26、7年くらい前、うちも犬を飼っていた。
妹が友人宅からもらってきた子犬。茶色いので名前は「おちゃげ」。
鼻のあたまの辺りだけが黒い。雑種。
はじめは玄関に置いたダンボール箱が彼の家。
のちに勝手口の土間が彼の家になった。
ゴミ出しの日などは必ず母親のお供をしてついて行った。
夕食どき、ワンワンうるさいので勝手口の土間から仕方なく上にあげると、
夕食のおこぼれをねだった。親父が箸の先に食べ物をつまんで見せびらかしつつ、
「ほれ、おすわり、お手、おかわり、おまわり」としつこく調教?したので、
それらの芸は早くに体得した。自分も含め家族はみな「賢い!」と彼をほめた。
今思えばただの反射なのに。
食堂から和室が続くのだが、「おちゃげ」がそちらに行こうとすると、親父が「くぉらっっ!」と
鬼のように怒ったので、彼は決してその高さ3センチ程度の敷居を越えようとはしなかった。
以後もずっと。
子犬の頃は私があぐらをかいたひざの上が彼のお気に入りの場所だったが、彼自身がだんだん
成長して大きくなり、私のあぐらのくぼみには収まりきらなくなってきた。
また子犬でなくなってきた彼は自然に家の中にいることが不自然に思われてきた。
鳴き声でかいし。
ほどなく庭の片隅に犬小屋を設置して、そこが彼の家となった。
今では考えられないが、ヒモでくくってなかったので、お隣さんの庭も、うちのガレージの裏も、
うちとお隣さんの家との間の狭いスペースも、文字通り彼の「庭」となった。
じきにヒモで繋がれることになったが。
当時学生の私は原チャリに乗っていたので、夕方ブビビビビーとエンジンの音を響かせて
帰宅すると、庭から「おちゃげ」が狂ったように吠えまくり、それが私には「おかえりー」
「こっちきてー」「あそんでー」「散歩行こうー」とダダをこねているように聞こえ、
いとしく感じたものだった。
夕方の散歩は私の役目だった。当時「つるたま」はあったが「エブリ」は無く、そこは広大な
空き地だった。ヒモ(リード?ん??)を首輪から外し、しばし自由にさせてやったりした。
「おちゃげ」は元来ビビリなのか、振り返り振り返りしながらだったが、徐々に遠くまでひとりで
鼻をクンクンさせながら歩いていった。50mくらい離れたところで、わざと急にすっく!と
立ち上がると、彼はビクっとして弾丸のように駆け戻ってきた。それがまたかわいかった。
その「おちゃげ」は2歳になる前に病気で死んでしまった。
詳しくは書かないが猛烈に悲しかった。そのとき私の母親の号泣も久しぶりに見た。
以後、犬は飼っていない。
でも今でも犬は好きだ。
---------------------------------------------------------------------
~あなたの街の 親切ていねいな ふすまと内装工事のお店~
(有)林文香堂 http://h-bunkoudou.com
お気軽にメールください⇒こちらからどうぞ
妹が友人宅からもらってきた子犬。茶色いので名前は「おちゃげ」。
鼻のあたまの辺りだけが黒い。雑種。
はじめは玄関に置いたダンボール箱が彼の家。
のちに勝手口の土間が彼の家になった。
ゴミ出しの日などは必ず母親のお供をしてついて行った。
夕食どき、ワンワンうるさいので勝手口の土間から仕方なく上にあげると、
夕食のおこぼれをねだった。親父が箸の先に食べ物をつまんで見せびらかしつつ、
「ほれ、おすわり、お手、おかわり、おまわり」としつこく調教?したので、
それらの芸は早くに体得した。自分も含め家族はみな「賢い!」と彼をほめた。
今思えばただの反射なのに。
食堂から和室が続くのだが、「おちゃげ」がそちらに行こうとすると、親父が「くぉらっっ!」と
鬼のように怒ったので、彼は決してその高さ3センチ程度の敷居を越えようとはしなかった。
以後もずっと。
子犬の頃は私があぐらをかいたひざの上が彼のお気に入りの場所だったが、彼自身がだんだん
成長して大きくなり、私のあぐらのくぼみには収まりきらなくなってきた。
また子犬でなくなってきた彼は自然に家の中にいることが不自然に思われてきた。
鳴き声でかいし。
ほどなく庭の片隅に犬小屋を設置して、そこが彼の家となった。
今では考えられないが、ヒモでくくってなかったので、お隣さんの庭も、うちのガレージの裏も、
うちとお隣さんの家との間の狭いスペースも、文字通り彼の「庭」となった。
じきにヒモで繋がれることになったが。
当時学生の私は原チャリに乗っていたので、夕方ブビビビビーとエンジンの音を響かせて
帰宅すると、庭から「おちゃげ」が狂ったように吠えまくり、それが私には「おかえりー」
「こっちきてー」「あそんでー」「散歩行こうー」とダダをこねているように聞こえ、
いとしく感じたものだった。
夕方の散歩は私の役目だった。当時「つるたま」はあったが「エブリ」は無く、そこは広大な
空き地だった。ヒモ(リード?ん??)を首輪から外し、しばし自由にさせてやったりした。
「おちゃげ」は元来ビビリなのか、振り返り振り返りしながらだったが、徐々に遠くまでひとりで
鼻をクンクンさせながら歩いていった。50mくらい離れたところで、わざと急にすっく!と
立ち上がると、彼はビクっとして弾丸のように駆け戻ってきた。それがまたかわいかった。
その「おちゃげ」は2歳になる前に病気で死んでしまった。
詳しくは書かないが猛烈に悲しかった。そのとき私の母親の号泣も久しぶりに見た。
以後、犬は飼っていない。
でも今でも犬は好きだ。
---------------------------------------------------------------------
~あなたの街の 親切ていねいな ふすまと内装工事のお店~
(有)林文香堂 http://h-bunkoudou.com
お気軽にメールください⇒こちらからどうぞ