に困難です。
それは転移をするからです。
肺がんは主に60歳前後の喫煙者を襲う恐ろしい病です。
20歳から毎日20本40年吸った男性が、会社の検診で異常を指摘されます。胸のレントゲン写真で影が見つかるのです。
それを持って病院に行くと、精密検査を勧められます。そしてその検査結果を告げられることになります。

 突然がんになることはほとんどありません。患者本人は突然がんを告知されて仰天しますが、実は本人が長年にわたって蓄積してきた生き方の集大成が、がんという形で現れるのです。もちろんその人に原因が見つからないがんも存在します。本当にそれは不運としか言いようがありません。しかし、大多数のがんはその人に原因が見つかるのです。

  
 がんは、喫煙症と
      肥満症と
      悲観症という自己破壊症
の必然的結果です。
喫煙が肺細胞の遺伝子変化を通じて肺がんを引き起こすことは周知の事実です。
 
 それでは、肥満とがんの関係はどのようなものでしょうか?
 肥満は糖尿を生みます。
そして驚くべきことに、糖尿病はがんの原因になるのです。
糖尿病の患者が死亡する原因は、実はがんが一番多いのです。
脳卒中や心筋梗塞などの血管病で亡くなるイメージがありますが、実はがんなのです。
 糖尿病は免疫力を低下させ、感染症などの外的からの攻撃に弱くなります。
同様に、がんという内敵からの攻撃からも弱くなるのです。
 
 検診などで糖尿病と診断された人が病院に入院して最初に受ける検査は全身のがん検索です。
これは糖尿病専門医の間では常識です。
糖尿病自体は、症状を持っていないことが多くあります。
さらにたちが悪いのは、無症状のがんを抱えている可能性があることです。

 では、悲観症とがんの関係はどうでしょうか?
 悲観症は、免疫力の低下を通じてがんの原因になります。
感情と免疫は直結しています。
笑いが免疫力を高めたという興味深い実験では、一定時間漫才を見せたあと、被験者の血液を調べるとある種の白血球の活性が高まっていたという結果が出ました。

 笑いや希望などの喜びの感情は免疫力を高め、恨みや絶望などの悲しみの感情は免疫力を低めるという仮説は、おそらく近い将来証明されることでしょう。
直感的、感覚的にであれば、その仮説を否定する人はほとんどいないと思います。

 
 ここで話を肺がんの話に戻しましょう。

がん患者はこのがんの告知で一度目の大きなショックを受けます。
いったん診断された肺がんが完全に治癒する可能性は非常に低いものです。
正確な予後は医師もわかりません。
ただ統計的な生命予後はある程度わかります。
この肺がんの告知は、患者と医師双方にとってつらい時間です。

 次に治療が待っています。
肺がんの治療には、
胸を大きく切り開いて病巣を切り取る外科手術、
抗がん剤を注射する内科治療、
病巣にエックス線などを当てる放射線治療
があります。 いずれも体に大きな負担をかけます。
これが二度目の大きなショックです。

 そして三度目の大きなショックは転移です。
肺がんは脳や骨に転移することがあります。
肺は血流が豊富なため、血行転移をしやすいのです。

 転移した肺がんを根治する方法は現在のところ見つかっていません。
そして緩和ケアが進んだ今も、末期がんの闘病生活はつらいものです。
呼吸困難で酸素を吸い続け、
骨に転移した場合は強い痛みに襲われます。
そして食欲がなくなり、
どんどんやせ細り、
亡くなっていくのです。

末期がんの死期は本当に悲惨です。
その光景を目撃した人間として、このような死に方をする人が一人でも少なくなるよう考え抜きました。

 そのためには予防が大切です。
具体的には免疫力を高めることです。

免疫力を高める方法はたくさん考案されています。ある種のきのこにその効果があるとして、それを商品として売っている人もいます。私はそれらの効果をよく知りません。
私が注目し、強調したいのは、もっと根本的で確実なものです。


 様々な因子の中で、確実に免疫力を向上させるであろう三つの因子を取り上げ、それを生活に取り入れる方法が健康方程式です。
健康方程式は、免疫力の向上を通じたがん予防を目指した生き方を提示します。

