こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

記憶の風景・習い事

2017年05月28日 09時34分44秒 | Weblog
いまは
習い事をしていないこどもの方が
限りなく少ない時代。
私の時代は、
特に田舎という特殊事情もあって
習い事など聞いたこともありませんでした。

小学生上級に上がると、
そろばんの授業が新たに増えました。
もともと
数値計算に弱い息子を心配した母が,
聞きつけた
公民館(当時はクラブといっていたっけ)で
そろばんを教えてもらえるらしいと。
村では驚がく的な習い事教室の始まりだった。

村に住む若い珠算の先生の教室は
土曜日の夜。
母が縫ってくれた布手提げに
そろばんだけを突っ込んで通った。
「ご破算で願いまして……」
先生の教え方は面白かった。
ただ珠算は
最後まで好きになれなかったけ。
やはり数字は
あの頃から嫌いだったんだろうな。(笑)

教室が終わると、
もう外はとっぷりと暮れていた。

当時の田舎は街頭などなく、
日が落ちると、
墨を流したように真っ暗。

10分もかからない家まで、
ひたすら目指して小走りに駆けた。
わき目をふる勇気はない。
「あの竹藪ん上に、火の玉よう出るんやど」
上級生に怖がらせていたせいもある。
カタカタそろばんを鳴らしながら、
もう死に物狂いだった。

火の玉が出るという
竹藪のわきにあるかけ橋まで、
たどり着くと、
息が切れていた。
「ハァーハァー」
しかし、
足を止めるわけにはいかない。

もしも幽霊が出たら!
そのとき気が付いた。
足元が明るく照らし出されているのに。
まるで昼間の明るさだった。
魅入られるように見上げた天空に、
まん丸の月があった。

月光は
周囲を幻想的に浮かび上がらせた。
ドキドキしながら
月光の下、
家まで夢見心地で歩いたのだった。

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