還暦過ぎて

賑やかだった我が家も夫婦二人になり、遂に揃って年金を頂ける年齢になりました。
まだまだいろいろありそうです・・

桐野夏生著 『バラカ』 読了

2017-08-10 19:13:16 | 

何年か前にテレビで、桐野夏生さんが、震災後の日本をとても憂いていることを

インタビューされている番組を観ました。

そして震災に係る小説を執筆中、だと仰っていました。

それでずっと気になっていたのですが、遅れましたがやっと読み終えました。

桐野夏生さんの小説はいくつか読んでいました。

『OUT』はもうかなり前ですが、お弁当屋さんで働く主婦たちの一人が、

夫を殺してしまい、そこから物語が始まりました。

どこにでもいそうなおばさんたちの犯罪。確か映画にもなった気がします。

桐野夏生は、推理作家のジャンルなのでしょうね。

     

この『バラカ』、私はすっかり東日本大震災そのものをテーマの軸にした内容と思っていましたが、少し違っていました。

【プロローグ】から始まったページは、「爺さん決死隊」と名乗る男たちが

震災後の群馬県T市に、逃げられなかった動物たちを探し、保護する、ことを目的としたボランティア活動をしている

場面から始まりました。

この場面で私の考えていた小説だと思いましたが、その先は思っていたものとは違っていました。

小説では、福島の原発がすべて爆発して、東京まで放射能汚染が広がり、大阪遷都になってしまった、

そんな震災後のもしかしたら起こってしまったかもしれない日本の社会、の変貌の中での物語です。

『バラカ』(ミカ、であり、光でもある。ここに、この女の子の数奇な運命が現れている。)という女の子を廻る、様々な人々が、次々と事件を起こし、

その登場人物たちは、何処にでも居そう、なのに、破滅してしまう、あり得ない、人物が多く、

そうなったのは社会のせいなのか?原発のせいなのか?

最終的には希望の光が見える物語でしたが、心は重くなるものでした。

桐野夏生さんは、私より1歳上で、ほぼ同年代ですが、やっぱり小説家ってすごい!ですね。

頭の中は神経細胞のシナプスが私なんかの何百万倍もあるのだろうと思いました。

推理小説にはどうしても殺人や暴力が多く描かれ苦手なのですが、

きっと人間の、表と裏、深層心理を描くのには適しているのでしょうね。

 

 

 

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2 コメント

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あり得なくない設定 (たまご)
2017-08-13 22:49:32
貴重な読後感をありがとうございました。
ひろりんさんの感想は、なぜだかすーっと胸に入ってくるから不思議です。

著者が、原発事故を作品にするのはすごいエネルギーが必要だっただろうなと思います。
6年前のあの日、福島原発事故直後、冷却することが必要だからと自衛隊のヘリコプターで水をかける作業(何かの役に立ったのだろうか)や、トップ司令官が司令塔を離れ現場をヘリコプターで見に行くという愚かな行為を国民が見せつけられました。
ひょっとしたら福島の原発がすべて爆発してしまっていたら、日本国はどうなっただろうかと想像するだけで背筋が凍るような思いがします。
桐野さんの心理描写は、同性同世代のせいか心の襞に沿って染み通る気がします。
最終的には一筋の光が見えるけれど、重たい気持ちになる読後感は、私も分かる気がします。


たまご様 (ひろりん)
2017-08-14 08:40:58
お早うございます。
コメントありがとうございます。

とんでもないです。
私の少ない語彙の中で、どう書いて良いかわからず、いつもじれったい思いをしています。

ほんとに端折った感想で、分かって頂けて有難いです。

それに比べ、たまご様の語彙の豊富さにはいつも圧倒されています。

つたない読後感ですがこれからも、お伝え出来ればと思っています。


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