 その三つの因子とは、
 
    第一に、 生命を支える根源的物質    
    第二に、 免疫力、より正確には抗体の原料物質
    第三に、 ある種の精神状態

です。
これらを毎日の生活に取り入れることが免疫力の向上に繋がり、がんの予防効果を発揮することが期待されるのです。」

(『健康方程式』p.80-86)

つまり第一に「酸素」、
   第二に「究食」、
   第三に「感謝」
ということですね


ところで、
近頃思うこととして、
ひとは、問題が大きくなってから立ち向かおうとするから、その対処法にもなにか大掛かりなものを求める傾向があり、そしてそれが過ぎるのではないかしら?・・・
というのがあります。

がんは重大な病気ですが、「生み出すのは自分自身」、だから防げるのも自分自身ということになります。
そして、その一歩が“自分を大切にすること”だとしたら、それを正しく実行して困る人は誰もいないわけですよね。

なにをも誰をも犠牲にせず、人間として基本的なことを、ただきちんと行う。
それは意外にも「新しい生き方」なのかもしれません。
無駄なくシンプルなH=O+S+Tを実行してみると、そう思います。



 
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④うつ病 【予防可能病】

2008-04-17 | 医学書『健康方程式』
「うつ病は予防可能なのでしょうか?
 私はある程度まで可能であると考えています。
その理由は、うつ病は遺伝しないからです。
遺伝しない病気は全て予防可能病です。ただ、その方法が現在のところ見つかっていないだけなのです。

 うつ病は 
気分が滅入り、
活動意欲が湧かず、
夜眠れない 
という症状が長期間続く病気です。
そして最終的には自殺願望を抱くようになり、実際に自殺に結びつくこともあります。日本では年間3万人が自殺するという報道がなされました。絶望的に大きい数字です。
 このうち、経済的な理由と病気を苦にした自殺が大多数を占めるといいます。
しかしその背景にはうつ病が隠されていると私は推測しています。破産しても、深刻な病に罹っても、自殺しない人はたくさんいるからです。

 うつ病の原因については実はよくわかっていません。
専門家の間で意見が一致しているのは、
遺伝はしないという点と、
セロトニンという脳内物質の分泌が低下している
という二点です。
 
 うつ病を予防の観点から見た場合、重要なのは次の三点です。
   第一に、悲観症を避けること
   第二に、セロトニンの分泌を促すこと
   第三に、セロトニンの原料を体内に取り入れること
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

〈うつ病予防法 - その1:悲観症を避ける〉

  第一の点、悲観症とうつ病の関係を見ていきましょう。
 予防の観点からうつ病を見たときに重要になるのは、
「うつ病は感情の病ではなく、思考の病である」
という認知療法の考え方です。
 日本うつ病学会の野村総一郎医師は、
「うつ病患者には特有の考え方があり、それを正すことで予防が可能ではないか」
と。著書『うつ病をなおす』に書かれています。野村医師の
「これまでの伝統的な精神医学にはうつ病の予防という視点がほとんど欠けていた」
という指摘は非常に重要です。

うつ病患者に特有の思考習慣とは、肯定的側面の否定です。
言い換えると、先に述べた「悲観症」です。
陰性思考が悲観症を生み、
悲観症がうつ病を生むのです。
陽性思考を毎日訓練することが悲観症を避け、うつ病を予防するのです。
健康方程式の第三項は、悲観症を避ける思考習慣です。

〈うつ病予防法 - その2:セロトニン分泌促進〉

 第二の点、セロトニンの分泌促進について何かできることはあるでしょうか?
 それが呼吸に隠されているのです。

 セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれる物質で、脳内で神経伝達物質として働いています。
精神科医は、このセロトニンの分泌を促す薬剤を処方しています。うつ病の治療の中心はこの種の薬剤です。
脳の中でも感情を司る扁桃体、帯状回でのセロトニン放出が少ないことがうつ病患者で確認されています。

 ただ大切な点は、セロトニンの分泌低下はうつ病の原因ではなく、うつ病の病態そのものだということです。
うつ病の原因は、思考の習慣にあります。その思考習慣が長年続いた結果、セロトニンの分泌低下が起こるのです。

