こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

記憶の風景・火の用心

2017年05月22日 01時36分14秒 | Weblog
「火元に用心してください」
青年中心の消防団の車が、
夜に巡回している。
最近、
近くの村で
火事騒ぎがあったせいで、
思い出したように
回っている。

そういえば、
子供の頃の冬休みを思い出す。
地区の子供たちが集まって、
「火の用心!火の用心!」
と村ン中をぞろぞろと回っていたっけ。
あの頃は、
各地区にこども会があった。
何かといえば、
上級生のもとに集まった。
遊びも勉強も、
そして村の奉仕活動も、
こども会がひとつになって、
わいわいがやがやと実践したのだ。
あの頃の冬は、
今と違って厳しかったのを思い出す。
しかも夜、
凍えるような中、
子供たちは、
身をすり寄せるようにして、
『火の用心』を呼びかける
夜回りをした。
時には雪がちらつく中を、
上級生が拍子木を打ち鳴らし、
子供たちはいっせいに口を開いて、
「ひのよーじん!」とやった。
しんしんとした冬の闇の中、
大きく響き渡った。
誰も、
「うるさい!」なんて、
怒らない時代だった。
だから、
こどもたちは、
いつも
委縮することなく自由闊達におれた。
寒さが凍えるようにになると、
上級生は下級生を取り囲むようにして、
冷たい風を直接受けないように守り、
巡回を進めた
強者の弱者への思いやりが
自然な時代だった。
冬休みの間、
各戸持ち回りで、大人が
こどもたちの世話を引き受けるのが
恒例だった。
夜回りが終わると、
おやつが待っていた。
夜回りは厳しさと喜びの二輪車で、
こどもたちの成長の糧になっていたのだった。

いろんな社会の知恵を学べる機会は、
学校以外の地域や家庭がつくってくれていた時代。
そんな時間を過ごした私たちの常識は、
地域社会の衰退とともに廃れていっている。

悩ましい時代を、
まだもう少し生きなければならないようだ。

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