わたし、派遣の校正者

校正・校閲者のわたしが、日々思うことを書きます。
編集プロダクション勤務とフリーランスを経て、現在は派遣。

受け取れない人に向かって「ボーナスが出ます」と言う?

2013-04-13 20:07:50 | 仕事
職場に正規社員、契約社員、パート、派遣がいるのが普通の光景です。
雇用が多様化していると、職場のモチベーションの維持にも、従来とは違った配慮が必要です。


派遣として私が最初に関わったのは、パソコンのソフトウエアの会社でした。
子どもが小さいうちは自宅で校正をするフリーランスでした。
小学校になると時間がとれるようになり、派遣で勤めるようになったんです。

ある日、派遣スタッフ全員が社長室に呼ばれました。
なにごとだろうと思ったら「寸志」をいただけました。
ボーナスの時期だったのです。

その会社は若い会社です。
社長も若かったです。

風通しのよい会社で、みんなで作り上げていく雰囲気がありました。
「来週、○○で宣伝します」
「こういう社会貢献活動をしました」
いろんなことを会社のみんなに知らせる会社の姿勢を感じました。
派遣スタッフも会社のなかでの存在感がありました。
社員には派遣スタッフにはないこと、例えば人事考課や業績評価などがありましたが、「派遣は蚊帳の外におかれている」と感じることはなかったです。


・・・という昔のことを思い出したのは、最近こんなことがあったからです。

朝礼で今期目標達成により、一時金が振り込まれていることが発表されました。
その場には社員、契約社員、派遣スタッフの全員が参加しています。
しかし、派遣には一時金はありません。

何もかも同じにしろと言っているわけではないのです。
ここで考えてほしいのは、もらえない人ともらえる人がいるのに、両者がいる場で、お祝いの一時金が出ると発表することです。
これが繰り返されれば、もらえない人の無力感がつのります。
派遣スタッフにはもらえるチャンスなど皆無ですから。
これではモチベーションが維持できません。

なによりも雇用形態の違いをきわだたせ、人間関係に壁にをつくってしまうことで快適な職場環境が失われます。
人を雇う以上、同じ職場で働く仲間として受け入れていくマネジメント態勢を整えてほしい。
一時金を受け取れる人だけを集めて会議室で発表するなり、メールで知らせるなり、配慮がほしかったです。


会社に直接雇用されている人と、そうではない派遣スタッフはいろんな面で違います。
わかっています。
でも、それを実際に言われると大きなストレスになり得ます。
感情の部分のわだかまりを解消するのに時間がかかりますね。
もらってうれしいもの(お金)を、自分だけがもらえない、という不満の感情です。
そうなっていることは知っているのに。


これはハラスメントとは言えないけれど、全国の会社にお願いしたい。
直接の雇用契約がある人だけがもらえるボーナス、お祝金のことについて、もらえない派遣スタッフのいる場所で公表するのは避けること---。

自分が持っている権利を、持たない人がいる。
それを想像することはむずかしい。