 セロトニンの分泌促進はあくまで対症療法です。
予防の観点からも、セロトニンを分泌させる健康方程式の「o」は補助的な予防法です。

〈うつ病予防法 - その3:セロトニン原料の摂取〉

 第三の点、セロトニンの原料を摂取することも同様に根本的予防ではなく、補助的予防法です。
 セロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンを原料にします。
このトリプトファンが欠乏するとうつ病になります。
サプリメントでこのトリプトファンを勧める人もいますが、私はもっと自然に摂取できる方法を勧めます。それは健康方程式第2項「s」です。

 次の章で詳しく説明する健康方程式の各項は、全てがうつ病予防効果を持っています。

 自己破壊症は
            喫煙症、
            肥満症、
            悲観症  でした。

これらが長く積み上げられた結果、このような予防可能病ができあがります。

 前期の予防可能病は
               糖尿病、
               高血圧症、
               高脂血症、 
               うつ病   でした。

健康方程式は、これら全てを予防するという観点から考案されました。

 後期の予防可能病は
               がん、
               脳卒中、
               心筋梗塞、
               自殺    です。

これらは前期予防可能病が長く積み上げられた結果発生するものです。

これらが発症してからでは遅いのですが、どのようなものか予防の観点から見ていきたいと思います。」


(『健康方程式』p.77-80)

①-④の前期予防可能病。
確かに死には至らない、けれど確実に下り坂を滑り出していることがよくわかります。

次回以降は、⑤-⑧の後期予防可能病です。

 
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③高脂血症 【予防可能病】

2008-04-14 | 医学書『健康方程式』
「高脂血症も歪んだ食生活の必然的結果です。
 高脂血症になる食事の特徴は、「複食」です。「複食」は私の造語で、複雑な食事という意味です。
それは、材料に複雑な操作を加えた料理です。
あるいは、「複雑な」を「余計な」と言い換えてもいいかもしれません。
 
 複食の四天王がカツ、フライ、天ぷら、唐揚げです。
豚肉はそれだけでも十分に美味しいものです。魚も海老も鶏肉も同様です。それをパン粉や小麦粉や油で加工する必要はないのです。それは材料の持つ力を引き出すのではなく、塗りこめてしまう行為です。

 複食の反対が「素食」です。
「素食」は、素材を素直に加工した料理のことです。煮たり焼いたり蒸したりすることは素直な加工です。油で揚げることは複雑なのです。加工する行為が「切るだけ」である刺身は、究極の素食といえます。

 高脂血症になる人は複食が大好きです。
味覚が油を求めるのです。
糖尿病患者が炭水化物を求めるのとよく似ています。
高脂血症患者は、材料そのものを味わうのではなく、その周りに付随した加工を好むのです。
 
 これは、子供の頃から複食に慣らされていることが多く、本人に自覚がないことが大きな問題です。
複食を好む人は、複食を好む家庭環境で育っていることが多いのです。
カツ、フライ、天ぷら、唐揚げなどの揚げ物を作らない家庭で育った人は、高脂血症になりにくいという幸運に恵まれています。

 複食に慣れた舌を再教育し、素食を好む味覚を育てることが予防可能病を避けるのです。
糖尿病、高血圧症、高脂血症は「味覚病」といえます。
本人は気付かないうちに、病を生む味覚を持ってしまっているのです。
砂糖まみれ、
塩まみれ、
油脂まみれ
の口内環境が、これらの味覚病に繋がります。」


(『健康方程式』 p.75-77)

 
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②高血圧症 【予防可能病】

2008-04-12 | 医学書『健康方程式』
 「高血圧症も静かな殺人者です。高血圧症そのものには症状がないからです。高血圧症とは、慢性的に最高血圧が140mmHgを超えた状態を指します。この状態が持続し、動脈硬化を通じて血管を変性させ、脳卒中や心筋梗塞を起こすことが死亡に繋がるのです。

 高血圧症の原因として挙げられている因子は、

   第一に、動脈硬化
   第二に、血管の持続的収縮
   第三に、塩分を摂り過ぎたために起こる血液量の増加

 です。簡単に言い換えると、血管が硬くなり、血管が締まり、血の量が増えると血圧が上がるのです。

〈高血圧症の原因因子 - その1:動脈硬化〉
 
 高血圧症を引き起こす第一の要因である動脈硬化の原因は糖尿病高脂血症です。
それらの原因は、肥満症喫煙症です。
[肥満症・喫煙症] ⇒ [糖尿病・高脂血症] ⇒ [高血圧症]
という流れです。
 従って、高血圧症を避けるには、肥満症喫煙症という自己破壊行為をやめればいいのです。

〈高血圧症の原因因子 - その2:血管の持続的収縮〉

「血管が持続的に収縮する」とは、どのような状態でしょうか?
 神経は体性神経と自律神経に分かれます。
 体性神経は手足の筋肉を動かす神経で、意思の力でコントロールすることができます。
 自律神経はその名のとおり、勝手に動く神経です。逆にいうと、人間の意志で動かせない神経です。
自律神経は心拍数、呼吸回数、消化、まばたきなどの自動的な人間の動きを司るものです。

 自律神経の二つの成分が、交感神経と副交感神経です。
交感神経をアクセル、
副交感神経をブレーキ
に例えることができます。交感神経が興奮時、副交感神経が安静時に作動する神経です。

 現代人は多くが交感神経の過剰作動にさらされています。
安静より興奮することが圧倒的に多いのが現代の特徴です。
血管は交感神経を通じて収縮します。
交感神経は興奮、怒り、ストレス、緊張などの精神状態にともなって作動し、
その反対に
副交感神経は沈静、笑い、安心、休息時に作動します。

 朝から煙草を何本も吸い、緊張の連続で仕事をし、売上げが減っていることでストレスを受け、上司に悪い報告をしなければいけない会社員がいるとします。この人の交感神経は極限まで作動しています。この状態が高血圧症を引き起こすのです。
 
 では、交感神経でなく副交感神経を意志の力で刺激する方法はないのでしょうか?
これがあれば交感神経を休め、血管の以上収縮を抑え、高血圧症を予防することが可能になります。
 自律神経を意思の力でコントロールする方法は実は何千年も前から研究されてきました。ヨガや気功や禅は、自律神経を体性神経のようにする試みという面を持っています。 
 健康方程式は、それらの成果の最も本質的な部分を取り入れた健康法です。

〈高血圧症の原因因子 - その3:塩分過剰摂取〉

 高血圧症の三つめの原因とされる塩分について見ていきましょう。 

 塩分を摂りすぎると血管に水分が留まり、高血圧症が起こる、と言われています。伝統的な日本人の食事は、カルシウムが不足している点と、塩分が多すぎる点を除けば、理想的な健康食であるという説があります。そしてそれを受けて厚生労働省は塩分を一日10g以下に抑える食事を推奨しています。
 ただ、問題はどうやって一日10g以内に塩分を抑えるかということです。実は、これはほとんど不可能です。

 私は医学知識があり、ある程度食事に関心が高い人間ですが、それでも自分が一日何g食塩を摂取しているか知りません。知りようがないというのが正確な表現でしょう。
 健康な食事の目標値である一日塩分10g以内、一日30品目以上、一日2000kcal以下などの食事指導は、現実には、あまり効果がないと私は考えています。それらは数値でみるとなるほど素晴らしいものですが、実行するのが非常に困難だからです。簡単に実行でき、実践できる方法はないものでしょうか?
 
 私は、そのためには舌の再教育が必要であると考えています。
なぜ塩分を摂りすぎるかといえば、舌がそれを求めるからです。
ならば、過量の塩分を嫌う舌を作り上げればいいのです。
高血圧症を避けるためには、塩辛い食事を避ける味覚を作り上げることが大切なのです。
 
 健康方程式は、
動脈硬化を避け、
交感神経の過剰な作動を避け、
塩分の過剰摂取を避けるための新たな生き方を提示します。
これには、薬品やサプリメントや器具を必要としません。
そして、今日から老若男女誰でも理解し、実践できる方法なのです。」


(『健康方程式』 p.72-75)

 
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